不動産投資ローンのおすすめポイントとは?借入先の種類や住宅ローンとの違いも解説

最終更新日:2022.11.30 (公開:2022.10.28)

不動産投資ローンは賃貸用物件の購入(不動産投資事業)を目的とした融資です。その種類をはじめ、メリット・デメリット、住宅ローンとの違いなどについて解説します。

不動産投資を検討する際、「不動産投資でローンの利用をしたい」「不動産投資ローンと住宅ローンの違いが分からない」「不動産投資に住宅ローンを使いたいがなぜできないのか?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、不動産投資ローンの種類などの基礎知識をはじめ、不動産ローンを利用するメリットとデメリット、住宅ローンとの違いなどについて解説します。

不動産投資ローンとは?言葉の意味を解説

まず、「不動産投資ローン」という言葉の意味について見てみましょう。

不動産投資ローンとは、賃貸用物件の購入(不動産投資事業)を目的とした融資のこと。

不動産投資では、賃貸物件の家賃収入からローン返済をすることが前提となるのが一般的なため、ローン審査では、投資家の属性(勤め先や年収、保有資産など)だけでなく物件の収益性や資産価値も重視される傾向です。

あくまで事業用ローンであり、住宅ローンに比較して融資のハードルが高い点が特徴です。

不動産投資ローンの借入先は主に5つ

続いては、不動産投資ローンを利用する場合の主な借入先を種類別に見ていきましょう。

借入先としては以下の5つがあります。

・都市銀行
・地方銀行
・信用金庫や信用組合
・日本政策金融公庫

・ノンバンクやネット銀行

それぞれの一般的な特徴をまとめると下表のようになります。

【不動産投資ローン借入先別の特徴比較表】

特徴金利の目安
都市銀行・全国展開している銀行・条件が良い反面、審査の難易度が高い1%程度
地方銀行・地域に根差した銀行・都市銀行と比べて、審査の難易度がやや下がる・事業展開している地域の不動産向き1%前半から2%前後
信用金庫や信用組合・会員や組合員の共同出資によって運営される金融機関・地方銀行よりさらに地元に根差しており融資先が限定される・メイン口座を持つ地元住民向き1%後半から2%後半
日本政策金融公庫・国が株式を100%保有する金融機関・個人事業主など小規模事業者も支援・「不動産賃貸事業」であれば融資対象1%以下から2%台
ノンバンクおよびネット銀行・貸付だけを行う金融会社やインターネット専業銀行・エリアを問わず融資可能・審査の難易度は通常の銀行などに比べて低い1%後半から4%後半

※変動金利の場合、今後の経済状況の変動によって金利が変わることもあります。

融資をどこから受けるかは、不動産投資を行う上でとても重要なポイントです。金融機関によって融資の条件やハードルの高さも違うので、事前によく確認しておきましょう。

ここからは、各借入先の特徴をご紹介します。

都市銀行による融資

東京都をはじめ大都市に本店があり、全国展開しているのが都市銀行です。金利の目安は、1%程度と条件が良く、投資家の意向に合わせた融資期間や返済方法に対応してくれます。

ただ、条件が良い反面、審査の難易度がとても高く、借入自体が難しい点がデメリットです。

不動産投資向けローンにあまり積極的でない点も特徴で、物件の評価はもちろん投資家の属性も厳しく審査されます。非常に高属性の方、大地主の方以外はおすすめできません。

都市銀行での借入を考えている方は、投資資金を潤沢に準備した上で、不動産投資向けローンに積極的な支店をあたるのがおすすめです。

地方銀行による融資

地方銀行は、特定の地域に根差して事業展開している銀行です。一般的に、融資する物件についても事業展開している地域、支店が存在する範囲内に限られるのが特徴です。

金利の目安は1%前半から2%前後で、都市銀行に比べると高いですが、それでも好条件といえるでしょう。審査の難易度は、都市銀行に比較して若干下がるレベルですが、物件や支店によっては積極融資してくれるケースもあります。自分が住んでいる地域など特定エリアで不動産投資をしたい方で、地方銀行の支店があればおすすめです。

信用金庫・信用組合による融資

信用金庫・信用組合とは、会員や組合員の共同出資によって非営利で運営される金融機関です。地方銀行よりもいっそう地元に根差して展開しているのが特徴で、融資が可能な範囲も支店があるエリアに限定されています。

