人生には、結婚や子育て、マイホーム購入など、お金が必要なライフイベントが数多く待ち受けています。また、老後の生活資金も重要な要素です。
しかし、超高齢化社会が進む日本においては、「老後のお金が心配で不安…」「年金を受け取れないかもしれない…」といった心配を抱く方も多いかもしれません。そこで、老後の資金ニーズに備え、生涯にわたって充実した人生を送るためには「ライフプラン」を作成しておくことが大切です。
今回は、まずライフプランの定義やその必要性について詳しく解説します。さらに、具体的なライフプランの作り方や、おすすめの資産運用方法もご紹介します。老後のお金に対する不安を解消し、充実した人生を送るための第一歩を踏み出しましょう。
目次
そもそもライフプランとは?
ライフプラン(Life Plan)とは、「自分の人生を設計するための計画を立てること」を意味します。
長い人生の中では、結婚や子育て、マイホーム購入など、大きな費用が必要なライフイベントが訪れます。将来予測されるイベントを見越して、必要な資金やタイミングを把握し、計画を立てるのがライフプランです。ライフプランを作成しておけば、それにあわせて資産運用や貯蓄の計画を早めに準備することができ、イベントが訪れたときにあわてることもありません。
また、ライフプランはお金に限らず、自分が望む人生の将来像や夢、キャリアプランなどを総合的に考えることも重要です。お金と生活のバランスをとりながら自身の人生をデザインすれば、充実した人生を送る大きな武器となるでしょう。
ライフプランはなぜ必要なのか?
近年「将来に備えてライフプランの作成が重要」という意見を目にする機会が増えていますが、なぜ今、ライフプラン作成の必要性が高まっているのでしょうか?
ここでは、ライフプランの作成が必要な理由について解説していきます。
老後の資金不足の懸念
「老後2,000万円問題」という言葉が社会的な注目を浴び、多くの人が老後資金に不安を抱えるようになりました。
「老後2,000万円問題」とは…?
2019年6月、金融庁の金融審議会が報告した内容で、夫65歳以上・妻60歳以上の無職世帯では「老後30年間で約2,000万円の資金不足が生じる」と試算されました。当時、テレビや新聞、ネットニュースなどでも取り上げられ記憶している方も多いことでしょう。
しかし、2020年には「2,000万円はベースとなる数値が実態と合っていない試算から出された金額である」とする論調が各所から示されました。現在の高齢世帯ではすでに2,000万円以上の資産を保有しているほか、共働き世帯が増えている現役世帯には金融庁の試算は一概には当てはまらないことも考えられることなどが、その論拠です。
とはいえ、老後の資金不足への懸念が完全に解消されたわけではありません。老後に必要な生活資金は、人によって異なるからです。年金だけではまかなえない生活費に備えるために、お金の備えが必要です。
★ポイント★
若いうちからライフプランを作成し、将来必要な資金や資金の使い方をシミュレーションし、資産形成に向けた行動を始めることが非常に重要です!
具体的な計画を立てることで、老後の資金不足へのリスクを軽減することができます。
雇用環境の変化
近年、社会状況の変化によって「正社員として働いていれば安泰」という時代は過去のものとなりました。従来の年功序列型賃金に基づく終身雇用ではなく、成果主義によって賃金が決まる企業が増えています。
加えて、同じ企業で定年まで働いて安定した収入を得る終身雇用のメリットが減少したことで、雇用の流動化が進み、非正規雇用で働いたり、必ずしも昇進を目標とはしなかったりする人も増加しています。このような雇用環境の変化により、企業に依存せずに自身の人生設計を立てることが求められています。
社会保障制度に対する不安の増加
少子高齢化が進む日本では、老後に十分な年金をもらえなくなることを心配する若い世代が増えています。また、健康保険制度などは、現役世代の人口が高齢者よりも多いという前提で作られた制度です。したがって、超高齢化社会になれば、医療費や介護費用の国民負担が増えることも予想されます。
国が運営する社会保障制度自体が完全に崩壊する可能性は低いと考えられますが、支給水準の低下や施策内容の悪化は十分に懸念されます。
★ポイント★
現役世代は早期にライフプランを作成し、将来のリスクに備えるために資産形成を行いましょう!
