マンションの修繕積立金とは?不動産投資で押さえておきたいポイントを解説 

最終更新日:2024.04.12 (公開:2024.03.21)

マンションの修繕積立金は、長期修繕計画に基づいて共用部分の大規模修繕などを行うために積み立てる資金です。分譲マンションの区分所有者が負担する費用のため、居住用マンションを所有している人に限らず、投資用物件を所有しているオーナーも負担する必要があります。 

そこで今回は、修繕積立金の概要をはじめ、管理費との違い、修繕積立金が値上がりする理由、不動産投資の観点で押さえておきたい注意点などについて解説します。 

不動産投資で知っておくべき「修繕積立金」とは?

修繕積立金は、一定期間のサイクルで実施する「建物の共用部分の修繕工事」に備えて費用を積み立てるものです。分譲マンションの区分所有者(オーナー)が毎月決まった金額を負担し、マンションの管理組合が徴収して積み立てます。 

修繕工事は、分譲マンションに住む人が、快適かつ安心して住み続けられるように機能を維持するとともに、資産価値を維持・向上することを目的としています。 

修繕工事の対象となるのは、以下に挙げるような共用部分です。 

・屋上 
・外壁 
・エントランス 
・エレベーター 
・給排水管 
・駐車場・駐輪場 
・ゴミ置場 など 

マンションを維持するためには大規模修繕工事を定期的に行う必要があり、あらかじめ策定した長期修繕計画に沿って実施されるのが一般的です。物件によりサイクルは異なりますが、およそ10年から15年周期で大規模修繕工事が行われます。 

大規模修繕工事の費用を一括して徴収すると、区分所有者の金銭的負担が大きくなるため、毎月少額ずつ、長期にわたって費用を集めて積み立てる仕組みとなっています。また、原則としてマンションを売却しても修繕積立金は返金されません。 

修繕積立金と管理費の違いとは? 

修繕積立金と管理費は、どちらも共用部分のメンテナンスに使われるお金です。しかし、修繕積立金が大規模な修繕・維持管理のための資金であるのに対し、管理費は日常的な管理を行うための経費であるという違いがあります。 

それぞれの費用の主な用途を比較すると、以下の表のようになります。

■修繕積立金と管理費の違い比較表 

修繕積立金 管理費
用途 長期的管理 日常的管理
用途例 ・定期的かつ計画的に実施する修繕
・事故や特別な事情により必要となる修繕
・敷地や共用部分の変更
・建物の建替などに必要な調査費用
・管理組合の運営費
・共用設備の維持費
・共用部分の水道光熱費
・共用部分の損害保険料(火災保険など)
・軽微な損傷などの補修費
・管理委託費
・業務委託費

修繕積立金を算出する根拠とは? 

修繕積立金の額は、将来に行う予定の修繕工事の内容や時期、概算費用などを盛り込んだ「長期修繕計画」に基づいて設定します(一定期間ごとに見直しが必要)。 

長期修繕計画は、国土交通省が作成・公表した「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント(長期修繕計画作成ガイドライン)」に沿いながらの作成が求められます。このガイドラインに沿って適切に計画された長期修繕計画をもとに、必要となる金額が算出され、修繕積立金の具体的な決定につながります。 

■参考:報道発表資料:「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて – 国土交通省

一般的なマンションの修繕積立金の相場を紹介

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和3年9月改訂・令和5年4月追補版)」によれば、修繕積立金の平均額の目安は以下の通りです。

地上階数/建築延床面積 専有面積当たりの平均値(月額)
20階未満  5,000平方メートル未満  335円/平方メートル 
5,000平方メートル以上~10,000平方メートル未満  252円/平方メートル
10,000平方メートル以上~20,000平方メートル未満  271円/平方メートル
20,000平方メートル以上 255円/平方メートル 
20階以上 338円/平方メートル

※機械式駐車場分を除く

■出典:「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和3年9月改訂・令和5年4月追補版)」(国土交通省)

また、同省の「平成30年度 マンション総合調査」によると、修繕積立金額の1戸当たりの月平均額は以下のように推移しています。

<修繕積立金の平均額(月/戸)推移> 
1999年…7,378円 
2003年…9,066円 
2008年…10,898円 
2013年…10,783円 
2018年…11,243円 

■出典:「平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」(国土交通省) 

