不動産投資で賃貸物件を運用する際、不動産投資を専業で行っている場合を除いて、不動産管理会社へ物件管理を委託するのが一般的です。しかし、「賃貸物件の管理コストは適正なの?」「自分で管理すれば、そもそもコストが浮くのでは?」と疑問を抱くことがあるかもしれません。
そこで今回は、不動産投資で不可欠な、賃貸物件の詳しい管理業務の内容や運用コストについて詳しく解説します。また、不動産管理会社へ物件管理を委託する際のポイントについてもご紹介します。
目次
不動産投資の賃貸経営にかかる「運用コスト」とは?
不動産投資では運用中にさまざまなランニングコストがかかります。このランニングコストの中には、税申告上の「経費として計上できる費用」と「計上できない費用」があることを覚えておきましょう。
経費とは、簡単に言うと「事業で収益を得るために必要となった費用」のことです。不動産投資の運用コストの中で経費として認められる費用の例としては、一般的に次のようなものがあります。
<不動産投資で認められる経費の例>
・減価償却費:物件の費用を耐用年数に分割して経費計上
・租税公課:固定資産税、都市計画税など
・損害保険料:火災保険、地震保険など
・借入金利息:ローン返済における利息
・管理費:物件管理のための費用
・修繕費:原状回復にかかる費用
・旅費・交通費:物件を見に行くための交通費、駐車費用、宿泊費など
・広告宣伝費:入居者を募集するための費用
・通信費:不動産の情報を調べるためのインターネット費用や電話代、郵送費用
・接待交際費:物件管理会社や税理士との打ち合わせの際の飲食代、お土産代など
当然、不動産投資とは関係のない、スーツ代やプライベートの飲食費用は経費に含めることができません。運用コストの中で、経費計上ができる費用とできない費用をきちんと把握して、適正に経費計上することが重要です。
■関連記事:不動産投資でかかる経費とは?どこまで経費にできるかも解説
不動産投資の賃貸経営にかかる「管理費」について解説
不動産投資で賃貸物件を運用する場合、本業で賃貸経営・自主管理を行うケースもありますが、多くのオーナーは副業で不動産投資を行っていることが多いため、一般的には不動産管理会社へ物件管理を委託します。
委託にあたっては不動産管理者へ支払う費用が発生し、物件の管理業務をオーナーの代わりに担ってもらうことになります。この費用は「管理費」や「管理手数料」と呼ばれ、例えば、「毎月の家賃に対して〇〇%」といった一定割合が設定されるのが通常です。
賃貸経営をする上では、家賃の集金、居室内設備のメンテナンスや不具合発生時の対応、入居者からのクレーム対応など幅広い管理業務が発生します。これらの管理をオーナー自身が行うのは手間がかかるため、専門の不動産管理会社の存在は欠かせないと考えるオーナーも多いことでしょう。
不動産投資の賃貸経営にかかる「管理費」の費用相場は?
不動産投資において、賃貸経営にかかる管理手数料の費用相場は、家賃収入の5%前後と言われています。このため、管理を委託する物件の家賃収入や、委託する物件数に比例して管理コストが高くなることになります。
<管理手数料5%、家賃100,000円の場合>
・管理手数料:100,000円×0.05(5%)=5,000円
・管理物件数が1戸であれば5,000円、2戸であれば10,000円の管理手数料がかかる
<管理手数料5%、家賃150,000円の場合>
・管理手数料:150,000円×0.05(5%)=7,500円
・管理物件数が1戸であれば7,500円、2戸であれば15,000円の管理手数料がかかる
また、管理会社に委託ができる管理業務の中に「家賃の集金代行業務」がありますが、管理業務をこれだけに限る場合には、管理手数料の相場は家賃収入の5%よりも割安になる傾向です。ただし、集金以外のさまざまな物件管理業務を自分で対応する手間が生じます。
物件管理は入居率や空室リスクにダイレクトに影響する大切な業務のため、トータルバランスで捉えるのがポイントとなります。
投資用物件の管理に必要なさまざまな業務を紹介
不動産管理会社に管理費を支払うことで、さまざまな管理業務を委託できます。一部の業務については管理手数料とは別に費用が発生するものもあります。
ここからは、不動産管理会社へ委託できる具体的な業務について見ていきましょう。
入居者の募集から契約までの手続き
賃貸経営を安定して行うためには入居者の存在が不可欠です。しかし、適切な賃料設定をはじめ、入居者の募集、入居審査、賃貸借契約の締結、客付けができない場合の広告の付け方など、いずれの業務にも経験と専門知識が求められるため、オーナーが直接対応するのは現実的ではありません。客付けに対応している不動産管理会社へ委託するのが一般的です。
また、客付けの業務だけを別の不動産仲介会社へ依頼することも可能ですが、成約報酬が発生する業者が多く、コスト面で安く済むといったメリットが生じるわけではありません。最終的にトータルの費用が変わらないのであれば、客付けも含む一連の業務に対応している管理会社にまとめて委託することで、オーナーの手間を大幅に削減できるでしょう。
