不動産投資というと「富裕層が行う資産運用」というイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、「人生100年時代」を迎え、老後の生活資金確保や豊かな老後を送る準備のために、サラリーマンでも副業でできる資産形成のひとつとして注目されています。
投資には、株式投資や投資信託などさまざまなものがありますが、なぜ不動産投資はサラリーマンに向いているといわれているのでしょうか?
そこで今回は、サラリーマンが不動産投資をするメリットについて解説します。あわせて、不動産投資におけるリスクや成功するためのポイントも紹介します。
目次
メリット1:安定収入があるため、融資審査が円滑に進みやすい
不動産投資用の物件を一括で購入する人もいますが、多くは投資専用の「不動産投資ローン」を組んで物件を購入しています。サラリーマンは安定かつ継続した収入があることから、ローンの融資審査で有利になりやすいという点はメリットです。
一般的に、金融機関の不動産投資ローンの審査では、次のような属性がチェックされます。
- 年収
- 安定かつ継続した収入の有無
- 勤務先(雇用形態を含む)
- 勤続年数
- 他社借入状況 など
不動産投資ローンでも通常のローンと同様に返済能力の有無が重視されるため、安定した収入があることはプラスの評価になります。また、勤続年数が長く、年収が高いほど信用度は高くなるでしょう。
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メリット2:管理業者への委託により、少ない手間で資産運用が可能
サラリーマンは、多くの時間を本業である会社での仕事に費やします。そのため、建物管理・賃貸管理業務まで手が回らないと考える人もいるかもしれません。
しかし、賃貸管理の業務をすべてオーナー自らで行う必要はなく、管理会社に任せることが可能です。本業に集中しながら投資での副収入も得られる点は、サラリーマンが不動産投資を行う際の大きなメリットといえるでしょう。
メリット3:団体信用生命保険に加入できる
金融機関などで不動産投資のための融資を受ける際には、多くの場合、団体信用生命保険への加入が必須になっています。他の投資方法では利用できないため、この点はメリットといえるでしょう。
団体信用生命保険の主な特徴は次の通りです。
- ローン返済中に契約者が死亡または重度の障害を負った場合には生命保険会社が債務を弁済
- 残された家族はローン返済不要
万が一、ローン契約者が死亡した場合や所定の高度障害を負った場合、ローン返済がなくなる上に、土地・建物をそのまま残せます。そのため、残された家族にローン返済の負担をかけることなく、財産として残せるというメリットもあるのです。
メリット4:副業禁止の会社でも問題ないケースが多い
会社の中には「本業がおろそかになる」などの理由から、副業を禁止しているところもあります。しかし、副業禁止の会社でも「不動産投資なら可能」としているケースが多いことも、サラリーマンにとってのメリットです。
副業禁止の対象としていない理由は、不動産投資は資産運用の一部であると考えられているからです。例えば、相続や譲渡により親族から賃貸物件を引き継ぐことになった場合などが考慮されています。ただし、会社によって不動産投資が禁止とならない範囲は異なるため、事前に総務部などに確認しておくのがおすすめです。
なお、国家公務員および地方公務員は、国家公務員法や地方公務員法などで明確に副業が禁止されています。ただし、こちらも自治体などによって規定は異なります、公務員の場合も一定の条件を満たせば不動産投資が可能なケースもあります。
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メリット5:老後の資金対策になる
定年退職するなどして一定の収入が得られなくなると、年金のみでの生活を余儀なくされます。しかし、老後を年金のみに頼って生活することに不安を覚える人もいるでしょう。
その点、不動産投資を行っていれば定期的に家賃収入が得られることになり、老後の生活資金に充てられます。定年退職するまでにローンを完済しておけば、退職後はローンの心配をする必要もありません。
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メリット6:節税につながる場合もある
サラリーマンは、不動産投資を行うと確定申告をしなければなりません。このとき、不動産の管理・運用で必要なコストはすべて費用として計上することが可能です。もし不動産投資で赤字が発生している場合は、給与所得と損益通算することで課税対象額が抑えられ、節税につながる可能性があります。
また、不動産投資は相続税対策になるというメリットもあります。相続した現金や預貯金はその残高がそのまま相続税評価額になるのに対し、収益用不動産の相続税評価額は条件に応じて減額されるのです。家族から財産を相続する場合は、現金で受け取るよりも不動産のかたちで相続したほうが、相続税を大きく抑えることが可能です。