あくまで平均値で築年数にも幅があるとはいえ、約20年間の推移を見ると、修繕積立金は増加傾向にあることが分かります。 

修繕積立金の算出方法 

区分所有者が支払う修繕積立金の額は、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和3年9月改訂・令和5年4月追補版)」で示されている以下の計算式で目安を算出できます。 

専有面積当たりの平均値(月額)×専有床面積 

「専有面積当たりの平均値(月額)」には、先ほどご紹介した「修繕積立金の専有面積当たりの平均値(月額)」の表にある金額を当てはめます。ただし、この計算式で分かるのは目安のため、参考程度にお考えください。 

不動産投資の修繕積立金で押さえておきたいポイント

居住用ではなく、不動産投資用の物件を所有するオーナーが、修繕積立金について押さえておきたいポイントにはどのようなものがあるのでしょうか? 

ここからは、基本的な以下の2つのポイントを解説します。 

・修繕積立金は経費として処理が可能 
・修繕積立金は値上げされる可能性がある 

修繕積立金は経費として処理が可能

通常、修繕積立金は経費として計上できません。なぜなら、まだ実際に修繕工事を実施しておらず出費が確定していないからです。しかし、要件をすべて満たせば、修繕積立金の経費計上が可能です。 

次のような条件で修繕積立金の支払いが行われている場合は、特例として修繕積立金を支払ったタイミングで経費に計上できます。 

・区分所有者が管理組合に対して修繕積立金の支払い義務を負う 
・管理組合に区分所有者へ修繕積立金を返還する義務がない 
・修繕積立金は将来の修繕などのためだけに使用され、ほかのことに流用されない 
・修繕積立金の額は長期修繕計画に基づいて、所有者の共有持分に応じた合理的な方法により算出されている 

これらは、修繕工事までに時間がかかったり、修繕積立金は原則として返金されなかったりするなどの理由を考慮したものです。マンションの適正な管理規約に沿って修繕積立金の支払いが行われている 

■参考:賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い|国税庁 

修繕積立金は値上げされる可能性がある

修繕積立金は積立金の積立方式によっては、将来的に値上げされるケースがあります。 

一般的に、積立金の積立方式は「均等積立方式」と「段階増額積立方式」のどちらかが採用されますが、国土交通省のガイドラインでは均等積立方式が推奨されています。 

【均等積立方式とは?】 
必要となる修繕積立金を均等に等分する方式です。基本的には値上げされる可能性はありません。しかし、多くの分譲マンションでは推奨されている均等積立方式ではなく、段階増額積立方式が採用されています。 

【段階増額積立方式とは?】 
年数が経つごとに積立金の徴収額が増える方式です。修繕積立金は値上げされていきます。ただし、段階増額積立方式は購入初期の負担額が少ないことがメリットです。 

投資用物件の修繕積立金が値上げされる理由と可能性 

先ほど修繕積立金が値上がりする場合があることに触れましたが、どのような理由で値上げされる可能性があるのか、もう少し深掘りしてみましょう。 

主な理由としては以下の4つが挙げられます。 

・段階増額積立方式を採用しているため 
・積立金の初期設定金額が低かったため 
・予期しない修繕が発生したため 
・人件費や資材費の高騰のため 

段階増額積立方式を採用しているため 

修繕積立金の積立として段階増額積立方式を採用している場合は、将来的に修繕積立金が増加します。 

国土交通省が均等積立方式を推奨しているとはいえ、段階増額積立方式を採用することに問題はありません。法的には問題がない以上、段階増額積立方式が採用されるケースは今後も存在し続けるでしょう。 

積立金の初期設定金額が低かったため 

当初の長期修繕計画の計画が甘かったり、定期的な見直しが適切に行われていなかったりすることが原因で、設定されている修繕積立金が修繕工事費の必要額に対して少ない場合は、修繕積立金が値上げされる可能性があります。 

なお、修繕積立金の算出目安となる国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は2011年に発表されました。それ以前に完成した中古マンションでは、長期修繕計画がガイドラインに沿っておらず、修繕積立金の設定が適切ではない可能性が高まります。 

ガイドラインは定期的に改訂されているので、新築マンションの場合にも最新ガイドラインに沿った修繕計画が立てられているか確認するといいでしょう。 

予期しない修繕が発生したため 

適切な長期修繕計画であっても、予期していなかった修繕工事が必要になれば、その費用をまかなうために修繕積立金が値上げされる可能性があります。 

例えば、、、
想定より建物や設備の劣化が進んで早いペースで修繕が必要になったり、大きな災害や事故などの発生によって突発的な修繕が必要になったり、さまざまな要因で予期せぬ追加修繕が必要となるケースが考えられます。 