家賃の集金代行
不動産管理会社の重要な役割の一つとして、家賃の集金代行が挙げられます。入居者が決められた期日までに家賃をきちんと支払っているかを確認し、収納を行います。もし家賃の未払いが発生した場合には、オーナーに代わって入居者への督促を行ってくれます。家賃以外に、共益費、駐車場代、自治会費なども収納代行の対象になっているケースもあります。
不動産管理会社によって対応可能なサービス内容は変わるため、対応範囲を細かく確認しておくといいでしょう。
更新・解約手続き
賃貸借契約は多くの場合、契約期間を2年に設定し、2年ごとに更新を行います。更新時期が近くなったら入居者に更新のお知らせを出して、契約更新するか意志を確認します。引き続き入居するのであれば契約の更新手続きを、退去をする場合には解約の手続きを行います。
入居者からのクレーム対応
賃貸物件では、入居者からクレームが寄せられることがあります。
例えば・・・
近隣住民の騒音や共用部の使い方、ゴミの出し方、ペットや喫煙に関すること、駐車場の利用方法などで住民間のトラブルが発生するケースがあります。
不動産管理会社に、これらのクレーム受付や問題の解決にあたる業務を委託できます。さまざまなクレームに対応した経験と実績があるので、適切な対処をしてくれるでしょう。
清掃や建物・設備の管理業務
区分マンションの賃貸経営には関係ありませんが、1棟マンション投資をしている場合には、共用部の清掃やゴミ集積場の管理などマンション全体の建物・設備の管理業務が必要になります。
マンション全体の管理・メンテナンスを日常的に行うにはオーナー単独ではほぼ不可能なため、不動産管理会社へ委託するのが通常です。清掃の頻度、建物・設備の管理方法、管理手数料などは委託契約内容やマンションの規模によって異なります。
管理手数料とは別に費用がかかる業務の例
管理手数料は不動産管理会社へ物件管理を委託する際に必要な費用ですが、賃貸経営では管理手数料とは別に費用がかかる業務があります。例えば、部屋の原状回復や設備の修理・交換費用などが該当します。
部屋の原状回復・グレードアップ費用
入居者が退去した際には、次の入居者を確保するため、壁紙・床の張り替えやルームクリーニング、古くなった設備の交換など、部屋の原状回復や設備のグレードアップなどを行うのが一般的です。
入居者の故意・過失によって生じた損傷や、賃貸借契約で入居者負担と定めた事項については基本的に入居者の費用負担で対応できます。しかし、経年劣化による修繕や入居者確保のためのグレードアップは、オーナーの費用負担で行う必要があります。
■関連記事:オーナー最大の関門?原状回復費用が貸主負担になるケースと対策【事例付】
室内の設備補修・交換費用
あらかじめ設置してあった部屋の設備が故障したときには、オーナーの責任で補修・交換をする必要があります。対象となる設備は、例えば、エアコン、換気扇、給湯器、ガス器具、トイレ・温水洗浄便座、浴室乾燥機などです。
★ポイント★
メイクスプラスでは10万円(税込)まで設備修理保証が可能な、「あんしん設備保証」サービスを開始いたしました。 >>>あんしん設備保証の詳細を見る
なお、入居者が自分で設置したサービス品をはじめ、もとからある設備でも入居者の故意・過失で生じた故障はオーナーが費用負担する義務はありません。また、賃貸借契約書で補修・交換が入居者負担になっている残置物も同様です。
投資物件の管理を不動産管理会社に委託するメリット
投資用の賃貸物件の管理を不動産管理会社に委託することで得られるメリットは複数あります。ここからは、賃貸物件の管理を管理会社に委託するメリットについて詳しく解説します。
物件の管理業務を行わなくて済む
投資物件の管理を不動産管理会社に委託する最大のメリットは、オーナー自身で物件管理業務を行わなくて済むことです。
物件の管理業務は多岐にわたる上に、トラブル対応などは24時間365日の対応が求められるため、個人が行うには大きな負担となります。しかし、管理会社に委託することで必要な業務にかかる手間や時間を削減できます。副業で不動産投資を行っている場合や、遠隔地の賃貸物件を運用している場合などでも適切な物件管理ができるため、運用のハードルが下がるでしょう。
また、プロの管理会社が業務を行うため、オーナー自身で管理業務を行うよりも良質なサービスを提供できる可能性が高いです。入居者の満足度の観点でも管理会社に依頼するほうがいいでしょう。
賃貸管理のプロからの意見を得られる
不動産管理のプロの意見を聞けたり、質の高い管理サービスについて知ることができたりすることも、不動産管理会社へ委託するメリットです。
不動産投資の実績がそれほど多くないオーナーの中には、そもそも賃貸管理をどのように行えばいいのか分からず、不動産投資にチャレンジできないというケースもあるでしょう。しかし、不動産管理会社は、多くの賃貸物件の管理を手がける中で蓄積したノウハウがあります。最適な管理業務を提供してもらいながら、物件ごとに適した管理方法のアドバイスを受けられます。
【重要】賃貸管理会社を安さだけで選んではいけない理由とは?
