不動産投資の種類は?代表的な投資方法のメリット・デメリットを解説

最終更新日:2023.10.13 (公開:2023.09.14)

不動産投資には大きく分けて、アパート・マンションの一棟投資、区分投資、一戸建てへ投資する戸建投資といった種類があります。ひとくちに不動産投資といっても、どの不動産を運用するのかによって投資戦略は大きく異なります。

そこで今回は…
不動産投資の代表的な3つの種類の特徴をはじめ、それぞれのメリットとデメリットや向いている人、どの種類に投資するか選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。

不動産投資の3つの種類を解説

不動産投資には、主に以下の3つの種類があります。

・一棟投資
(アパート・マンション投資)
・区分投資
(区分マンション投資)
・戸建投資

それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

一棟投資(アパート・マンション投資)

一棟投資とは…
アパートやマンションを丸ごと1棟購入して不動産として所有し、部屋を「賃貸し」して家賃収入(賃料)を得る投資方法です。

一棟投資の初期費用は、土地購入の有無や物件が新築か中古かどうか、構造、頭金の多寡などによって異なります。一般的な不動産投資に必要な初期費用(登記費用やローンの事務手数料、仲介手数料、頭金など)の目安は、不動産価格の20%から30%の金額です。

仮に1億円の一棟物件を購入する場合、初期費用は2,000万円から3,000万円程度かかると考えてよいでしょう。

区分投資(区分マンション投資)

区分投資とは…
分譲マンションを1戸単位で所有し、その部屋を「賃貸し」して家賃収入(賃料)を得る投資手法です。

一棟投資と異なり、マンションの全室を購入する必要はありません。投資・運用規模が一棟投資に比べて小さいため、一棟投資よりも少額の投資額で始めることが可能です。不動産投資初心者でも比較的始めやすい投資手法といえます。

区分投資の初期費用は、マンションのあるエリアや築年数、間取り、専有面積などにより大きく異なります。区分投資の初期費用には幅があり、数百万円ということもあれば数千万円ということもあります。

一棟投資と区分投資の特徴比較表

詳しくは後述しますが、一棟投資と区分投資の主な特徴を比較すると、以下の表のようになります。

主な特徴一棟投資区分投資
不動産規模1棟単位1戸(1部屋)単位
投資額大きい小さい
空室リスク低い高い
建物管理所有者(マンション管理会社への委託可能)マンション管理会社(居室内は所有者管理)
賃貸管理一般的には賃貸管理会社へ委託(所有者による自主管理も可能)一般的には賃貸管理会社へ委託(所有者による自主管理も可能)

戸建投資

戸建投資とは…
所有する一戸建住宅(一軒家)を「賃貸し」して家賃収入を得る投資方法です。

一戸建てを丸ごと1人(または1家族)の入居者に貸し出して運用するのが一般的ですが、各部屋を別々の入居者に貸し出してシェアハウス運用を行うケースもあります。

新築と中古、それぞれの戸建投資があり、中古のほうが初期投資の費用は抑えやすいです。ただ、耐久年数が短い可能性があったり、リフォームが必要となることが多かったりするのは、アパート・マンション投資の場合と同じです。

一棟投資(アパート・マンション投資)のメリット・デメリット

ここからは、不動産投資の3つの種類それぞれについて、メリットとデメリット、投資するのに向いている人について解説します。

まずは、一棟投資のメリットとデメリット、どのような人に向いているかを見ていきましょう。

一棟投資のメリット

一棟投資の主なメリットは、以下の通りです。

・家賃収入が大きい
・空室リスクを分散できる
・自身の裁量で建物全体をコントロールできる

一棟投資では建物内のすべての部屋を所有して賃貸経営します。家賃収入は「入居室数×家賃」で決まるため、一棟投資は区分投資に比べて見込まれる家賃収入は大きくなります

また、複数の部屋を「賃貸し」することから、同時期にすべての部屋が空室になってしまうのは考えにくく、家賃収入がゼロになるリスクが少ないのもメリットです。

加えて、一棟投資であれば部屋の内部だけでなく建物全体に権限が及ぶため、自身の裁量で、建物の設備投資や修繕工事をコントロールすることも可能です。

一棟投資のデメリット

一棟投資の主なデメリットは以下の通りです。

・始めるには多額の資金が必要
・建物全体のメンテナンスや修繕、設備交換などの手間と多額の費用がかかる

一棟投資は、アパートやマンションを丸ごと購入することになるため、多額の資金が必要です。立地や規模によっては、購入金額が数千万円から1億円を超える物件も珍しくありません