金利については1%後半から2%後半が目安ですが、投資家の属性や物件次第では、さらに好条件になるケースもあります。審査の難易度は、融資先を限定していることから、メイン口座を持つ地元住民であれば積極的に融資してくれるケースが多いです。また、サラリーマン大家より専業大家の方が融資時の評価が高くなる傾向があります。

日本政策金融公庫による融資

日本政策金融公庫は、国が株式を100%保有する特別な金融機関で「日本公庫」とも呼ばれています。法律(日本政策金融公庫法)に基づき、決められた予算などの範囲内で運営されているのが特徴です。

「一般の金融機関が行う金融を補完すること」や「国民生活の向上に寄与すること」を目的に、国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の3つの分野で融資業務などを行っています。

その融資制度は、個人事業主などの小規模事業者や創業時支援に対応しているのも特徴の一つで、「不動産賃貸事業」として物件を購入し賃貸業を営む場合には融資の対象となります。

公共性が高い金融機関のため、一般金融機関よりも低金利で融資が受けられます。また、金利は固定金利のみで、金利の目安は1%以下から2%台です。

ノンバンクやネット銀行による融資

ノンバンクとは、預金の受け入れをせず貸付だけを行う信販会社などの金融会社です。また、ネット銀行は、リアルの店舗を持たないでインターネット上での取引を中心に営業している銀行のこと。エリアを問わず融資が可能であり、銀行や信用金庫に比較して条件面は悪いですが、比較的、借入のハードルが低いのが特徴です。

金利の目安は1%後半から4%ですが、金融会社やネット銀行によって条件面に大きな違いがあります。審査の難易度は他の銀行などに比べて低いので、他で融資の利用が難しい方でも利用できる可能性があります。

※不動産投資における金融機関開拓は大変な作業です。不動産会社から紹介を受ける金融機関を利用すると便利です。

知らなかったでは済まない!「住宅ローン」の不正利用

近年、不動産投資に住宅ローンを不正利用することが問題となっています。住宅ローンは、マイホームを購入するために利用するローンであり、不動産投資には利用できません。知らなかったでは済まされないので注意しましょう。

不動産ローンと住宅ローンの違いや、不正利用が招くリスクなどについて見ていきましょう。

不動産投資ローンと住宅ローンの根本的な違いとは?

不動産投資ローンは、賃貸事業を目的とした事業用ローンです。一方、住宅ローンは自分自身が生活をする自宅・マイホームを購入するためのローンで、借入目的に明確な違いがあります。

まれに、住宅ローンでも投資物件を購入できると勘違いしている方がいますが、住宅ローンを利用した不動産投資はできず、違法行為です。

投資への不正利用が招く大きなリスク

投資物件の購入に住宅ローンを不正利用すると、一括返済を求められるケースが多くなっています。もし、一括返済の資金が無ければ物件を売却する必要も出てきます。ローンの残債より低い金額でないと買い手がつかない場合、借金だけが残る恐れもあります。

仮に不動産会社から勧められた場合でも、責任は投資家自身が負うケースがほとんどであるため、住宅ローンの不正利用は大きなリスクを招きます。

住宅ローンで投資を勧める不動産会社は危険

住宅ローンを不正利用して不動産投資を勧める不動産会社は危険です。先述したように、投資物件を住宅ローンで購入するのは違法行為であり、詐欺罪に当たることも。

また、住宅ローンを使って不動産投資を勧める会社は、その違法性を認識した上で提案している場合もあります。悪質業者の可能性があるので、不動産投資に住宅ローンの利用を勧められた時点で、その不動産会社での検討はやめておきましょう。

不動産投資ローンのメリット

金融機関からのローンを利用できることは、不動産投資の大きな強みです。ローンのメリットを理解することは、不動産投資においてとても大切なポイントになります。

ここでは、不動産投資ローンのメリットについて説明していきます。

レバレッジを効かせて運用できる

不動産投資ローンの最も大きなメリットは、レバレッジを効かせた運用ができる点です。

レバレッジ(てこの原理)とは、手元資金を超える金額を運用することで、大きなリターンが期待できる投資手法のこと。

例えば、手元資金が100万円の場合でも、900万円の融資を受けることによって、1,000万円の物件を購入し、運用できるのです。

レバレッジ効果を生かして、手元に残った資金を繰上げ返済に回すことや、突発的な運用資金のために残しておくことで運用リスクを低減できます。

複利運用で資産をコツコツ増やせる

家賃収入で得た利益を再び不動産に投資することで、複利効果を得られる点もメリットです。

複利効果とは、投資で得た利益を再度投資に回すと運用効率が上がる効果のことで、利益が利益を生む効果が期待できます。

不動産投資では、家賃収入からローンの返済と経費を差し引いたキャッシュフローが毎月の利益です。利益をそのまま貯金に回すのも良いですが、ある程度貯まったタイミングで別の不動産に投資することで、資産をコツコツ増やすことができます。