不動産投資の収益性と固定コストを考えると、できる限り管理手数料が安い不動産管理会社を選択したくなりますが、金額だけを比較して管理会社を選ぶと、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
ここからは、投資用物件の賃貸管理を委託する際、安さだけで管理会社を選んではいけない理由を解説します。
サービスの質が低いと入居者の短期解約につながる
管理費用が安くても、サービスの内容・質が低いと入居者の満足度は下がります。その結果、最悪の場合は入居者の短期解約や長期の空室リスクを招いてしまうでしょう。
特に、最近は不動産ポータルサイトやネット掲示板で、管理会社のサービスレベルに関する口コミや評判を簡単にチェックでき、入居者や入居希望者も事前にチェックできます。ひとたび悪い評判が広がると、物件の評価が下がってしまいます。入居者の短期解約や長期空室リスクは収入減に直結するため、賃貸物件の運用において致命的です。
★ポイント★
「管理費用が安い管理会社のサービスクオリティは低い」とは一概には言い切れません。しかし、価格設定には必ず理由があります。その理由をしっかりと見極め、管理手数料と管理サービスの質のトータルバランスで比較するのがポイントです。
管理費用を安くするより入居率を高めるほうが有益
投資用物件の管理費用を抑えて「投資効果を上げたい」と考えるのはごく自然な流れですが、気をつけたいのは、管理費用の安さだけで管理会社を選んでしまい、入居者の満足度を下げてしまうことです。
不動産投資は、長期的に安定して物件運用を行い、堅実な収益(家賃収入)を得る最適な投資方法です。そのため、管理費用を数パーセント下げて、入居者の満足度を下げるリスクを常に抱えている状態は、精神的にも健全な資産運用とはいえません。
★ポイント★
バランスがとれた管理手数料と管理サービスを提供する管理会社へ委託することで、安心して物件運用ができるとともに、空室リスクを回避し、人気物件として高い入居率を維持することも狙えるでしょう。
オーナーと利益相反の関係になる可能性がある
不動産管理会社の利益の仕組みが成果報酬制に寄っている場合、オーナーとの利益関係が相反してしまう可能性があります。
管理費用が格安の管理会社の場合、日常的な管理業務以外のところで収入を得る仕組みがあるかもしれません。例えば、入居契約時の成功報酬や退去時の原状回復費用で収益を上げようとする収益構造が挙げられます。これらの収益は、入居者が頻繁に入れ替わるほど増大するため、管理会社には、良質な管理業務を通じて物件価値を高めるという意識は薄くなってしまうでしょう。
投資物件を委託する賃貸管理会社を選ぶポイント
投資用の賃貸物件の収益最大化を目指す上で、信頼できる不動産管理会社を選ぶことは非常に重要です。ここでは、選ぶ上での主なポイントを3つ紹介します。
収益を最大化する提案をしてくれる
不動産投資の成功は、管理会社選びに左右されます。できるだけ高い賃料で、早期に入居者を確保する提案をしてくれる会社が理想的です。
さらに、将来の出口戦略(売却)を見据えた賃料戦略や募集戦略をもっているかどうかも重要です。収益を最大化するためには、こうした提案力や長期的な視野を確認して判断する必要があります。
管理会社の担当者の対応がスムーズ
管理会社の担当者による対応の良し悪しも、管理サービスの質を見極める重要なヒントとなります。
賃貸経営をスムーズに行うためには、管理会社との連携が欠かせません。担当者に連絡を入れた際に、数日以上レスポンスがなければ要注意です。円滑に物件のマネジメントができていなかったり、入居者からの要望やクレームにも迅速に対応できなかったりする可能性があります。
また、管理会社によっては、空室リスク対策をはじめとした資産運用についてのアドバイスにも対応しています。適切に物件の管理業務にあたりながらも、不動産投資の拡大や改善などオーナーの悩みに応えてくれる体制があることも大切なポイントでしょう。
オーナーが希望する管理業務を委託できる
賃貸物件の管理業務は、大きく「賃貸管理」と「建物管理」の2つに分けられます。
・賃貸管理:入居者の生活やお金に直結する業務
・建物管理:清掃や点検などといった建物の維持管理に関する業務
不動産管理会社によっては、賃貸管理と建物管理のいずれにも対応できる会社もあれば、どちらかしか対応できない会社もあります。どのような管理業務に対応できる管理会社なのかを確認した上で、オーナー自身が委託したい管理業務を任せられる管理会社を選びましょう。
資産運用をトータルでサポートしてくれる賃貸管理会社を選ぼう!
今回解説したように、円滑な不動産運用を行う上では不動産管理会社との連携が必要不可欠です。さらに投資物件の賃貸管理をどこの管理会社へ委託するのかは、長期的な資産運用にとって重要なポイントとなります。
投資用物件の賃貸管理の実績が豊富なメイクスプラスなら、大切な資産の管理を安心して任せられます。不動産投資を始めたいと考えている方はぜひお気軽にご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な資産運用をトータルでサポートします。
▼関連記事
新サービス【メイクスプラスあんしん設備保証・原状回復保証】リリースのお知らせ
※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。