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メリット7:資産の分散を図れる
投資にはリスクがつきものです。そこで、少しでもリスクを低減させるために、さまざまなかたちで分散して投資することが大切です。サラリーマンの安定した収入があれば、計画的に資産の分散が図れる点もメリットとして挙げられます。
例えば、普通貯金、国内株式、不動産投資、投資信託、外貨預金などのように、異なる特性を持つ投資先に分散しておきます。あるタイミングで日本の株式市場が急落して国内株式で損失が出た場合でも、それ以外の資産でカバーできれば、資産全体での損失を最小限に抑えることが可能です。
不動産はインフレに強いという特徴があるため、ポートフォリオに組み入れておけば、保有資産全体の損失リスクを軽減できるでしょう。
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サラリーマンの不動産投資で起こる可能性があるリスク
サラリーマンの不動産投資では、メリットだけでなくリスクもあります。不動産投資を始める前に、起こり得るリスクについても知っておくことが大切です。
ここからは、不動産投資で起こる可能性がある次のようなリスクについて解説します。
- 相場よりも高い物件を購入してしまう
- 無理のある返済計画でキャッシュフローがマイナスになる
- 修繕などの費用が思ったよりもかかってしまう
- 長期間、空室になるリスク
- 地震・水害・火災のリスク
相場よりも高い物件を購入してしまう
物件購入時、運用シミュレーションを確認してその情報だけを判断材料にしてしまうと、相場とかけ離れた高い金額でも、気づかずにその物件を購入してしまう可能性があります。
シミュレーションは月々の収支予測や返済計画を立てるために重要ですが、それとあわせて、物件購入を検討しているエリアの周辺相場との比較も欠かせません。立地はもちろん、間取りや設備など、購入候補に近い周辺の他物件の情報も入手して、判断材料にするのがおすすめです。
無理のある返済計画でキャッシュフローがマイナスになる
不動産投資でローンを組む際に、無理のある返済計画を立ててしまうと、キャッシュフローがマイナスになり生活が破綻してしまうリスクがあります。不動産投資ローンを組む際は収支のバランスを確認し、無理なく返済を続けられる金額のローンを組むことが大切です。
また、キャッシュフローがマイナスになるのを避けるためには、物件選びが重要です。当然ですが、どの物件を所有するのかによって、毎月の家賃収入や売却時の物件価値が大きく左右されます。
修繕などの費用が思ったよりもかかってしまう
物件選定時、利回りの良さだけに注目して、修繕費など管理面でのコストを考慮せずに購入してしまい、物件運用時に思った以上のコストがかかってしまったという失敗もあります。
例えば、中古物件を購入した際に行われるリフォーム費用は、築年数が長くなればなるほど必要です。しかし、購入時に甘い見立てをしていると、リフォームに想定外の費用がかかってしまい、資金不足になってしまいます。
中古物件では、不動産投資用の物件は利回りの良さだけで決めず、築年数や設備の状態などを確認し、多額のリフォームコスト、メンテナンスコストがかかると思われる物件は避けることをおすすめします。
なお、新築物件は建物も設備も新しいため、一定期間は修繕コストが発生するリスクはありません。
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長期間、空室になるリスク
不動産投資では、購入した物件に対して必ず入居者が決まるとは限らず、場合によっては長期間空室になるリスクもあります。空室になってしまうとその間は家賃収入がゼロとなり、ローン返済が滞ってしまうことにもなりかねません。
空室になる原因は、内装や設備の問題だけとは限りません。考えられる理由として、次のようなものが挙げられます。
- 周辺の住環境の変化(スーパーや教育機関などの閉店・移転)
- 周辺の治安の悪化
- 交通アクセスの変化(最寄りの交通機関の減便・廃止)
- 社会情勢 など
空室状態が長引けば長引くほどキャッシュフローはマイナスになります。どんなに利便性の良い物件でも保有している限りは空室リスクがあるため、どのような対策を取るのかを事前に考えておくことが大切です。
地震・水害・火災のリスク
不動産投資では、地震・水害・火災などの災害リスクも考慮しなければなりません。
特に、日本は地震大国です。地震に伴う水害・火災も含めて、災害が物件に与える損害は大きく、また避けられないリスクです。万が一、物件が倒壊してしまった場合には、ローンの返済だけが残るといった事態も考えられます。
そのため、物件を選定する際にはハザードマップを確認して、物件のある地域の災害リスクを把握しておく必要があります。また、災害リスクの低い地域だとしても、地震・火災保険への加入は必須と考えておいたほうがいいでしょう。
