サラリーマンでも不動産投資で節税はできる?仕組みや節税効果が期待できる税金の種類を解説

最終更新日:2023.04.11 (公開:2023.01.05)

「不動産投資による節税に興味がある」「不動産投資で節税をしてみたいが、仕組みやリスクも知りたい」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、そもそもサラリーマンでも不動産投資で節税はできるのでしょうか?

そこで今回は、サラリーマンが不動産投資を行う際に、節税効果が期待できる人・そうでない人について解説していきます。 知っておくべき注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

サラリーマン(個人)でも不動産投資で節税はできる

まず結論から言えば、サラリーマン(個人)でも不動産投資で節税効果が期待できます。特に、個人で不動産投資に向いている人は「給与所得が高い」といった特徴が挙げられます。
そもそも節税には2つの視点があります。

・税金を減らす節税
・課税を繰り延べる節税

「税金を減らす節税」とは、不動産投資にかかる家賃収入から必要経費を差し引いて赤字となった部分を、本業の給与所得と相殺して確定申告することで所得合計額が少なくなり、結果として納める税金(課税所得額)が小さくなるということです。不動産投資で節税をする上では、経費の考え方が大切になります。経費には認められるものと認められないものが決まっており、これらを活用して所得額を圧縮することが可能になります。

また後者の「課税を繰り延べる節税」は、「法人向け生命保険」を利用する方法です。こちらは法人向けになりますので、この記事では前者の「税金を減らす節税」について解説します。

不動産投資で節税できる仕組み

なぜ不動産投資で節税できるのか、その理由を見ていきましょう。

先述した通り、サラリーマンが不動産投資で節税できるのは、給与所得を不動産所得と合算して確定申告ができるためです。不動産所得の計算式を簡単に表すと以下のようになります。

■不動産所得の計算式
不動産所得=家賃収入-必要経費

必要経費にはさまざまな種類があります。例えば、修繕費や入居者募集の広告費、物件を所有しているとかかる固定資産税・都市計画税などが挙げられます。中でも「減価償却費(げんかしょうきゃくひ)」の理解が非常に大切です。

家賃収入から必要経費を差し引いて不動産所得が赤字になる場合、赤字部分を本業の給与所得と相殺することで、課税対象の所得額を少なくすることができます。これを損益通算(そんえきつうさん)といいます

損益通算を簡単な計算式で表すと以下のようになります。なお、実際には他の所得がある場合や各種控除も考慮されるので、この計算式は分かりやすく単純化したものとお考えください。

■損益通算
給与所得+不動産所得=所得合計額(課税対象額)

例えば、給与所得が1,000万円、不動産所得が200万円の赤字の場合には、以下のように計算します。

■計算例
1,000万円+(-200万円)=800万円

所得合計額は200万円少なくなり課税対象額が減る計算となって、節税効果を見込めることになります。
減価償却費と損益通算については、次項で詳しく見ていきましょう。

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用を、全額その年の費用とせず一定期間にわたって分割して計上できる仕組みです。

例えば、年間の利益が1,000万円の企業が5,000万円の設備に投資する場合、初年度に計上すると大赤字になってしまいます。しかし、この設備は企業の利益を出すために今後長きにわたって使い続けていくはずです。そこで、「購入した年以降も分割して会計処理をして良い」とする考え方が「減価償却」です。

この減価償却は不動産投資にも適用できます。、購入した不動産価格を複数年にわたって分割して経費計上ができるのです。

損益通算とは

損益通算とは不動産投資の赤字額を給与所得で相殺できる仕組みで、これは所得税法にも定められています。

例えば、ある年の給与所得が700万円だったとしましょう。そして、不動産投資で得た家賃収入が年間500万円、必要経費や減価償却費が600万円とすると、不動産所得の赤字は100万円になります。

500万円(家賃収入)-必要経費・減価償却費(600万円)=(不動産所得)100万円の赤字

これを給与所得と損益通算して不動産所得の赤字分を差し引くと、この年の所得は600万円となります。

700万円(給与所得)+[-100万円(不動産所得)]=600万円(所得合計額)

このように、サラリーマンの不動産投資では、給与所得と不動産所得を相殺する「損益通算」を活用することで、所得合計額つまり課税対象額が小さくなり、結果的に節税が見込めるのです。