ライフプラン表を作る4つのメリット
将来に備えてライフプランを考えるときに役立つのが「ライフプラン表」です。ライフプラン表とは、将来に起こり得るライフイベントとキャッシュフローを表にまとめたものです。
ここからは、ライフプラン表を作る4つのメリットについて詳しく説明します。
お金の動きの「見える化」が可能
ライフプラン表を作れば、お金の動きを可視化できます。ライフプラン表には以下のような項目を時系列で書き出します。
・ライフイベント
・年齢(自分や配偶者、子どもなど)
・年間(月々)の収入・支出
・預貯金の合計
・運用資産の合計
大きな支出が予想されるライフイベントのタイミングや、資金が不足しそうな時期は、ある程度予想できます。それらの情報をライフプラン表に反映させることで、必要な資金がどのタイミングでいくら必要かを明確に把握できるでしょう。
★ポイント★
年間の余裕資金(貯蓄や資産運用に回せるお金)を考慮して逆算することにより、将来の支出に備えて資産形成を行うことが可能です。
住宅・車など高額な買い物の購入計画が立てやすくなる
ライフプラン表を作成することで…
・住宅
・車
・貴金属
・ブランド品
などの高額な買い物の計画を立てることが容易になります。
預貯金や運用資産の推移、将来の支出を考慮することにより、購買力が十分にあるかや、ローンを組む場合の月々の返済が遅れることなく行えるか検討できます。これにより、将来の高額な買い物をする際に、適切な購入時期や支払方法を考えやすくなります。
資産形成の目標が立てやすくなる
ライフプラン表を作れば、具体的な資産形成の目標を設定できます。人生の各イベントに必要なお金と時期が明確になり、「いつまでに」「いくらあれば良いのか」といった目標を立てやすくなります。
目標が設定されると、現在の生活を見直して固定費やムダを削減するなど、具体的な行動変容にもつながります。
また、将来必要になる資金は銀行預金だけではなく、中長期的な資産形成によって補完することができます。具体的には、株式や投資信託、不動産投資などの投資を活用した資産形成がおすすめです。これにより、コツコツと資産を増やしていくことが可能になります。
老後の生活への不安を減らせる
ライフプラン表を作成することで、老後のために必要な資金に対策を立てることができ、老後の生活への不安を軽減できるというメリットがあります。
老後に、預貯金や年金だけで生活していけるのか不透明な点や、漠然とした不安を抱えている方も多いでしょう。しかし、早期から老後に必要な資金をどのように確保するのかを考えることができるため、老後への不安解消の一助となります。
ライフプラン表の作り方を分かりやすく解説
ここからは、ライフプラン表を作成するための具体的な手順について、以下のステップごとに分かりやすく解説します。
・ステップ1:今後の理想のライフデザインを設計する
・ステップ2:自分や家族のライフイベント表を作成する
・ステップ3:収入・支出・貯蓄を入力する
ステップ1:今後の理想のライフデザインを設計する
まずは、自分が理想とする今後のライフデザイン(どのような人生を送りたいかの構想)を考えてみましょう。ライフデザインは、以下のような軸から考えるのがおすすめです。
・自分の人生の目標や夢は何か
・どのようなキャリアを築きたいか
・何歳まで働くか
・どのように働きたいか
・結婚や子どもについての考え方
など…
現時点での考えをもとにライフデザインを設計していきます。人生の目標や夢だけでなく、プライベートや仕事に関する要素も考慮しましょう。設計する際は、バランスを考慮することが重要です。複数の目標や夢がある場合には、優先順位をつけておくことも大切です。
ステップ2:自分や家族のライフイベント表を作成する
次に、自分や家族のライフイベントを、ライフイベント表として時系列に書き出します。最初のステップで設計したライフデザインをもとにして、自分や家族に将来起こり得るライフイベントを考えましょう。
一般的なライフイベントには、以下のようなものがあります。
・就職
・転職
・退職
・結婚
・出産や育児
・子どもの入学や進学
・住宅の購入やリフォーム
・自動車の購入や買い替え
など…
現時点で把握している範囲で、自分や家族のライフイベントを表に記入していきましょう。将来の人生イメージを具体的に描くことが重要です。費用はざっくりとした目安で構いません。
ライフイベント表は、横軸を時間(年)とし、縦軸に家族の年齢とライフイベントなどを記入していきます。見本では3年分しか記入していませんが、老後までの年数分を書き出してみましょう。
【ライフプラン表(見本)】
項目 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
経過年数 | 現在 | 1年後 | 2年後 |
