マンションの管理組合とは、「建物の区分所有等に関する法律」で定義されている、共同住宅であるマンションを区分所有者が自主的に管理するための組織です。
今回は、マンション管理組合の役割やオーナーが積極的に管理組合に関わるメリット、業務内容、管理費の用途など、投資用マンションオーナーが知っておきたい基礎知識について解説します。
目次
マンションにおける管理組合とは?
マンションの管理組合とは…
「建物の区分所有等に関する法律」の第一章第一節第三条「区分所有者の団体」で定義されている組織
マンションの建物や敷地、付属施設、共用部分について、区分所有者が自主的に管理するための組織を指しています。
マンションは、1棟の建物に所有者が複数人いるため、通常の建物に比べて所有関係が複雑です。建物や敷地、付属施設、共用部分は区分所有者全員が所有している共通財産であるため、所有者同士で管理にあたる際に調整役が必要になります。調整役としてさまざまな課題を解決するために、管理組合が設置されます。
■参考:建物の区分所有等に関する法律 | e-Gov法令検索
投資用マンションの管理組合にオーナーが積極的に携わる4つのメリット
一般的に、投資用マンションのオーナーが管理組合の活動に携わることには次のようなメリットがあります。
・快適な住環境の整備につながる
・マンションの資産価値の維持につながる
・長期修繕計画・修繕積立金の適切な運用をチェックできる
・トラブルの発生を抑制しやすくなる
それぞれのメリットについて解説します。
快適な住環境の整備につながる
オーナーが管理組合の活動に携われば、所有するマンションで入居者が快適に過ごせるよう、住環境を積極的に整えることができます。
管理組合では、マンションで生活する上でのルールづくりが行われます。管理組合の活動に参加することで、快適な住環境を維持・確保できるようなルール制定を働きかけることが可能です。
例えば…
「廊下やエントランスに自転車などの私物を置かない」「バルコニーの排水口は枯葉などでふさがってしまわないよう定期的に掃除する」といった、ちょっとした悩みや不満を解決するルールも該当します。トラブルになりやすいペットの飼育可否、ごみ出し、騒音についてのルールを決めるのも一般的です。
適切な運営・管理がなされ、快適な住環境が維持されているマンションは、入居者から好感を持たれやすく、入居率の維持が期待できます。
マンションの資産価値の維持につながる
マンションの資産価値は、建物全体の管理状態にも左右されます。維持管理が適切でなければ、各種設備や付属施設、共用部分は長持ちしません。
管理組合が十分に機能して維持管理が適切に行われるよう、オーナーが管理組合の活動を促進していくことで、マンションの環境維持につながり、資産価値を保ちやすくなります。
マンションの資産価値の維持・向上は、マンションを居住用に所有している人、投資用に所有している人を問わず、どちらにも共通した目標として掲げやすく、区分所有者全体で享受できるメリットです。
長期修繕計画・修繕積立金の適切な運用をチェックできる
オーナーが管理組合の活動に積極的に携わっていれば、「長期修繕計画を立てているか」「大規模修繕に向けて修繕費を適切に積み立てているか」をチェックすることが可能になります。
マンションは、およそ12年から15年に一度、大規模修繕工事が必要です。大規模修繕工事には1戸あたり100万円かかるとされています。適切な時期に大規模修繕工事を行わなければ、マンションの資産価値が下がってしまう恐れがあり、工事費の原資となる修繕費を積み立てることが大切です。
★ポイント★
管理組合に携わることで、修繕計画の策定、修繕費の回収や運用がきちんと行われているかどうかの確認ができます。適切に行われていなければ早期に軌道修正を図るためにも、オーナーが管理組合の活動に関与することが大切です。
トラブルの発生を抑制しやすくなる
オーナーが管理組合の活動に携わっていれば、騒音や共有部分の使い方など入居者間のトラブルにつながる要因を共有し、対策をとりやすくなります。入居者から聞いた情報を素早く管理組合に共有し、解決に動くことで、トラブルが原因で入居者が退去してしまうことを防げます。