サラリーマンが不動産投資で成功するためのポイント
サラリーマンが不動産投資で成功するためには、知っておきたいポイントがいくつかあります。
ここでは、不動産投資で成功するための次のようなポイントを紹介します。
- 不動産投資をする目的とゴールを明確にしておく
- 賃貸需要の高い物件を選ぶ
- 無理のない範囲で自己資金を用意しておく
- 不動産投資に関する知識を学んでおく
- 信頼できる不動産会社を活用する
不動産投資をする目的とゴールを明確にしておく
不動産投資を始める前に、不動産投資を行う目的とゴールを明確にしておくことが大切です。
例えば、老後の資金対策を目的として不動産投資を行う場合は、次のような戦略とゴールが描けます。
- 30~35歳の間で不動産投資をスタート
- 定年退職するまでにローン完済
- 不動産投資で月15万~17万円の収入確保
定年退職までにローンを完済するためには、何歳から不動産投資を始める必要があるのかを考え、それにあわせてスタート時期を決めます。
また、定年退職後に「毎月いくら収入を得たいのか」という金額目標を立てておくことで、「どのような物件を購入すべきか」「いくつ物件を所有すべきか」などの具体的な計画を立てやすいでしょう。
目的とゴールを明確にしておくことで、途中で計画の修正もしやすくなり、不動産投資での失敗を避けやすくなります。
賃貸需要の高い物件を選ぶ
賃貸需要が低い物件で空室状態が続くと、家賃収入が得られないだけでなく、空室でも管理コストは発生してしまいます。不動産投資で成功するためには、できるだけ賃貸需要が高い物件を選ぶことも重要なポイントです。
例えば、独身世帯が多い地域では、ワンルームマンションの需要が高く、ファミリー層が多く住む地域なら、家族で住めるマンションや一戸建てのほうが需要は高くなります。
また、交通機関の利便性の高さも重要です。駅から近い場所やバスの本数が多い地域は人気があり、賃貸需要が高くなります。ほかにも、オートロック設備や宅配ボックス、最新のキッチンやお風呂など、人気の設備が充実している物件も需要が高くなりやすいです。
無理のない範囲で自己資金を用意しておく
物件の購入時に全額をローンで借入することも可能ですが、借入金額が大きくなると、当然ながら返済額も大きくなったり、返済期間が長くなったりと、返済リスクが高くなってしまいます。そのため、無理のない範囲で自己資金を用意しておくことも、不動産投資を成功させるための重要なポイントです。
無理のない範囲で自己資金を用意し、頭金として入れておくことで、少しでも借入金額を抑えることができます。また、借入後も定期的に繰り上げ返済をすることで、支払利息を減らすことが可能です。
ただし、生活に必要な貯金を切り崩してまで頭金を入れたり、繰り上げ返済をしたりする必要はありません。物件購入時の自己資金が少なくても、無理のない運用計画をしっかりと立てた上であればリスクは軽減できます。
不動産投資に関する知識を学んでおく
サラリーマンが不動産投資を行う際、物件管理を賃貸管理会社に委託するのが一般的です。管理会社は長年の経験に基づく独自のノウハウがあるため、安心して任せられます。
しかし、不動産投資における利回り、キャッシュフロー、円滑な物件管理をするための重要な部分は、オーナーの決定・判断にゆだねられています。そのため、基本的な不動産投資に関する知識を学んで、オーナーとしての決定・判断ができる状態であることが健全な姿です。
すべてを管理会社へ丸投げするのではなく、「入居率を高める工夫」「原状回復の考え方」「出口戦略(売却タイミング)」など、経営目線での意識を高めておくことで、不動産投資で成功しやすくなるでしょう。
信頼できる不動産会社を活用する
信頼できる不動産会社を活用することも、不動産投資を成功させるための重要な要素です。
オーナーの目的・ゴールに合ったアドバイスをしてくれる不動産会社を見つけるためには、複数の会社を回る必要があります。また、できればその不動産会社から物件購入の経験がある、別のオーナーから話を聞ける機会があればオーナーの立場で役立つ情報を入手できるでしょう。
物件購入まで至れば、不動産会社は末永く取引していく大切なパートナーです。その重要なパートナー選定を怠ると、実際に管理・運用を始めてからトラブルに見舞われる可能性も高くなります。
物件選びだけに注目するのではなく、不動産会社の担当者の人柄やサポート体制なども踏まえた上で不動産会社を選定することが大切です。
サラリーマンが不動産投資を始めるメリットは多い
サラリーマンの不動産投資には多くのメリットがあります。一方で投資にはリスクもあるため、その点を理解して信頼できる不動産会社に頼ることも重要です。
メイクスでは、不動産投資の豊富な専門知識・経験・実績に基づき、最適な資産運用をサポートしています。新築ワンルームマンション投資など不動産投資を検討される場合は、ぜひお気軽にメイクスまでご相談ください。