不動産投資ローンの金利とは?固定金利・変動金利の違い&長期・短期プライムレートを解説

最終更新日:2023.08.09 (公開:2023.07.06)

不動産投資ローンを組むときに、固定金利と変動金利のどちらにすればいいか分からずに悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?

固定金利と変動金利のどちらが適しているかを判断するには、それぞれのメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。

そこで今回は、固定金利と変動金利の違いを分かりやすく解説するとともに、長期・短期プライムレートが不動産投資ローンとどのように関係しているのかについても詳しくご紹介します。

不動産投資ローンの金利の種類を紹介

不動産投資ローンは、賃貸用の物件を購入して不動産投資事業を行うための専用ローンです(※)。ほかのローンと同様に、借り入れ時には金利が設定され、借入金額(元金)とは別に、金利で計算した利子も返済していくことになります。

※居住用物件の購入で利用できる「住宅ローン」は事業目的では利用できません。不動産投資の場合には「不動産投資ローン」を利用します。

不動産投資ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」の2つのタイプがあります。金融機関などによっても異なりますが、どちらか1つの金利タイプを選択するか、金融機関が指定する金利タイプで融資を受けます。

まずは、「固定金利」と「変動金利」それぞれの特徴について見ていきましょう。

固定金利とは

固定金利とは、借入期間が終わるまで金利が一定の金利タイプです。

一般的に金利は、その時々の経済情勢や政府が打ち出した金融政策によって上がったり下がったりする可能性があります。しかし、固定金利でローン契約をした場合には、契約時の金利から変動しないため、返済金額は変わりません。借り入れをした時点で、将来の返済計画を立てやすいのがメリットです。

なお、固定金利の中には、借り入れの全期間にわたって金利が固定されるものだけでなく、5年や10年など一定期間の金利を固定し、期間経過後に金利タイプを見直せるものもあります

変動金利とは

変動金利は、例えば半年ごとなど一定期間で金利が変動する金利タイプです。金利は、景気や政府の方針などを考慮して見直されます。

基本的に固定金利よりも変動金利のほうが利率が低く設定されています。そのため、借り入れ当初の金利から上昇することなく完済できれば、固定金利よりも返済額を安くできる可能性がある点がメリットです。ただし、逆に金利が上昇した場合には、上がった金利に応じて返済負担が増えてしまいます。

不動産投資ローンの固定金利のメリットとは?

固定金利タイプの不動産投資ローンを利用する場合、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、不動産投資ローンで固定金利を選択するメリットを確認していきましょう。

総返済額を固定できる

返済期間中に金利が変わらない固定金利では、ローン契約をした時点で利息の支払額が確定するので、完済までの返済額が固定されます。将来の返済額を契約時点で把握できるのは、返済計画を立てる上で大きなメリットでしょう。

★注意★
5年や10年など一定期間だけ固定金利にする場合は、完済までの返済額が変わる可能性があります。

不動産運用の収支管理がしやすい

変動金利の場合は、金利の変動にあわせて返済額も変わるため、返済の管理が難しくなることがあります。その点、固定金利であれば返済額は変わらないため、毎月の返済管理や収支管理がしやすくなるというメリットがあります。

インフレが起きた場合に返済しやすくなる

物価が上昇するインフレが起こると、政府は急激な物価上昇を抑え込むために市中金利を上げる政策を行うのが一般的です。しかし、固定金利であれば、金利引き上げの影響を受けずに済みます

加えて、インフレ時にはモノやサービスの価値が全体的に上がるため、不動産の家賃収入や資産価値も上昇する可能性があります。もちろん、インフレの影響で以前よりも物件の管理費用が増加することも考えられますが、そのタイミングで売却して利益を得る出口戦略を検討することもできるでしょう。

■関連記事不動産投資の出口戦略とは?売却タイミングや売却方法を紹介

不動産投資ローンの固定金利のデメリットとは?