★ポイント★
トラブルをできる限り減らすためのルールづくりや方針の決定、トラブル発生時の対応検討などについては、管理組合の活動に積極的に関わることでより円滑に実現できます。
マンション管理組合の仕組みや業務内容
ここからは、マンション管理組合の一般的な組織体制や業務内容について解説します。
組織体制(理事会、役員、総会)
管理組合はマンションの区分所有者が組合員となり、組合員の中から、総会で管理組合の役員を選出・承認し、理事会を設置するのが一般的です。
理事会は月に1回程度開催され、マンション内での問題について話し合ったり、管理会社から業務内容の連絡をしたりする場です。
理事会は、理事長・副理事長・各理事で構成され、それぞれの役割は以下の通りです。
・理事長:管理組合の代表者
・副理事長:理事長の補佐や不在時の代理を行う
・理事:理事長・副理事長以外の理事を指す。(例)会計担当理事
・監事:業務執行状況や財務状況を監査をする
総会は、管理組合の組合員の最高意思決定機関であり、少なくとも年に1回開催されます。役員の選出・承認や、各種業務や方針の議決なども行われます。
管理組合の業務内容
管理組合の業務内容は、多岐にわたります。国土交通省の定める「マンション標準管理規約」では、管理組合の業務として以下の15項目を挙げています。
1.管理組合が管理する敷地および共用部分など(以下「組合管理部分」という)の保安、保全、保守、清掃、消毒およびごみ処理
2.組合管理部分の修繕
3.長期修繕計画の作成または変更に関する業務および長期修繕計画書の管理
4.建替えなどに関わる合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
5.「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
6.修繕などの履歴情報の整理・管理など
7.共用部分などに関わる火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
8.区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
9.敷地および共用部分などの変更および運営
10.修繕積立金の運用
11.官公署、町内会などとの渉外業務
12.マンションおよび周辺の風紀、秩序および安全の維持、防災並びに居住環境の維持および向上に関する業務
13.広報および連絡業務
14.管理組合の消滅時における残余財産の清算
15.その他建物並びにその敷地および附属施設の管理に関する業務
※国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」から引用し、一部読みやすく改変しています。
上記の業務を行うために、管理組合を運営するルールや管理者(管理組合の理事長など)を決めます。管理組合で実行が難しい業務は、全部または一部をマンション管理会社に委託します。
■参考:「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和3年6月22日 国住マ第33号)[国土交通省]
マンション管理組合の管理費と内訳
マンションの管理組合の活動は、区分所有者が支払う管理費でまかなわれます。
主な管理費の使途には以下のようなものがあります。
■管理組合の運営費
・事務管理業務費
・行事費用 など
■共用部分の維持管理費
・共用部分の電気代・水道代
・エレベーターや消防設備、宅配ボックスなどの保守点検費・維持管理費
・経常的な補修費
・清掃費、ごみ処理費用、消毒費
・植木や植栽の管理費
・共用部分などに関わる火災保険料や地震保険料、その他の損害保険料
・公租公課 など
上記以外にも、弁護士などの専門家に相談する場合の相談・顧問料も管理費から支払われるのが一般的です。また、管理業務を外部へ委託する際は、マンション管理会社へ支払う費用(管理委託費など)も必要となります。
マンションの管理業務を依頼できる管理会社とは?