夫の年齢 | 34歳 | 35歳 | 36歳 |
妻の年齢 | 33歳 | 34歳 | 35歳 |
長男の年齢 | 4歳 | 5歳 | 6歳 |
長女の年齢 | 0歳 | 1歳 | 2歳 |
ライフイベント | ・長男が幼稚園に入園 | ・軽自動車から普通乗用車に買い替え・長男の七五三 | ・長男が公立の小学校に入学 |
ライフイベントの支出 | 5万円 | 306万円 | 10万円 |
ステップ3:収入・支出・貯蓄を入力する
表にライフイベントが記入できたら、項目を追加して、年間のざっくりとした収入、支出、貯蓄残高などを追記していきます。支出は以下のような項目を記入するといいでしょう。
・ライフイベントの支出
・継続的にかかる基本生活費(食費、水道光熱費、通信費、日用品費など)
・固定費(家賃、車両費、教育費、保険料、住宅ローンなどの返済など)
・その他の支出の項目
ライフプランはあくまで計画のため、予想で構いません。また、金額については定期的に柔軟に見直しを行いましょう。
【ライフプラン表(見本)】(単位:万円)
項目 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
経過年数 | 現在 | 1年後 | 2年後 |
夫の年齢 | 34歳 | 35歳 | 36歳 |
妻の年齢 | 33歳 | 34歳 | 35歳 |
長男の年齢 | 4歳 | 5歳 | 6歳 |
長女の年齢 | 0歳 | 1歳 | 2歳 |
ライフイベント | ・長男が幼稚園に入園 | ・軽自動車から普通乗用車に買い替え・長男の七五三 | ・長男が公立の小学校に入学 |
夫の収入 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
妻の収入 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
一時的な収入など | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
収入合計(A) | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 |
基本生活費 | 〇〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
家賃 | 〇〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
車両維持費 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
水道光熱費 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
通信費 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
教育費 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
保険料 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
ライフイベントの支出 | 5万円 | 306万円 | 10万円 |
その他の支出 | 〇〇万円 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
支出合計(B) | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 |
年間収支(A)-(B) | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 |
預貯金残高(余裕資金) | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 | 〇〇〇万円 |
ライフプラン表作成後の分析ポイント
ライフプラン表は作成したら終わりというものではありません。ライフプラン表を活用して、自分の人生設計を分析することが重要です。
ここでは、ライフプラン表作成後の分析ポイントについて解説します。
家計の問題点を洗い出す
ライフプラン表を作成すると「預貯金に回すだけの余裕がない年」や「ライフイベントのために預貯金を取り崩さなければならない年」などが分かり、家計の問題点が見えてきます。
現状で日常生活やライフイベントにかかるお金が不足するようなら、日々の収支について早めに改善策を考えることが大切です。生活を見直し、固定費やムダな支出を減らすことや、投資や副業を通じて収入を増やすことなど、具体的な改善策を検討してみましょう。
資産運用でお金を増やすことも検討する
