海外不動産投資のメリット・デメリットを解説!リスクや注意点も紹介

最終更新日:2023.10.20 (公開:2023.10.20)

不動産投資は、投資用物件を購入して賃貸経営をすることで、長期的な資産形成を行う投資手法です。中でも、海外不動産を購入する海外不動産投資に注目が集まっていますが、どのような手法か気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は…
海外不動産投資が注目される理由や、国内不動産投資と比較したときのメリットとデメリット、海外不動産に投資する際のリスクなどについて解説します。

海外不動産投資とは?

海外不動産投資とは「海外にある物件に投資すること」を指します。国内での不動産投資と同じように海外の不動産を購入して、家賃収入を得たり、価格変動を活かした売却益を狙ったりする投資方法です。

海外不動産投資の対象となる国は、大別すると先進国(アメリカやヨーロッパ諸国など)と新興国(シンガポールやフィリピン、マレーシアなど)に分かれます。先進国の不動産は、物件価格が安定して高めの傾向があります。

対して、新興国の不動産は物件価格は低めですが、物価が不安定なため不動産価格が下がってしまうリスクがあります

海外不動産投資が注目される理由

海外不動産投資は多くの投資家に注目されています。その主な理由は以下の3つです。

・海外の不動産価格上昇による売却益が狙える
・人口が増えている国の場合は安定した家賃収入が得られる
・資産を分散することによるリスク回避ができる

それぞれの理由について解説します。

海外の不動産価格上昇による売却益が狙える

海外には、経済成長や人口増加により不動産価格が継続して上昇している国があります。そのような国では、日本国内の不動産投資よりも高めのキャピタルゲイン(売却益)を得やすい傾向にあります。この点が、日本人投資家が海外不動産投資に注目する大きな理由です。

キャピタルゲインとは、保有する資産の売却により得られる売買差益です。「売却金額から購入金額や手数料、税金などを差し引いた差額」がキャピタルゲインとなります。よって、購入時よりも売却時の不動産価格の値上がりが大きいほど、高い利益を得られます。

人口が増えている国の場合は安定した家賃収入が得られる

不動産投資は、投資用物件からの家賃収入が得られることで、金融資産に比べて収益を得やすいという特徴があります。家賃収入を継続的、安定的に得られる環境であれば、収益の柱が強固になるということです。

しかし、現在の日本においては、人口減少を背景に賃貸需要が縮小し、空室率の悪化も見込まれます。特に、人口減少が顕著な都市部以外の地域などは、将来的な家賃収入の安定性は不透明です。

一方の海外では、人口が増加し、継続した経済成長を続けている国が少なくありません。こうした国では、人口増加により住まいを必要とする人も増え続け、不動産需要の拡大が今後も見込まれているのです。

このように、不動産需要が高く、空室リスクや家賃下落リスクが低い海外で不動産投資をするほうが、日本で不動産投資を行うよりも安定した家賃収入が得やすい可能性がある点が、海外不動産投資が注目される理由のひとつです。

資産を分散することによるリスク回避ができる

投資の格言に「卵は1つのカゴに盛るな」というものがあります。すべての卵を1つのカゴに入れていると、カゴを落としたときにすべての卵が割れてダメになってしまうかもしれません。しかし、いくつかのカゴに卵を分けて入れておけば、1つのカゴを落としても他のカゴに入っている卵は無事です。

資産運用では、特定の資産だけでなく、特性の異なる複数の資産に投資をすることで、1つの資産の価値が下がったとしても他の資産があるため、リスクを下げやすくなるのです。

例えば…
不動産投資のほか、株式や投資信託などの金融商品、現物商品などの資産を組み合わせてポートフォリオのバランスをとることがリスク回避につながります。

不動産投資においても、国内の不動産だけ所有している場合、国内経済が低迷したり、地価が下がったりしたときの影響をダイレクトに受けます。別のカゴ、つまり海外不動産を購入することで、同じ不動産投資の中でもリスク分散ができるのです。

■関連記事資産形成に最適なポートフォリオの組み方のポイントとは?