固定金利で不動産投資ローンを契約することにはメリットもありますが、知っておきたいデメリットも存在します。ここでは、固定金利のデメリットについて解説します。

変動金利よりも利率が高い

一般的に、固定金利は変動金利よりも利率が高く設定されています。そのため、将来的に低金利の状況が続いた場合には、変動金利よりも利率が高い固定金利は、返済金額も割高になってしまいます。金利が上昇したときには有利となる一方、低金利が続くときは不利になることがデメリットです。

ローン返済額が固定されている

毎月の返済額が完済まで一定になる固定金利ですが、景気が悪化しても、毎月の返済額が固定されているため、それがデメリットになることがあります。

例えば…
景気後退によって収入が減少した場合でも、毎月の返済金額は変わりません。一方、変動金利の場合は、景気が悪くなるとその影響でローン金利が下がり、利息や毎月の返済額が少なくなる可能性があります。

不動産投資ローンの変動金利のメリットとは?

それでは、不動産投資ローンで固定金利ではなく、変動金利を選択するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、変動金利を選択するメリットについて解説します。

固定金利よりも利率が低い

一般的に、変動金利は固定金利よりも利率が低く設定されていることが大きなメリットです。そのため、もし金利が低い状況が続いた場合には、固定金利を選択するよりも返済総額を少なく抑えられる可能性があります。

不動産は高額投資ですので、わずかに思える金利差であっても長期的な利息支払額は大きく変わります。金利が変動するリスクがあったとしても、固定金利よりも低金利で借り入れできることは魅力的なメリットといえるでしょう。

「5年ルール・125%ルール」が適用されるケースも

金利上昇局面であっても、「5年ルール・125%ルール」という業界ルールが適用されることによって、返済額の急激な上昇を抑えられることも変動金利のメリットです。

・5年ルール
金利が上昇したときでも5年間は返済額が変わらない仕組みのこと。
・125%ルール
5年ごとの見直しで金利が上昇した際も、返済額はそれまでの125%を超えないこと(1.25倍以内に制限されること)。

このルールのおかげで、急激な金利の上昇があったとしても、返済負担が急激に増えることはありません。

★注意★
「5年ルール・125%ルール」は、変動金利と元利均等返済を組み合わせた場合に適用されること、また「5年ルール・125%ルール」が法律で定められたルールではないため、将来的に変更されたり、採用していない金融機関があったりする点には留意する必要があります。

不動産投資ローンの変動金利のデメリットとは?

金利の低さが魅力の変動金利ですが、デメリットもあります。ここで、変動金利のデメリットもしっかり確認しておきましょう。

利息の割合が増えて返済期間が延びるリスクも

変動金利では、返済期間中に金利が上昇すると、返済総額が増えてしまう可能性があります。金利上昇によるリスクを抑える「5年ルール・125%ルール」はありますが、毎月の返済額がある程度固定されるだけで、支払い利息が増えてしまうことに変わりはありません。

月々の返済金額の大半が利息返済分となってしまい、元金がなかなか減らない状態にもなりかねません。金利上昇によって増加した返済金額によっては、毎月の返済金額を減らす代わりに返済期間を延ばす選択肢をとるしかないかもしれません。

返済計画が立てにくい

何年も先の金利が上昇するかどうかを予測することは困難なため、未来の金利上昇を見越した返済計画を考えることは難しいです。そのため、金利が一定の固定金利よりも、返済計画を立てづらいというデメリットがあります。

「予定外の事態が起きることは避けたい」「金利が高くても借り入れ当初に返済計画を立てたい」と考えている場合は、変動金利よりも固定金利のほうがおすすめです。

不動産投資ローンの変動金利型とプライムレートの関係

不動産投資ローンで変動金利を選択する場合には「プライムレート」についても理解しておく必要があります。

ここからは、「短期プライムレート」と「長期プライムレート」について解説します。

「短期プライムレート」「長期プライムレート」とは?