マンションの管理業務は多岐にわたり、専門知識も必要となるため、管理組合だけですべての業務を行うこと(自主管理)は現実的ではありません。そこで、多くのマンションでは管理業務のすべてまたは一部をマンション管理会社などに委託するのが一般的です。
マンションの管理組合と管理会社の違いや、委託できる管理業務の内容について解説します。
マンションの管理組合と管理会社の違い
管理組合は、マンションの区分所有者から構成される組織であり、マンションの維持管理を行う当事者となります。
一方で、マンション管理会社は…
管理組合から業務委託(全部委託または一部委託)を受け、マンションの管理業務の代行を行う専門会社です。
管理会社は、マンションを販売したディベロッパーの系列会社となるのが一般的です。
管理業務を管理会社に委託する場合、マンション管理組合の総会決議での承認を経た上で、管理会社と管理委託契約を締結します。
マンション管理会社が対応する主な管理業務
マンション管理会社へ委託する業務の範囲は管理組合で決定できるため、マンションの管理状況に合わせて委託する範囲を調整できます。
管理会社が代行することの多い業務には、以下のようなものがあります。
■事務管理業務
管理業務のうち、基幹事務である管理組合の会計業務や出納業務、マンションの維持修繕に関する企画と実施の調整、理事会や総会の支援業務を行います。月次会計報告の取りまとめ、経費の支払い、管理費や修繕積立金などの徴収、滞納者の確認なども事務管理業務です。
■管理員業務
管理の現場に常駐する人を管理員と呼びます。管理員はマンションの受付業務や点検業務、立会業務など、居住者や来訪者への対応、業者とのやりとりなどの業務を行います。
また、管理員の勤務形態には、「日勤型(決められた曜日と時間に通勤)」「常駐型(マンションに住み込み)」「巡回型(複数のマンションを担当)」があります。
■清掃業務
共用部分の日常清掃、定期清掃、特別清掃を行います。日常清掃は、管理員が清掃を実施する場合もあれば、専門の清掃スタッフが派遣される場合もあります。
■建物・設備の管理業務
建物の外観点検、エレベーター、電気設備、給排水設備、消防設備、機械式駐車場といった各種設備の保守点検を行います。エレベーターや消防設備は法律で定期的な点検が義務付けられています。
マンションの管理業務を管理会社へ委託するメリット
ここでは、マンションの管理業務を管理会社へ委託するメリットについて以下の3つについて解説します。
・建物の最適な維持・管理業務を効率的に行える
・長期修繕計画・大規模修繕計画を適切にスケジューリング可能
・管理組合に携わる人々の負担を軽減し組織体制を維持しやすくする
それぞれどのようなメリットなのか見ていきましょう。
建物の最適な維持・管理業務を効率的に行える
管理会社は、不動産を管理するプロです。したがって、自主管理よりも効率よく業務を実施できます。専門家が多く在籍する管理会社に管理業務を任せていれば、素人では対応が難しいトラブルや問題についても、豊富な経験を活かして効率的に解決できるのは大きなメリットです。
また、管理組合や組合員が管理業務に割く時間と労力が削減されることで、委託した業務以外の重要な業務に集中できます。
長期修繕計画・大規模修繕計画を適切にスケジューリング可能
マンション管理会社に建物・設備の管理業務を委託すれば、不動産管理のプロならではの知見を活かして、長期修繕計画や大規模修繕計画を適切に立案してもらうことが可能です。
前述したように、マンションには、およそ12年から15年に1回程度の頻度で大規模修繕工事が必要です。ただ、この頻度は目安であり、実際の建物や設備の状態から見て「どのタイミングで修繕工事を実施すべきか」を素人が判断するのは難しいものです。
専門の管理会社であれば、過去の大規模修繕工事の類似ケース、実際のマンションの状態などから、適切な修繕工事のタイミングを見極めて計画を立てられます。
管理組合に携わる組合員の負担を軽減し、組織体制を維持しやすくする
マンション管理業務の種類は多く、慣れない人にとっては効率よく取り組むことが難しいものです。
組合員の負担が大きくなると、管理組合の活動に参加する組合員が減ってしまい、円滑な管理組合の運営が難しくなる可能性が出てきます。
特に、会社員など本業がある人や不動産投資オーナーにとっては、マンションの管理業務に多くの時間や労力を割けないため、管理業務をすべて自主管理でまかなうのは負担が大きく現実的ではありません。
その点、日常的な管理業務をマンション管理会社へ委託することで、管理組合や組合員の負担が軽減されることは大きなメリットになります。自主管理の場合には組合員の入れ替わりや高齢化によって業務が滞る恐れもありますが、マンション管理会社へ管理業務を委託することで、管理業務の継続性や品質維持も確保できるでしょう。
投資用マンションオーナーにも管理組合は重要な存在
管理組合がきちんと機能し、管理業務が適切に行われていれば、マンションの資産価値の維持・向上につながり、入居率への好影響も期待できます。そのため、投資用マンションオーナーも、管理組合の活動に積極的に関わることにはメリットがあります。
マンションの管理業務は多岐にわたり、手間や労力が必要になるだけでなく専門知識が求められます。実績豊富で、知見を持ったマンション管理会社への業務委託が行われている物件であれば、不動産投資オーナーにとって、負担なく安心して管理業務を任せられるでしょう。
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