海外不動産投資の4つのメリット

国内不動産投資と比較したときの海外不動産投資のメリットには次のようなものがあります。

・円安に強い
・高い利回りが得られる
・収益や通貨のリスク分散ができる

それぞれのメリットについて解説します。

円安に強い

海外不動産投資の大きな特徴は、投資先の国の通貨で家賃収入を得ることです。そのため、現地通貨を日本円に換算する為替レートが収益に影響を与えます。

例えば、家賃1,000ドルの場合、1ドル100円のレートであれば日本円で100,000円です。もし円安になり、1ドル200円のレートになれば、日本円で200,000円と倍の収入を得られることになります。これは極端な例ですが、円だけで資産を保有している場合には得られない効果といえます。

ただし、海外不動産を購入するときの費用を円で支払う場合は、不動産売却時が円高の場合は資産価値が高かったとしても利益が減ってしまう可能性があります。キャピタルゲインを得たい場合は、売却タイミングに気をつける必要があります

高い利回りが得られる

現在、海外の不動産投資の利回りは、日本の不動産投資の利回りに比べて高いため、高い収益を得られる可能性があります。経済成長や人口の増加が著しい国では不動産の需要が高く、高い利回りが期待できます。

海外不動産の情報サイトである「グローバル・プロパティ・ガイド」によると、2023年の日本(東京)の不動産投資の表面利回りは60か国(地域)中44位の4.3%です。一方で、1位のジョージアの表面利回りは12.14%、2位の南アフリカは9.95%、3位のアイルランドは8.38%で、日本の約2~3倍程度の利回りとなっています。

なお、投資先として日本人投資家に人気のあるインドネシア(ジャカルタなど)の表面利回りは7.55%、フィリピン(マニラ首都圏)は5.21%です。

■参考Residential Rental Yields by Country

■表面利回りとは?
物件価格に対して家賃収入がどの程度得られるかという収益性の指標です。「想定年間家賃収入 ÷ 物件の購入価格」で算出します。

収益や通貨のリスク分散ができる

前述した通り、複数の投資先へ分散して運用するのがリスク回避を考慮した資産運用のポイントです。海外不動産投資は、不動産投資全体のリスク分散につながります。

通貨(為替レート)も考慮して、複数の国に分散して投資用物件を所有することで、1か国の投資用物件が赤字になっても、他の国の物件も合わせたトータルで赤字にならなければ問題ありません。ポイントは、投資対象の国や通貨を特定の1か国・1通貨に限定しないことです。分散投資の観点からバランス良く組み合わせることが大切です。

海外不動産投資のデメリットとは

海外不動産投資にはデメリットもあります。国内不動産投資と比較したときのデメリットとして、以下のような点が挙げられます。

・金融機関などから融資を受けにくい
・為替リスクがある
・政治経済が不安定な国がある

それぞれのデメリットについて解説します。

金融機関などから融資を受けにくい

海外不動産投資を手持ち資金で行えない場合は、国内もしくは現地の金融機関などから融資を受けることになりますが、どちらの場合でも融資を受けにくいという現状があります。

まず、国内の金融機関などは、国内不動産投資よりもリスクの高いとされる海外不動産投資のローンをあまり扱っていません。また、リスクが高いぶん、ローンの融資条件や審査も厳しい傾向にあります。

また、国によっては、非居住者でも現地の金融機関から融資を受けられますが、対応していない国も少なくありません。対応している国でも、ローン契約に際して、現地における収入証明書やクレジットヒストリーの提出を求められることもあるため、日本に在住しながら海外でローンを組むハードルは高めです。

為替リスクがある

海外不動産投資には、為替リスクがあります。為替リスクとは、為替の値動きにより収益が変動するリスクです。

例えば、アメリカで1カ月1,000ドルでマンションの1室を賃貸経営しているとしましょう。

■家賃1,000ドル、為替レート1ドル100円の場合
1カ月1,000ドル×100円=100,000円の家賃収入

■家賃1,000ドル、為替レート1ドル90円の場合
1カ月1,000ドル×90円=90,000円の家賃収入

■家賃1,000ドル、為替レート1ドル110円の場合
1カ月1,000ドル×110円=110,000円の家賃収入

1ドル100円のときは、日本円で10万円の家賃収入となります。1ドル90円の円高となった場合、ドルベースでの家賃収入は同じですが、日本円に換算すると9万円の家賃収入です。反対に、1ドル110円の円安となった場合、日本円で11万円の家賃収入となります。つまり、現地の通貨が円高に振れれば利益が減り、円安に振れれば利益が増えます。

為替変動は国際情勢によって変動するため、予測することは難しいです。そのため、特定の国だけに投資しないなどのリスクヘッジが大切になります。

政治経済が不安定な国がある

投資先の国によっては、政治・経済の情勢が不安定なため、長期的な不動産投資に適していない場合があります。特に、新興国は政治や経済の情勢が不安定になりやすいため注意が必要です。

内政が悪化したり、政権が交代して制度が変わったりすれば、経済が不安定になるため、投資市場も混乱して予定通りの収益を得られないかもしれません。また、戦争や内紛、クーデターなどにより国が荒れると、不動産の所有や現地への訪問ができなくなるおそれもあります。

