これから投資に挑戦しようと考えている人の中には「不動産投資と株式投資のどちらを選ぶべきか?」と悩んでいる人もいるかもしれません。不動産と株式は投資商品としての特徴が異なるため、それを理解して自身に合った投資先を選ぶことが大切です。
そこで今回は、不動産投資と株式投資の概要やメリットとデメリット、それぞれの投資に適した人の特徴、成功のポイントなどを解説します。
目次
不動産投資とは?所有物件の家賃収入や売却益がポイント
不動産投資とは、マンションやアパート、戸建てなどの不動産を購入し、その不動産を運用して利益を得る投資方法です。
不動産運用でオーナーが手に入れられる利益は、大きく分けて次の2種類があります。
- 毎月の家賃収入
- 売却による差益
■毎月の家賃収入
不動産を賃貸物件として運用し、家賃収入を得られます。家賃収入は入居者がいる限り、安定的かつ継続的な収入が見込める点がメリットです。
このように、資産を保有している間に得られる利益は「インカムゲイン」とも呼ばれています。
■売却による差益
保有する不動産を売却した際に得られる利益です。物件を手放すと継続的な収入は得られなくなるものの、売却時の物件価値や地価が購入時と比べて上昇していれば、その価格差で利益を得られます。ただし、地価が下がったり建物が劣化したりして、購入価格よりも売却価格が低くなってしまうと売却しても利益は出ません。
このように、保有している資産を売却して得られる利益は「キャピタルゲイン」とも呼ばれています。
【関連記事】なぜ不動産投資なのか?資産運用の中でも注目される理由と魅力
株式投資とは?会社の業績や経済状況による株価変動がポイント
株式投資では、企業が事業活動に必要な資金調達のために発行する株式を購入することで、議決権や配当金、株主優待を受けるなどのメリットを受けられます。また、株価が安いときに株式を購入し、株式が値上がりした後に売却すれば、売却益が得られます。
株式は有価証券であるため、不動産のようにそれ自身に価値があるわけではありません。会社の業績や国内外の経済状況などの影響を受けて、価格が変動しやすいという性質を持っています。
不動産投資の主なメリット・デメリット
不動産投資には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの内容を見比べてみましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・安定した家賃収入が得られる ・賃貸業務は管理会社へ委託可能 ・資産価値が下がりにくくインフレに強い ・不動産投資ローンを利用できる | ・空室が発生すると家賃収入が得られない ・空室が続くと家賃収入と経費分が赤字になる ・経年劣化で資産価値が目減りする ・災害に見舞われるリスクがある |
メリット
不動産投資では、入居者がいれば、基本的に安定した家賃収入が毎月得られます。特に、マンションやアパートの1棟投資であれば、入居者が全員同じタイミングで退去するのはまれであるため、急激に収入が変動することは少ないです。このため、資産を売買することなく安定した収入が得られる点は、株式投資にはないメリットです。
また、入居者募集や入居者の審査、クレーム対応といった賃貸経営に必要な業務は、賃貸管理会社に委託すればオーナーの手間を最小限に抑えられます。
さらに、不動産は資産価値が下がりにくく、物価が上昇すれば不動産の価値も上がる傾向にあるため、インフレのリスクヘッジとして役立ちます。加えて、不動産投資の場合、高額の借り入れも可能な不動産投資ローンが利用できるため、少ない自己資金でより大きな投資効果を狙えるでしょう。
デメリット
不動産投資は、運用物件に空室が発生した場合、家賃収入が得られません。それだけでなく、管理費などの経費は入居者がいない空室期間中も支払う必要があります。築浅であったり立地条件が良かったりすれば空室は埋まりやすいですが、物件によってはなかなか入居者が見つからず、空室が長期化する可能性があるでしょう。
また、不動産は経年劣化によって資産価値が目減りするため、資産価値に応じた家賃の見直しやリフォームが必要なケースがあります。また、地震や火事などの災害に見舞われる可能性もあるため、トラブルに備えた保険加入も必要です。
株式投資の主なメリット・デメリット
株式投資には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれの内容を確認していきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・資産の流動性が高い ・配当金や株主優待を受け取れる ・株主総会に参加するなど企業経営に株主として参画可能 | ・預貯金などと異なり元本保証がない ・企業経営の悪化で売買取引が成立しない場合がある ・指値注文の場合、約定しない場合もある |
メリット
上場企業に投資を行う場合、取引者が多いため、自分が売却したいタイミングで資産を現金化しやすい点がメリットです。この特徴は「資産の流動性が高い」といわれます。
そのほかにも、株式を保有していれば株主総会に参加でき、保有している株数に応じて議決権を行使することが可能です。このため、応援している企業や経営に参加したい企業の株を持つことで、株主総会を通して企業経営に参画できます。また、保有株数に応じて、配当金や株主優待を受け取れます。
デメリット
株式投資は、預貯金などと異なり元本保証がありません。したがって、企業が倒産すると、保有する株式の価値がなくなり資産を失う可能性があります。
また、すぐに現金化できる資産とはいえ、株式の取引は売り手と買い手がいて初めて成立するため、経営の悪化などでどちらかが極端に多くなった場合には取引が成立しません。また、買い注文や売り注文を、成行ではなく指値で行った場合、株価が指値に達しないときには約定せず、注文が失効することもあります。
不動産投資と株式投資どちらがおすすめ?