プライムレートとは、信用度の高い優良企業に対して適用される金利です。

短期プライムレート…1年未満
長期プライムレート…1年以上の期間で融資を行う場合の最優遇貸出金利
のことを表しています。

プライムレートは、個人でローンを利用しているときには関係がないと思われがちですが、実は不動産投資ローンの変動金利の多くは、短期プライムレートと連動しています。そのため、不動産投資を行う人はチェックしておくべきレートといえます。

もし日本銀行の政策によってプライムレートが上昇すれば、変動金利のレートも上昇することを覚えておきましょう。

「短期プライムレート連動型」「長期プライムレート連動型」どちらにすべき?

不動産投資ローンの変動金利の商品には、一般的に「短期プライムレート連動型」と「長期プライムレート連動型」の2種類があります。

金利の安定を優先する場合は短期プライムレート連動型を、金利の変動はあっても、返済総額を少なくしたいという場合は長期プライムレート連動型を選択するといいでしょう。それぞれの特徴は以下の通りです。

・短期プライムレート連動型の特徴
長期プライムレート連動型よりも金利が高く設定されています。しかし、融資を受けやすく、金利の変動も穏やかという特徴があります。実際に、2023年4月11日時点での短期プライムレートの最頻値は1.475%となっており、2009年1月13日から変動がありません。
参考長・短期プライムレート(主要行)の推移  : 日本銀行 Bank of Japan

・長期プライムレート連動型の特徴
2012年前後から短期プライムレートよりも金利が低くなっているため、返済総額を低くできる可能性はあります。しかし、債券市場に連動している影響で、金利の変動が激しいというデメリットがあります。

実際に2009年5月8日時点では2.10%だった長期プライムレートですが、2016年3月10日には0.95%と大きく下がり、2023年4月11日には1.40%と数年で大きな変動が見られます。
参考長・短期プライムレート(主要行)の推移  : 日本銀行 Bank of Japan

【ケース別】不動産投資ローンの金利の選び方

これまで固定金利と変動金利の特徴を解説してきましたが、「どちらを選べばいいのか分からない…」という方もいるかもしれません。

ここでは、ケース別に金利の選び方を紹介していきます。

返済額を固定したいケース

とにかく安定を重要視して、きっちり返済計画を立てたい方には固定金利の不動産投資ローンが向いています。

変動金利の場合、景気の変動などによって金利が変わると返済金額も変わってしまいます。場合によっては当初の返済計画とまったく違ってしまう可能性もあるでしょう。返済額を固定することを重視し、将来の支出が増えることを避けたい場合には固定金利がおすすめです。

物件の所有期間が長い・短いケース

物件の所有期間によっても金利の選択肢が変わります。

所有期間が長い場合で、安定した返済計画を立てることが重要と考える方は、固定金利を選ぶメリットが大きいといえるでしょう。それに対して、所有期間が短い場合は、変動金利の影響を受けにくくなります。現在の低金利を活かして少しでも返済総額を抑えるなら、変動金利を選択するのがおすすめです。

★注意★
固定金利で長期ローンを組んだ後、短期で物件を売却した場合には違約金が発生するケースもあります。借り入れ時の金利タイプだけでなく、解約条件についてもしっかりと確認しておきましょう。

金利上昇リスクに備えた余剰資金があるケース

変動金利のメリットは金利が低いことです。もし金利上昇に耐えられるだけの余剰資金を確保できているのであれば、ローン契約時に低金利で借りられる変動金利を選択するほうがメリットはあるでしょう。

将来的に金利が上昇するリスクもありますが、金利が低水準のまま維持されれば、固定金利よりも利息分を節約することができます

不動産投資ローンの金利を知って、適切なローンを組もう

不動産投資をするためには、固定金利と変動金利のそれぞれの特徴をしっかりと把握しておく必要があります。安定志向なら固定金利が、余剰資金があり金利上昇局面でも適切な対応ができるなら変動金利がおすすめです。

メイクスでは、新築ワンルームマンション投資のサポートをしています。最適な資産形成に欠かせない不動産投資方法や借り入れ時の金利などについて、経験豊富なコンサルタントがご相談を承っています。不動産投資に興味がある方は、ぜひメイクスにご相談ください

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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