現金(キャッシュ)一括の不動産投資は有利?メリット・デメリット徹底解説

最終更新日:2024.05.31 (公開:2024.04.12)

不動産投資を行うときに、手持ち資金に余裕のある人にとっては、現金一括購入とローン購入のどちらにすればよいのか迷うこともあるでしょう。 

そこで今回は、現金一括で不動産を購入する際のメリットとデメリットを解説します。また、不動産を現金で購入するべきかを見極めるポイントや、現金で不動産を購入するのが向いている人の特徴もあわせてご紹介します。 

現金(キャッシュ)で不動産投資を行うメリットとは? 

現金での不動産投資を行うメリットとして、金融機関に支払う手数料や金利が不要である点がよくあげられます。しかし、ほかにもいくつか現金で不動産を購入するメリットがあります。 

ここでは、現金で不動産投資を行うメリットについて確認していきましょう。 

物件を買いたいときにすぐ買える 

現金で不動産を購入する場合、自分が不動産を購入したいタイミングで、ほぼ確実に購入できる点がメリットです。 

好条件の物件が見つかり、すぐに購入したいと思っても、ローンを組む場合は金融機関による融資の審査に時間がかかります。また、審査次第で融資を断られてしまう可能性もあるでしょう。一方、手元に購入資金があれば審査を待つ必要がなく、好きなタイミングで物件を買うことが可能です。 

さらに、スピーディーに入金してもらえる現金のほうが不動産の売主側に好まれやすいため、引き渡しや価格に関する条件交渉に応じてもらいやすいメリットもあります。 

必要書類をそろえたり、金融機関に出向いたりする手間が必要なローン契約に対して、現金購入ではその手間がかからない点もメリットです。 

相続税の対策ができる 

相続税の負担を減らしたい人は、不動産投資を通じて現金で不動産購入を行うとメリットが受けられます。 

不動産にかかる相続税を算定する際の土地や建物の評価額は、基本的に実際の価値よりも7~8割程度の値で計算されます。

例えば…
3,000万円を相続する場合、現金で相続するよりも、3,000万円で不動産を購入して相続したほうが、相続税の税額は安くなりやすいです。 

また、購入した不動産を他人に貸すことで、売却や処分が自由にできなくなる制限がかかるため、さらに相続税評価額を下げることができます。ただし、不動産を相続後すぐに利用したい場合や売却をしたい場合は、賃貸としての利用は避けたほうがよいでしょう。 

金利の支払いが不要

現金一括で物件を購入すると、ローン金利を払わなくて済みます。不動産は高額な買い物で、返済が長期間にわたって続くため、金利負担もそれだけ大きくなってしまいます。 

例えば、4,000万円を金利2%、返済期間25年で借りた場合、支払う利息は1,000万円以上にもなります。さらに、金利以外にもローンを契約するために必要な諸費用を支払わなければなりません。 

現金一括購入ではこれらの支払いがないため、総支払額を抑えることができます。また、総支払額を抑えられるメリットのほかにも、毎月の支払いを気にすることなく生活できるなど、精神衛生上のメリットもあるでしょう。 

■関連記事不動産投資ローンの金利とは?固定金利・変動金利の違い&長期・短期プライムレートを解説 

現金(キャッシュ)で不動産投資を行うデメリット

現金での不動産投資にはメリットがある一方、デメリットもあります。ここでは、主なデメリットを3つ解説します。 

手持ちの現金が減ってしまう 

現金一括で不動産を購入すると手持ちの現金が大きく減るため、想定外の出費が発生した場合に対応できなくなるリスクがあります。 

不動産投資では、経費の準備が必要となります。経費には、例えば、火災保険や地震保険などの損害保険代、税金、管理費、建物や設備の修繕費などがあります。 

★注意★
中でも、特に注意しなければならないのが修繕費です。入居者の生活に支障をきたすような設備の老朽化や建屋の修繕は、すぐに対応しなければなりません。手持ち資金がないことを理由に、これらの修繕を後回しにしてしまうと、不満を感じた入居者が退居してしまう可能性もあります。 

不動産経営以外の私生活でも想定外の出費で身動きが取れなくなる可能性を考慮し、ある程度資金に余裕を持たせることが大切です。 

■関連記事不動産投資でかかる経費とは?どこまで経費にできるかも解説 

所有している現金分しか投資が行えない(レバレッジ効果がない) 

所有する現金のみで不動産を購入する場合は、レバレッジ効果が期待できません。レバレッジ効果とは、少ない自己資金でより大きな利益を得ることを指します。 

不足資金をローンによって調達すると、投入する自己資金が少なくても大きな物件を購入できて収益も大きくなるため投資効率が良く、圧倒的に短期間で運用規模を拡大できます。短期間で運用規模を拡大したい人にとっては、現金のみの投資では自己資金分しか投資できないことが大きなデメリットです。 

満足な金額を貯蓄するまで時間がかかる 

投資のため購入したくても、現在所有している現金では足りずにさらに資金が必要なケースもあります。物件購入のために資金が貯まるまで待つとなると、その間にお目当ての不動産がほかの投資者に購入されたり、購入価格が上昇したりするリスクがある点がデメリットです。 