資産形成を目指すなら、資産運用を通じて今あるお金を増やすことも検討しましょう。資産運用によって老後に収入を得られる仕組みを作っておけば、預貯金を取り崩すペースを落とすことができます。
ゆとりのある老後生活の実現には、不動産投資も一つの方法です。なぜなら、不動産投資は最初に物件を購入する資金が必要ですが、適切な物件選定や管理・運用を行うことで、安定した家賃収入を毎月得られる可能性がある投資方法だからです。
また、不動産投資は、株やFXなどの投資と比べて、景気の変動に対して影響を受けにくい特徴があります。そのため、リスク分散の観点からも有利です。余剰資金がある程度準備できたら、不動産投資での資産運用を検討してみるのもおすすめです。
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ライフプラン通りに計画的に暮らす
ライフプランを作成したら、立てた計画通りに暮らしていくことも大切です。計画だけで終わってしまうことがないように、実行に移すことで現実を変えることができます。
また、ライフプラン表に記入した通りに預貯金を増やしたい場合は、先取り貯蓄を活用するのもおすすめです。
先取り貯蓄とは…
給与などの収入が得られるタイミングで、あらかじめ決めた金額を貯蓄に回すこと。「毎月思ったように貯蓄ができない…」といった事態を防ぎ、計画的に貯蓄を増やすことができます。
定期的にライフプラン見直しも必要
ライフプラン表は、定期的に見直しを行いましょう。人生には思いがけない出来事が起こり、ライフプランの想定から外れてしまうこともあります。病気やケガで一時的に就労不能になったり、物価上昇による支出増加など、予期しない変化が生じるかもしれません。
そのため、ライフプラン表は、一度作って終わりというものではありません。状況に応じて、定期的かつ柔軟に見直しを行うことが大切です。人生の変化に合わせて目標を修正し、新たなライフイベントや経済状況に対応するため、ライフプランの更新や調整を行いましょう。
簡単!自分で作れるライフプランのシミュレーションツール3選
ライフプラン表は、自分でエクセルやGoogleスプレッドシートなどを使って作ることもできますが、イチから作るのが面倒でなかなか時間をとりにくいという方も多いでしょう。
ここでは、手軽に利用できるライフプランシミュレーションツールをいくつか紹介します。手始めに簡単なツールで試してみてはいかがでしょうか。
知るぽると「ライフプランシミュレーション 生活設計診断」
金融広報中央委員会(愛称:知るぽると)が提供しているのが「ライフプランシミュレーション 生活設計診断」です。現行の制度を前提に、健全なライフプランをシミュレーションできます。収入や子どもの年齢、借入金などの情報を詳しく入力することで、将来の年齢ごとの収支を、表とグラフの両方で確認することができます。
■下記リンクからアクセスできます。
ライフプランシミュレーションをしてみよう! ― ライフプランシミュレーション 生活設計診断|知るぽると
全銀協「ライフプランシミュレーション」
一般社団法人全国銀行協会が提供しているのが「ライフプランシミュレーション」です。将来の収支状況をグラフで分かりやすく把握することができます。「きほんシミュレーション」と「くわしくシミュレーション」の2つがあるため、まずは「きほんシミュレーション」を利用して将来の収支を大まかに把握するといいでしょう。
■下記リンクからアクセスできます。
自分で描く未来予想図 ライフプランシミュレーション
日本FP協会「ライフプラン診断」
日本FP協会が提供しているのが「ライフプラン診断」です。9つの質問に回答して自身のライフスタイル条件を選ぶと、それに応じた将来の家計収支をグラフ化してくれます。将来の家計状況に対して、ファイナンシャルプランナーからのアドバイスや注意点も表示されます。
■下記リンクからアクセスできます。
ライフプラン診断
ライフプランを作成して将来に備えよう!
人生には、結婚や子育て、マイホーム購入など、お金が必要なライフイベントがあります。また、年金だけではまかなえない老後資金への備えも必要です。ライフプランを立てることで、これらのライフイベントへの準備を早期に行い、将来の資金不足への対策を講じることができるでしょう。
中長期的な視点でコツコツと老後に備える方法の一つとして、不動産投資があります。不動産投資を選択することで、リタイア後も安定した家賃収入が期待できます。
メイクスでは、新築ワンルームマンション投資を通じて、最適な資産運用のサポートを行っています。専門知識をもったコンサルタントが、将来の資産形成に関するご相談を承りますので、ぜひ一度メイクスにご相談ください。
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