海外不動産投資の税制上のリスクを知っておこう

海外不動産投資を行う上で気をつけたい、税制上のリスクがいくつかあります。ここでは、代表的なものを2つ紹介します。

海外不動産投資で得る収益には国内外の税金がかかる

日本に居住している個人や国内法人には、基本的に国内外を問わず、発生した所得に対して日本で課税されます。また、海外で得た所得には、外国の法令により法人税や所得税に相当する租税が課せられます

日本でも海外でも所得に課税されると、いわゆる二重課税の状態になります。この二重課税を防ぐためにあるのが、外国税額控除です。この控除を利用すると、一定額が法人税または所得税から差し引かれます。

具体的な税額の算出方法などは税法上の解釈によって異なる場合もあるので、詳しくは税理士や海外不動産投資の専門家に相談しましょう。

参考No.3560 居住者が海外の不動産を売却した場合の課税関係等|国税庁

税制改正による影響を受けやすい

不動産に関する税制度は、社会状況に合わせて改正されることがあります。税制改正によって、不動産投資にとって不利な環境が生じる可能性には注意が必要です。

例えば、前述したように、過去には個人の海外不動産投資でも減価償却費の計上が可能でしたが、2020年度税制改正において個人の海外不動産投資への対策が図られ、海外不動産と国内所得との損益通算ができなくなりました。

税制は、時代の変化や経済状況に合わせて変化します。このため、毎年の税制改正をチェックし、必要に応じて運用方法を見直すほか、詳しくは海外不動産投資の専門家へ相談するのがおすすめです。

海外不動産投資に向いている人とは?

メリットとデメリットのある海外不動産投資ですが、その特徴から次のような人に向いているといえます。

・海外不動産をキャッシュで購入できる人
・海外に移住したいと思っている人
・海外に住んでいる人

それぞれどのような人なのか、詳しく見ていきましょう。

海外不動産をキャッシュで購入できる人

日本で海外不動産投資のためにローンを組むことも、現地で非居住者がローンを組むことも難しい場合があります。したがって、海外不動産投資は、投資額の大半もしくは全額を手持ちの現金で支払えるだけの資産を保有している人に適しています

ただし、金融機関などからの融資を受けずに、全額手持ちの現金だけで不動産投資を行う場合、少ない自己資金で収益を得る「レバレッジ効果」は期待できません。レバレッジ効果を利かせて投資をしたい人は、国内不動産投資に目を向ける必要があるでしょう。

海外に移住したいと思っている人

国内不動産投資と異なり海外不動産投資は、国内にいては不動産を現地で確認できません。したがって、海外に行く機会が多く、現地の土地勘があったり現地の情報に詳しかったりする人のほうが向いています。

海外の多くの国(アメリカ・オーストラリア・タイ・スペイン・ニュージーランドなど)では、その国の不動産に一定金額を投資すると永住権を獲得(投資家ビザ)できる国があります。海外移住したい人には、海外不動産投資はおすすめです。

★注意★
先進国で永住権を獲得するには相当なハードルがある一方で、途上国ではそれほどでもないなど、国によって条件や環境は異なります。「不動産投資をしやすい国」と「自分が永住したい国」とが必ずしも合致しないことがあり、慎重に検討する必要があるでしょう。

海外に住んでいる人

海外不動産投資を行う予定の、現地の言語や商習慣に慣れている海外在住者も、海外不動産投資に適しています。

海外不動産投資で大きな障害となるのが、言語の壁や現地の商習慣の違いです。しかし、海外在住者なら、普段の生活で現地の言語や商習慣に慣れ親しんでいるため、上記の点に関しては問題にならないでしょう。

現地に住んでいることから、投資物件の立地や建築状況を知ることができますし、現地の不動産会社の力を借りて周辺相場などの調査も行いやすいです。

海外不動産投資はリスクを考慮して投資先を選定しよう

海外不動産投資は、経済成長や人口が増加している国では、不動産価格上昇による売却益が狙え、安定した家賃収入につながる可能性があります。また、海外への不動産投資はリスク分散にもつながります。

しかし、海外不動産投資では、為替や、その国固有の政治・経済情勢の変化など、国内不動産投資にはないリスク要因があります。こうしたリスクの存在を理解して、許容内で投資できるかどうかを十分に検討することが大切です。

経験が浅い場合には、海外不動産投資の実績や知見のある不動産投資会社に相談するか、国内の不動産投資で実績を積むのが安心でしょう。

まずは国内不動産投資から検討したいときには、新築ワンルームマンション投資の実績豊富なメイクスまでぜひお気軽にご相談ください!


※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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