不動産投資と株式投資はどちらがおすすめなのでしょうか。それぞれの投資に適した人の特徴とともに紹介します。
資産形成の長期的視点と決断力があるなら不動産投資
不動産投資は、主に毎月の家賃収入で安定的な利益を狙うため、長期的な資産形成への視点が不可欠です。
また、不動産投資では物件購入にまとまった資金が必要になります。このため、資金が潤沢な場合や勤続年数が長く安定した収入があり、ローンの審査に通りやすい人に適しています。
不動産投資を始めるにあたっては、ターゲットや立地、物件の選定、金融機関や不動産会社選びなど、さまざまなことを決断して行動に移さなければなりません。一般的には賃貸業務は管理会社へ委託しますが、管理業務をオーナー自ら行う場合には時間的な余裕も必要です。
★おすすめ★
決断力があり、コツコツと長期的な視点で資産を運用することが苦でない人
株式投資は、資産形成という意味では長期的な視点が大切なことは不動産投資と同様ですが、経済状況の急変などのリスクを許容でき、我慢強い人に適しています。投資商品としては、ハイリスク・ハイリターンである点は認識しておく必要があるでしょう。
株価は企業業績や長期金利の動向、経済指標や市場の動向などの影響を受けて変動します。株式投資を続けていれば、価格や為替の変動によって大きな利益(含み益)が得られるときもあれば、損失(含み損)が生じるタイミングもあります。
また長期的には、企業の実力や事業成長、経済変動によって株価が上昇すると分析した銘柄を選ぶために、企業研究や経済に関する勉強も不可欠です。
余裕資金があるならリスク分散目的で両方を行う
資産運用の有名なことわざに「Don’t put all eggs in one basket(1つのかごに卵を盛るな)」というものがあります。1つのかごに卵を入れていると、何かあったときにすべて割れてしまいます。そうならないように、卵を分散させておくことの重要性を説いたことわざです。
資産運用を考えた場合、1種類の投資先(投資商品)に資産を集中させてしまうと、その資産価格が下落したときには影響を100%受けてしまいます。
しかし、値動きと性質が異なる資産に分散投資すれば、1つの資産が下落したときでも別の資産でカバーができ、バランスのとれた運用成果を目指せます。このため、投資に使える余裕資金がある場合は、不動産と株式の双方に投資してリスクを分散させるとよいでしょう。
【関連記事】資産形成に最適なポートフォリオの組み方のポイントとは?