国土交通省では分譲マンションの管理規約モデルを公表して指針を示していますが、「マンション標準管理規約(単棟型)コメント」(第32条)によれば、長期修繕計画は計画期間が25年程度以上であること、特に新築時は計画期間を30年程度にすることを推奨しています。また、長期間にわたる計画になるため、5年程度ごとの見直しが必要ともしています。 

国のガイドラインでも、当初計画とは変更になる可能性も考慮して、長期的に修繕費用を積み立てておく必要性を示しているといえるでしょう。 

■参考:「マンション標準管理規約(単棟型)コメント」(国土交通省) 

人件費や資材費の高騰のため 

物価上昇や人手不足などによる賃金上昇の影響で、資材費と人件費が高騰して、長期修繕計画作成時よりも工事費用がふくらんで、修繕積立金が値上げされる場合があります。 

マンションの修繕費用に限らず、何十年も先の物価や賃金水準を正確に予測することは難しいものです。たとえ計画通りの周期と内容で長期修繕計画を策定しても、実際に修繕工事を行うタイミングで社会情勢が変わっていれば、費用が増大して修繕積立金が不足する可能性はあるでしょう。 

不動産投資はここをチェック!修繕積立金の注意点 

投資用マンションの修繕積立金について考えるとき、注意するとよいポイントがいくつかあります。ここでは、以下の3つのポイントを解説します。 

・修繕計画が妥当かどうかを重要事項調査報告書で確認する 
・平均値や目安を算出して修繕積立金の設定額が適切か判断する 
・空室時も修繕積立金を負担する必要があることを考慮する 

修繕計画が妥当かどうかを重要事項調査報告書で確認する 

マンションの管理会社などから「重要事項調査報告書」を取得し、長期修繕計画の内容が妥当かどうかを判断しましょう。 

重要事項調査報告書とは
管理体制や修繕などの状況といったマンション管理に関する詳細情報が記載された書類です。中古マンション投資の場合にはマンションの管理体制を確認するのに重要な書類で、長期修繕計画の有無はもちろん、大規模修繕工事の実施予定、修繕積立金の残高、滞納金の額なども記載されています。 

「修繕計画の内容は妥当か」「積立金の値上げ予定があるか」「(中古マンションの場合)内容が不透明な工事が過去に行われていないか」などがチェックポイントです。 

なお、重要事項調査報告書はマンション管理会社が発行する書類ですが、発行には手数料がかかるのが一般的で、料金は管理会社によって異なります。 

平均値や目安を算出して修繕積立金の設定額が適切か判断する 

前述した修繕積立金の平均値や目安を算出する計算式を参考にして、修繕積立金の設定金額が妥当かを確認しましょう。 

積立設定額が安すぎる場合は修繕計画に問題があり、将来的に修繕費が不足して設定額が見直される可能性があります。また、設定額が高すぎる場合は、修繕以外に積立金が使用されているかもしれません。 

空室時も修繕積立金を負担する必要があることを考慮する

修繕積立金や管理費はマンションの区分所有者が支払うものです。そのため、投資用物件として賃貸経営をしている場合、入居者がいるか空室かどうかに関係なくオーナーが支払う必要があります。 

空室で家賃収入が得られない状況でも修繕積立金や管理費を支払えるよう、資金計画を十分に練り、手元資金が不足しないようにしておくことが大切です。 

修繕積立金も考慮して計画的な不動産運用を 

マンションの修繕積立金は、建物の共用部分の状態を維持・改善するために行う大規模修繕工事などに充てる資金です。区分所有者が負担し、毎月一定金額を管理組合が徴収して積み立てます。 

所有している区分マンションが居住用か投資用かに関係なく支払う費用のため、マンション購入前には、重要事項調査報告書を取得して、長期修繕計画の内容や修繕積立金額の妥当性などについて確認しておくのがおすすめです。 

長期的な資産形成を目指すマンション投資には、長期修繕計画や修繕積立金を考慮した運用計画が欠かせません。修繕積立金に関する情報をはじめ、物件運用についてさらに情報を入手したい場合には、まずは不動産投資の実績が豊富なメイクスにご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが資産形成に最適な不動産投資をサポートします。 

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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