団体信用生命保険へ加入できる

不動産投資でローンを利用する際には、団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。

団信とは、ローンの返済期間中、契約者に万が一のことがあった場合に保険金でローンが完済されるもので、住宅ローンを組む際にも利用されます。

遺された家族には、無借金の物件と毎月の家賃収入が手に入るため、生命保険代わりになるのがメリットです。不動産投資を始めるタイミングで保険の見直しをする方も多くいます。

不動産投資ローンのデメリット

続いては、不動産投資ローンのデメリットについても見ていきましょう。メリットだけでなく、デメリットや注意点にも目を向けることで、リスクへの備えもしておくことが大切です。

ローンの利息が発生する

当たり前のことですが、ローンを組むと利息が発生します。ローンを組む際には、利息を加味して収支のシミュレーションを立てることが大切です。

例えば、借入1,500万円、期間30年、金利2%、元利均等返済方式でローンを組んだ場合、返済額はトータルで約1,996万円になります。

「どうしても利息がもったいないと感じてしまう…」という場合には、借入期間を短縮する、金利交渉をする、繰り上げ返済するなどして、将来発生する利息を減らすことも可能です。

不動産に抵当権が設定される

住宅ローンと同じですが、不動産投資ローンを組む際にも、購入する物件に対して抵当権が設定されます。仮にローンの返済が滞ってしまった際には、金融機関は抵当権を設定している物件を差し押さえて、競売にかけることで資金を回収します。

抵当権が設定されると、ローンを完済するまでは差し押さえや競売にかけられるリスクがあるのでローンの返済には注意が必要です。

不動産投資ローンについてよくある質問

最後に、不動産投資ローンについて、よくある質問と回答をご紹介します。

Q:不動産投資ローンと住宅ローンを同時に組めないの?

結論から言うと、不動産投資ローンと住宅ローンは同時に組むことも可能です。ただ、順番には気をつけないと同時に組むのが難しくなるケースもあるので注意してください。

優先順位にもよりますが、どちらも組みたいのであれば、不動産投資ローンを先に組むのがベターです。住宅ローンを先に組んでしまうと、投資できる物件の幅がかなり狭くなり、不動産投資自体が難しくなるケースも多々あります。

Q:投資用物件は住宅ローンでも購入できるの?

投資用物件を住宅ローンで購入することはできません。住宅ローンは金利が安く魅力的に見えますが、投資用物件の購入に利用するのは虚偽申告となるリスクがあります。仮に不動産会社に勧められた場合でも決して利用してはいけません。

Q:不動産投資ローンの頭金はいくら?

不動産投資ローンの頭金はゼロでも可能です。特に、区分マンション投資など比較的価格が安い物件は、フルローンでの購入することができます。

ただ、物件購入には、ローン手数料や登記費用、保険料などの初期費用が発生し、これには自己資金を用意する必要があります。初期費用は物件にもよりますが、100万円~200万円程度の場合もあります。

Q:年収いくらから不動産投資ローンを組めるの?

不動産投資ローンは、物件の収益性も評価の対象となるため、年収いくらからという制限があるわけではありません。正社員で働いているほうが組みやすいなど有利な条件はありますが、目安として年収500万円程度からと考えるといいでしょう。

Q:家賃収入も審査基準になるの?

金融機関によりますが、家賃収入が審査基準になる場合ももちろんあります。不動産投資ローンは、物件の収益性を厳しく審査されるので、家賃収入による収益性が高い物件が審査に有利です。

資産運用に欠かせない不動産投資ローンの活用

今回は、不動産投資ローンのおすすめポイントをはじめ、住宅ローンとの違い、不動産投資ローンを利用する場合のメリットとデメリットについて解説しました。

不動産投資ローンは、自己資金だけでは用意できないような資金を用意できる点が大きな強みです。資産運用で安定した収益を目指すためにも、不動産投資ローンの活用はおすすめです。

不動産投資ローンをはじめ、自分に合った資産運用について詳しく知りたい方は、実績豊富なメイクスまでお気軽にご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な資産運用をサポートします。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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