<不動産投資と株式投資に向いている人のチェック表>
不動産投資 | 株式投資 | |
---|---|---|
長期的な資産形成が目的の人 | ○ | ○ ※1 |
決断力がない人 | × | △ ※2 |
安定的な収入目的の人 | ○ | × |
ハイリスク・ハイリターンを目指す人 | × | ○ |
余裕資金がある人 | ○ ※3 | ○ ※3 |
※1:長期保有の場合
※2:決断力が必要な個別株ではなく、投資信託(つみたてNISA、iDecoを含む)ではプロが選んだ銘柄へ投資することも可能
※3:投資商品は社会情勢や市場の変化で価格変動や元本割れのリスクもあります。そのため、投資の特性やリスクを理解した上で無理のない投資をすることが大切です。
不動産投資を成功させるための3つのポイント
不動産投資を成功させるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
- 物件の種類や特徴を事前に知っておく
- 不動産投資ローンを有効活用する
- 利回りよりも、空室になりにくい物件を探す
物件の種類や特徴を事前に知っておく
不動産投資を成功させるには、自分の資産状況や投資方針に合った物件を選ぶことが大切です。そのためには、事前に物件の種類や特徴について知っておきましょう。
不動産投資のために購入する物件には、1棟マンション・1棟アパート、区分マンション、戸建てなどの種類があります。また、同じ種類の物件でも、築年数や立地、交通の便の良さ、周辺環境の充実度などの特徴により、需要や利回りは異なります。
個人で取得できる情報には限りがあるため、不動産投資会社や投資物件の事情に詳しい不動産会社に相談してみるのもよいでしょう。
不動産投資ローンを有効活用する
不動産投資は、自身の資産を使い一括で不動産を購入するケースもありますが、多くは不動産投資専用に用意された「不動産投資ローン」を活用します。
不動産投資ローンは、居住用の住宅ローンと比べて金利が高めに設定されていて、融資審査に通過する必要がありますが、少ない自己資金でも大きな利益を得ることが可能になります。
良い条件で融資を受けられるよう、本業の年収を高め、信用度の高いキャリアを積むことも重要です。一般的に、年収500万円以上の会社員であれば、無理のない不動産投資ローンを組める可能性があります。
なお、居住用の住宅ローンを不動産投資に利用することは重大な契約違反です。判明した場合には一括返済が求められることもあり、絶対に不正利用をしてはいけません。
【関連記事】不動産投資はいくらから始められるのか?頭金など自己資金の目安は?
利回りよりも、空室になりにくい物件を探す
収益の効率を高めたい場合は、入居率を高くすることが大切です。したがって、「空室になりにくい」あるいは「空室になっても、すぐに新しい入居が見込める」ような安定性のある物件を探しましょう。利回りの高さよりも、安定した高い入居率が実現できるかがポイントです。
また、空室になりにくくするために、一定期間ごとに設備更新や内装リフォームを行ったり、広告に力を入れたりする方法もあります。ただ、費用がかさみやすいので、賃貸経営の経験が浅いうちは好条件の物件を探すほうがおすすめです。
株式投資を成功させるための3つのポイント
つづいて、株式投資を成功させるための3つのポイントを紹介します。
- 国内と国外両方の株式を購入する
- 投資先企業の情報を事前に集める
- 初心者のうちは中長期の投資を前提にする
国内と国外両方の株式を購入する
資産運用では、投資する国や地域、商品、通貨、時間を分散させることが大切です。日本だけでなく海外の株式も購入したり、異なるアセットクラス(資産クラス)の商品を購入したり、さまざまな国の通貨に投資したり、資金を複数回に分けて投資したりするようにしましょう。
投資先企業の情報を事前に集める
投資を行う前には、投資先の企業情報を詳しく収集することが欠かせません。業績や商品、事業展開の情報を調べ、将来性がどの程度あるかを把握しておきましょう。
株価は企業業績や長期金利の動向、経済指標、海外市場の動向、投資家の売買動向、国内外の政治情勢などにより変動します。事前にこれらの知識を身につけてから、銘柄を選定するのがポイントです。
「自分も知っている企業だから」「商品が好きだから」「配当金や株主優待が良いから」「人気の銘柄だから」といったあいまいな理由で投資先を決めずに、しっかりと企業の情報を調査しておきましょう。
初心者のうちは中長期の投資を前提にする
株式投資を行う人の中には、数カ月以内の短期間で売買を繰り返す人もいます。株式の値上がりを予測し、売却益を投機的に手に入れることを目指していますが、初心者の場合、株価の短期での値動き予測は難しいです。
このため、株式投資の経験が浅いうちは、半年から数年以上の中長期での運用を前提にして、投資先を決定することをおすすめします。情報を集める際にも、数年単位で将来性のある産業や分野に携わっている企業にすることで、中長期の投資に向いている企業を探しやすいでしょう。
不動産投資と株式投資どちらも併用しながら資産運用に挑戦してみよう
不動産投資は、まとまった資金が必要になるものの、購入した物件に入居者がいる限り、安定的かつ継続的に収入を得られます。不動産投資ローンを活用すれば、少額の自己資金で、より大きな利益が見込めます。一方で資産運用はリスク分散が重要なため、資金に余裕があれば株式投資も併用して分散投資をするのがおすすめです。
投資方法にはそれぞれに特徴やメリット・デメリットがありますが、もし不動産投資を検討している場合には、新築ワンルームマンション投資の実績が豊富なメイクスにご相談ください。不動産投資の専門家であるコンサルタントが、最適な資産形成をサポートします。