不動産投資で節税できる税金の種類

不動産投資を行う場合、節税効果が期待できる税金の種類は大きく以下の5つです。

税金の種類概要
所得税給与所得に応じて税率が変動する税金です前年所得額に応じて課されます。サラリーマンの場合、毎月の給料から差し引かれています。減価償却・損益通算を活用することで、不動産所得の赤字部分を給与所得と相殺できます。
住民税所得税と同様に、前年の所得を基準に計算される税金です。毎月天引きされている人が多いでしょう。所得税同様の節税が可能です。
相続税相続するものの評価額によって税率が変動する税金です仮に5,000万円の現金を相続する場合は、そのまま評価額になります。一方、不動産として相続する場合は「不動産の評価額」をもとに税率が決まります。一般的には現金と比べて評価額が下がるため、相続税を抑えることができます。 
贈与税他人から財産を受け取った場合に発生する税金です。1年で110万円を超える財産を受け取った場合に課税されます。相続税と同様に、現金よりも税率を抑えることができます。 
法人税法人の所得に対して課せられます。個人で不動産投資を行う場合、所得税・住民税の最大税率は55%ですが、法人にすると条件によって異なりますが15~23.20%程度に抑えることができます。不動産所得が大きくなると法人化も視野に入ります。 

不動産投資で見込める節税効果と年収(課税所得金額)目安

不動産投資で見込める節税効果は、年収(課税所得金額)が目安となります。

課税所得が900万円(年収1,200万円)を超える人が見込める節税効果

不動産投資による節税効果を期待したとき、一般的に分かりやすい目安とされているのが900万円(年収1,200万円)を超える人です。

所得と税率の関係を表にすると、以下のようになります。

■所得税の速算表

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

通常、不動産投資を行う場合は出口戦略(売却)を考えて資産を運用し、不動産を売却したときに得られる「売却益」を狙います。売却益に対しては所得税と住民税が課税されますが、総称して「譲渡所得税」と呼ばれています

譲渡所得税の税率は不動産の所有期間によって変わり、所有期間5年以内は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」と呼ばれています。いずれにしても、この譲渡所得税率と所得金額(年収)との関係で節税効果が生まれることになるのです。

ここでは仮に、5年以上保有した不動産を売却する場合を例に見てみましょう。
※説明を分かりやすくするため復興特別所得税については割愛しています。

(1)課税所得金額が900万円以上の場合、所得税だけでも税率は33%以上(速算表参照)
(2)長期譲渡所得の場合、税率は約20%(所得税15%+住民税5%)
(1)(2)の差を見て分かるように、通常の所得税率と譲渡所得税率との差が大きくなり始める境界の目安が課税所得900万円以上からとなります。

課税所得が900万円(年収1,200万円)以下の人は節税効果以外のメリットにも注目

所得税の速算表を例に説明すると、課税所得金額900万円(年収1,200万円)以下の場合、例えば年収700万円であれば税率は23%となります。これだけでも不動産投資による節税効果が見込めますが、節税効果以外のメリットに注目してみましょう

新築ワンルームマンション投資であれば、不動産投資の中でもアパート・マンションなど1棟物と比べると物件価格が安くなるため少額資金で始められます

物件にもよりますが、5,000万円の物件のケースであれば、1,000万円~1,500万円が自己資金の目安です。残りの3,500万円~4,000万円は金融機関などからの融資でまかないます。

また、ワンルームマンション投資であれば、物件価格の1割以下の自己資金でもスタートすることは可能です。

そのほか、以下のようなメリットも挙げられます。

・生命保険や年金対策の効果がある 
・不動産は価値変動が少なく不況にも強い
・金融投資などと比較するとリスクは低め

新築ワンルームマンションの不動産投資のメリットなどについて、詳しくは以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

【関連記事】
新築ワンルームマンションの不動産投資を行うメリットや収益性とは?
https://makes-g.co.jp/navi/62/

節税において物件選びが重要な主な理由

節税の効果は、投資する物件の種類によって変わるため物件選びは重要です。ここでは、一般的な節税効果を考える上で、物件選びが重要になる理由を2つご紹介します。物件の構造や耐用年数によっても減価償却費が変わる、ということを理解しておきましょう。

理由1:建物の構造で節税の効果が変わる

まず、建物の構造を大きく4つに分けると以下に分類できます。また、建物により法定耐用年数というものがそれぞれ定められています。

建物(店舗用・住宅用)の構造耐用年数
木造22年
軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下)19年
軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm~4mm)27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚が4mm超)34年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年

参照:【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(建物/建物附属設備)

この中でも特に節税効果が高いといわれるものは「木造」「軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下)」です。この2種類は、重量鉄骨や鉄筋コンクリート造などに比べて劣化が早く、耐用年数が木造は22年、軽量鉄骨造は19年と比較的短く定められています。

その分、1年ごとに計上できる減価償却が大きくなります。1年間に経費計上できる額が大きくなれば、給与所得と相殺して合計所得が圧縮されて高い節税効果につながることがあります。