このように投資額が高額なため、一般的に一棟投資をする際は金融機関で不動産投資ローンを組みます。しかし、自己資金が乏しかったり、収入に対して借入額が高額になったりすれば、融資を受けられないこともあるでしょう。

★ポイント★
一棟投資では建物全体の維持や機能向上を図るため、日常的なメンテナンスが不可欠です。さらに、大規模修繕や設備交換などを含めた維持管理に多額の費用が必要になりやすいです。

一棟投資に向いている人とは?

一棟投資は、不動産投資の中でも多額の資金を必要とする投資です。したがって、高額な初期投資を行っても問題のない程度に資金に余裕のある人や、アパートやマンションを建てられる遊休土地(取得から2年以上利用されていない土地)を所有している人にも適しています。

★ポイント★
建物を一棟丸ごと管理する手間がかかるため、不動産投資や賃貸経営に必要な時間を割くことができる人も向いているでしょう。

区分投資(アパート・マンション投資)のメリット・デメリット

次に、区分投資のメリットとデメリット、区分投資に向いている人について見ていきましょう。

区分投資のメリット

区分投資のメリットは以下の通りです。

・自己資金が比較的少額からでも
始められる
・物件管理の手間が少ない
・好条件の物件を見つけやすい

区分投資は1部屋から投資が可能なため、一棟投資や戸建投資に比べて初期投資が少額な傾向にあります。そのため、手元資金が少なくても投資しやすく、初心者でも始めやすい投資手法です。

また、建物や共用部の管理はアパートやマンションの管理会社が行うため、管理の手間がかかりません所有者側で維持管理が必要なのは専有部分である居室内だけなので、一棟投資などに比べて修繕にかかる費用や手間も少なく済みやすいです。

さらに、投資の対象が1部屋単位であることから、限られた資金で、異なるエリアの好条件の物件を複数所有し、効率的な運用を行うこともできるでしょう。

■関連記事なぜ投資用物件を複数所有するのか?その理由やメリットについて知ろう

区分投資のデメリット

区分投資のデメリットは以下の通りです。

・空室リスクが高い
・部屋の外は自身の裁量でコントロールできない

1部屋だけ運用する区分投資では、入居者がいなくなれば空室率が即100%となって家賃収入がゼロになります。このため、複数の部屋で家賃収入が見込める一棟投資に比べて、空室のリスクが分散できないのが区分投資のデメリットです。

また、区分投資の場合、自身の権限が及ぶのは専有部分の居室内だけです。建物全体や共用部などについて、勝手に修繕や設備投資を行えない点にも注意しなければなりません。

区分投資に向いている人とは?

区分投資におすすめの人は…

・少ない自己資金で投資を
始めたい人
・副業として手間をかけずに不動産収入を得たい人
・複数の物件に分散投資したい人に

ただし、空室のリスクの影響を受けやすい投資のため、賃貸需要が継続的に見込まれる都心部にある物件、老朽化の心配のない新築物件を選ぶなど、物件選びは慎重に行いましょう

■関連記事不動産投資の物件探しで見るべき11のポイント!避けたい物件の特徴も紹介

戸建投資のメリット・デメリット

最後に、戸建投資のメリットとデメリット、戸建投資に向いている人について解説します。

戸建投資のメリット

戸建投資のメリットは以下の通りです。

・入居期間が長い傾向にあるので
安定した家賃収入を得られる
・初期費用が比較的少なくて済む

戸建投資で物件を「賃貸し」するターゲットは主にファミリー層です。ファミリー層の場合、育児や介護の都合から、入居者の入居期間は長くなる傾向にあり、安定的な家賃収入につながりやすいです。

また、ファミリー層は…
最寄り駅や繁華街への近さといった立地条件よりも、家族構成に適した間取りや子育てのしやすさ、周辺の治安や自然環境などを重視するケースがあります。

そのため、好立地条件ではない物件の場合でも、運用収益が見込める可能性がある点も魅力でしょう。

さらに、戸建投資は一棟投資と比べて広い土地を必要としないため、不動産投資の中でも初期費用が比較的少なく済むのが特徴です。

戸建投資のデメリット

戸建投資のデメリットは以下の通りです。

・不動産投資ローンに通りにくいことがある
・メンテナンス、リフォームに多額の費用が必要
・空室リスクが高い

戸建投資は、中古の戸建て物件を購入し、リフォームやリノベーションをしてから「賃貸」するケースが多いです。中古物件の場合、築古で建物の残存耐用年数が少ないと資産価値が低く評価され、不動産投資ローンに通らないことがあります。

また、戸建投資では、家屋や敷地のメンテナンスが必要なため、区分投資に比べて修繕費用は高くなりますさらに、一戸あたりの投資額が高くなり少ない戸数の運用となりやすいため、空室リスクが高いことに留意が必要です。

戸建投資に向いている人とは?

戸建投資に向いている人は以下の通りです。

・一戸建ての住宅を建てられる
遊休土地を所有している人
・時間の自由が利く人
・郊外の中でも人気エリアを
見極めることができる人

戸建投資の物件は郊外にあることが多く、物件管理には手間と時間がかかります。また、収益性を上げるためにリフォームやリノベーションの費用を抑えるには、良いリフォーム業者とのつながりを築いたり、自分で現地へ行ってDIYを行うことも考慮する必要があるでしょう。

3つの種類以外の不動産投資を紹介

ここまで解説してきた一棟投資、区分投資、戸建投資以外にも、不動産投資の種類があります。それぞれの特徴について簡単に確認していきましょう。

駐車場投資

駐車場投資とは…
駐車場を経営し、駐車場料金を収入として得る不動産投資です。主に「月極駐車場(月単位の賃料)」と「コインパーキング(時間制の賃料)」の2つの経営方法があります。

比較的シンプルな設備で済み、初期費用や維持管理費が大きくかからないのが特徴です。

数台しか止められない狭小地や変形地でも、立地次第では収益を得られます

老朽化しにくく、低費用で更地化や解体が可能で、相続した土地の活用法としても人気の不動産投資です。

民泊投資

民泊投資とは…
所有する物件に旅行客などを宿泊させて、宿泊料を収入として得る不動産投資です。

民泊はリーズナブルな価格で宿泊できることから、インバウンドを中心に需要があります

民泊投資は、賃貸の賃料よりも高い宿泊料を設定できるため、稼働率次第で高い収益が見込めるのがメリットです。ただし、民泊経営をするには関連法令を遵守する必要があり、例えば、特区以外での民泊の年間営業日数は基本的に180日以下という点に注意が必要です。

J-REIT(不動産投資信託)

J-REIT(不動産投資信託)とは…
投資商品の一つで、投資家から集めた資金を、専門家が不動産に特化して運用します。

J-REITは10万円程度からでも購入ができ、少額投資からでも始められるのがメリットです。不動産の運用は専門家が行うため手間もかかりません。また、1つの不動産ではなく複数の不動産に分散投資しやすく、上場不動産投資信託であれば自由に売買できるため、換金性が高いという特徴があります。

トランクルーム投資

トランクルーム投資とは…
荷物収納用のトランクルームを設置して貸し出しを行い、賃料収入を得るのがトランクルーム投資です。

土地活用に適した広さの土地があれば、アパート・マンション投資と比べて低コストで始められるのがメリットといえます。

トランクルームには屋外コンテナ型と屋内ルーム型の2種類があり、運用方法は主に以下のような方法があります。

・個人経営
トランクルームの設置から運営まで自分で行う
・サブリースタイプ
設置したトランクルームを業者に借り上げて運用してもらう
・管理業務委託タイプ…
トランクルームを用意して、運営の一部を委託する
・土地の定期貸し出しタイプ…
所有する土地だけを貸し出す

不動産投資は新築物件・中古物件のどちらがいい?