理由2:築年数によっても節税効果が変わる

節税効果は、築年数も合わせて考えることが重要です。

新築の場合、物件価格を耐用年数で割ると減価償却費の目安が算出できます。先ほど木造の耐用年数は22年と説明しましたが、仮に2,200万円の新築木造物件を購入した場合(土地の減価償却は含まず)は年100万円になります。この金額は実際に出ていくお金ではありませんが、経費として計上できるのです。

不動産投資の節税における主な注意点

それでは次に、ワンルームマンションの不動産投資を行う際、節税効果を見込むためにはどのような注意点があるのか説明していきます。ここでは、必ずしておきたいことや、想定されるリスク・トラブルなど4点に絞って見てきましょう

必ず確定申告をする

サラリーマンの場合、給与以外で年間20万円以上の所得があれば確定申告をする必要があります。不動産投資で得られた所得についても同様で、確定申告をして算出された税金を納付する義務が発生します。

これまでも説明してきたように、不動産投資によって生じた収益については給与所得と合算でき、不動産投資で赤字になった部分を給与所得と相殺できる場合があります。この損益通算を行うためには確定申告を行う必要がありますので、必ず確定申告を行いましょう

なお、無申告の場合、後からペナルティとして延滞税と無申告加算税が課されることもあるので注意しましょう。

節税を第一目的にするのは危険

不動産投資は、適切に費用を計上することで節税効果が期待できるのが大きなメリットですが、その一方で節税を第一目的にはしないほうがいいでしょう。

節税効果は、不動産運用で赤字を出すことによって得られる効果ですので、健全な資産運用の観点からは好ましい状態ではありません。赤字の収支が続いている状態で運用していると、投資家(事業家)としての与信が低くなり、不動産運用の拡大を検討しようとするときに融資が受けられなくなる可能性もあります。

不動産投資はあくまでも事業ですので、節税効果は副次的なものであることを認識しておきましょう

リスクも考慮して不動産投資をする

不動産投資をする上で欠かせないのがリスク管理です。

・空室となり家賃収入がなくなる
・金融機関などへの返済を家賃でまかなっていた場合にローンを返済できない
・家賃下落
・金利上昇
・地震や火災

などの上記リスクがあげられます。
このように、事前に考え得るリスクを考慮し、運用計画を立てることや、保険加入をするなどの対策をしっかり意識することが大切です。

相続の際にトラブルが起こることも

不動産は、現金と比べて相続や贈与の際の税率が低くなることがあるため、遺産相続を意識して購入する人は多いです。ただ、不動産投資をしていることが相続トラブルにつながることもあります。

トラブル事例として「共有名義になる」ことが挙げられます。その不動産を1人で相続する場合は問題ないですが、2人以上で1つの不動産を相続する場合、共有名義となります。すると、将来売却が必要となっても1人の意思では売却できず、名義人全員の同意を得なければなりません。いざ売却したいときになって、共有名義人同士で意見が食い違ってもめごとに発展するケースもあるのです。

相続のための不動産投資では、このようなトラブルがあることも認識しておきましょう

不動産投資はサラリーマンでも始められる

今回は、サラリーマンでも不動産投資で節税効果が期待できるのかどうかについて解説してきました。条件によって節税効果が見込めることは不動産投資をする上で大きなメリットになりますが、ここでもご紹介したように適切な節税への考え方が重要です。

節税が期待できる仕組みや、節税できる税金の種類についても見てきましたが、「自分の場合はどうなるのだろう?」と疑問に思う方もいらっしゃることでしょう。

サラリーマンでも始められる新築ワンルームマンションの不動産投資については、実績豊富なメイクスまでお気軽にご相談ください。専門知識をもったコンサルタントが最適な資産運用をサポートします。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

この記事が気に入ったらシェア

  • twitter
  • facebook
  • hatena

著者/監修者紹介

アバター画像

メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

この著者の一覧ページへ

この記事が気に入ったらシェア

  • twitter
  • facebook
  • hatena

登録無料

メルマガ登録

資産形成や不動産投資の基礎知識から実践ノウハウまで役立つ知識情報をお送りします。 メルマガ限定の情報もあるので是非ご登録ください。

  • 資料請求はこちらら
  • CONTACT

RECOMMENDオススメ記事

メイクス100年不動産ナビは株式会社メイクスが運営する不動産情報メディアです。不動産投資の基礎知識からマンション経営、資産形成、賃貸、売却などの実践ノウハウまで役立つ知識をお届けします。

  • 資料請求はこちらら

キーワードから記事を検索

カテゴリーから記事を検索