不動産投資に共通してよくある疑問は「投資するなら新築物件と中古物件のどちらがいいのか?」という点です。

そこでここからは、新築物件と中古物件それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

新築物件のメリット・デメリット

日本では家を選ぶときに新築を重視する思考が強いため、賃貸でも新築や築浅の物件の人気が高く、入居率が高くなる傾向にあります。このため、不動産投資の対象を新築物件にすることで、高い入居率が期待でき、家賃設定も高めにしやすい点がメリットです。

一方で、新築物件は物件価格が高いため多額の資金が必要となります。また、物件の購入価格が高いぶん、利回りが低くなりやすい点もデメリットです。

中古物件のメリット・デメリット

中古物件は、似たような条件の新築物件と比較すると取得費用が安くなる傾向があります。また、物件の購入価格が低いぶん、利回りが高くなりやすい点がメリットです。

一方で、中古物件は物件の状態によっては、リフォームやリノベーションなどのテコ入れをしたり、老朽化した設備の交換・修理をしたりする必要が生じます。購入後すぐに「賃貸し」できず、入居可能な準備が整うまでの時間や工事費用が新築物件と比べて余計にかかる点はデメリットでしょう。

また、入居者には新築物件のほうが好まれる傾向にあるため、中古物件ということで人気が低くなり、空室になりやすいリスクにも注意が必要です。

■関連記事 不動産投資は新築マンションと中古マンションで何が違う?メリット・デメリットを解説

不動産投資の種類を選ぶ際のポイント

さまざまな種類がある不動産投資ですが、自分に適した種類を選ぶ際に押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、代表的な以下のポイントをご紹介します。

・投資する目的によって不動産投資の種類を選ぶ
・リターンの大きさや利回りで選ぶ
・所有資金や資産ポートフォリオから判断する
・投資リスクを考慮して選ぶ

投資する目的によって不動産投資の種類を選ぶ

不動産投資を始める目的は

・収益獲得
・資産形成
・相続対策
・年金対策

など人によってさまざまです。そのため、投資目的を明確にして、達成しやすい投資を選択するのがポイントです。

例)
1.安定志向で分散投資を行う場合
複数エリアの好立地マンションへの区分投資が適していると考えることができます。

2.土地を活用しなるべく資金や手間をかけずに資産運用したい場合
駐車場経営が向いているかもしれません。

このように、投資目的を明確にすることで、目的に適した投資の種類を選びやすくなるでしょう

所有資金や資産ポートフォリオから判断する

不動産投資は、投資の種類によって必要な投資額が大きく変わります。区分投資や戸建投資は、手持ち資金が少なくても始められますが、一棟投資は多額の自己資金が必要です。また、投資物件用の土地を所有しているかどうかで、必要となる投資額は変わってきます。

資産形成のための不動産投資は、投機的・短期的な観点ではなく、長期的にコツコツと安定収入を目指すべきものです。したがって、準備できる自己資金や、不動産投資以外の資産も含めた資産ポートフォリオ全体を見て、バランスの良い不動産投資の種類を選ぶことが大切です。

■関連記事資産形成に最適なポートフォリオの組み方のポイントとは?

投資リスクを考慮して選ぶ

どのような投資手法にもリスクはあります。不動産投資の場合、空室リスクや家賃滞納リスク、金利上昇リスク、地震・火災リスクなどがあります。利回りだけで投資の種類や物件を選ばずに、起こり得るリスクを想定して回避、または分散できるような物件を選ぶのもポイントです。

例えば、空室リスクに対しては、賃貸需要が安定しているエリアを選んだり、客付けを得意とする賃貸管理会社を選んだりすることでリスクを低減できます。家賃滞納リスクについては、家賃の滞納保証制度を利用するなどといった対策が考えられるでしょう。

■関連記事不動産投資の8つのリスクと回避のための対策について【徹底解説】

自分の投資目的に適した不動産投資の種類を選ぼう

不動産投資の代表的な投資方法には一棟投資、区分投資、戸建投資などがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。どの不動産投資を選ぶにしても、自身の投資目的を明確にすることをはじめ、長期的な視点での資産形成を目指すことや、資産全体のポートフォリオのバランスをとることが大切です。

新築ワンルームマンション投資の実績が豊富なメイクスでは、専門知識を持った経験豊富なコンサルタントが最適な資産形成をサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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