不動産への投資は、長期的な運用によって収益を上げていくことが基本です。貯蓄期間が長くなればなるほど長期的な運用の妨げになり、結果として運用で得られるリターンを逃してしまう点はデメリットになります。 

現金(キャッシュ)とローンのどちらで不動産投資を行うか見極めるポイント

不動産投資では、現金とローンのどちらにしてもメリットやデメリットがあります。投資利回りや金利、投資戦略の立て方や購入する不動産によっても変わるため、どちらが望ましいと一概には言えません。 

そこで、不動産投資を行うにあたって現金とローンのどちらを選択すべきか見極めるポイントについて解説します。 

投資利回りとローン金利との差が取れるかを考慮する

ローンで不動産を購入する場合は、毎月の返済額に金利が上乗せされます。このときの金利と投資利回りとの比較によって、現金とローンのどちらを選ぶべきか参考にしましょう。 

投資利回りとは、不動産購入額に対して1年間でどれだけの金額を回収できるのかを表した割合のことです。例えば、3,000万円で購入した物件の家賃収入が150万円あったとすると投資利回り(表面利回り)は5%になります。 

この投資利回りがローン金利を上回るようであれば、ローンを組むことができますが、反対に金利が上回ると利益が発生しないことになりますから、ローンを組まないほうがよいでしょう。 

なお、投資利回りの考え方には、家賃収入から諸経費を差し引いて計算する「実質利回り」もあります。「表面利回り」は物件購入時や物件維持のための諸経費は含まない算出方法のため、収益性やコストパフォーマンスを厳密に精査するときには「実質利回り」が重視されます。 

2戸目(2棟目)の拡大戦略を行うかを考える 

複数の物件への投資を考えている場合は、2戸目(2棟目)の投資物件を購入するための余力を残しておく必要があります。投資規模を拡大していく計画であれば、現金一括購入よりもローンを組んで資金を投入していくほうが、投資ビジョンを組み立てやすいです。 

★ポイント★
しかし、最初の物件で借入限度枠上限まで借りてしまうと、次の物件への投資資金を借りることが困難になってしまい、規模を拡大させることができなくなります。そのため、投資規模の拡大を目指す人は、自分がどれぐらい融資を受けられるのかを把握しておくことが大切です。 

購入したい不動産の担保性を考慮する

購入する不動産の担保性、つまり担保評価の高い物件は現金一括で購入したほうが、その後の選択肢が広がります。同じ金額で購入した物件であっても、不動産の担保評価によって物件を担保にした際の融資限度額が変わってきます。 

将来、不動産を担保にする可能性を考慮するのであれば、担保評価の高い不動産を現金で購入したいところです。 

担保評価が高い傾向にある物件の特徴は、主に以下の3つです。 

  • 鉄筋コンクリート造
  • 利便性の良い立地
  • 新築または築年数が浅い 

今後、投資規模を拡大していくための布石として不動産を現金一括で購入する際は、担保性を十分考慮した上で判断するとよいでしょう。 

現金(キャッシュ)での不動産購入に向いている人の3つの特徴

現金での不動産購入に向いている人には、共通する特徴がいくつかあります。ここでは、その特徴を3つ解説します。 

すぐに使える現金が準備できている人

不動産投資に活用できるほどのまとまった現金を所有している人は、現金での不動産購入に向いているといえます。 

投資価値の高い不動産投資物件を見つけた時点で、すぐに購入に向けたスタートを切れるため、融資を必要とする人よりも時間的なアドバンテージが大きく、先を越されてしまう可能性が低いでしょう。投資機会を逃さず、すぐに運用を開始できる点は大きなメリットです。 

ただし、理想とする物件が見つかったからといって、手持ち資金が残らなくなるほどの無理はおすすめできません。日常生活や不動産経営に伴う突発的な支出に対応できなくなる可能性も考慮して、手持ち資金には余裕を持たせておきましょう。 

ローン返済の不安を感じたくない人 

ローンの返済は長期間にわたって続くため、返済期間中のリスクに不安を感じる人は、現金で不動産を購入したほうがよいでしょう。 

返済期間中に、ケガや病気によって働けなくなったり、勤務先の業績悪化によって給料が下がったりして、返済が困難になる可能性があります。このようなリスクを想像するとストレスに感じてしまう人もいるでしょう。豊かな生活を送るために行う不動産投資が、反対にストレスの原因となってしまう性格の人にとっては、現金での購入がおすすめです。 

ただし、不動産ローンでは団体信用生命保険(団信)に加入でき、病気やケガなどのリスクにある程度備えられるため、ローンのリスクがどの程度なのか現金で購入する前に確認しましょう。 

不動産投資ローンを組むことが難しい人

不動産投資ローンの審査が通りにくい人は、現金購入のほうが向いています。ローンの審査では、貯金額だけではなく収入も確認されます。借入額に対して収入が見合わない場合は、満足な貯金があったとしても、審査に通らない可能性があるのです。 

また、個人事業主を含めた経営者は収入面で不安定なため、会社員や公務員など収入が安定している人よりも審査が通りにくい傾向にあります。さらに、過去の借入において長期滞納や債務整理の経験がある人も審査が厳しくなるため、ローンを組むことが難しいでしょう。 

上記の内容に該当する場合は、ローンを組むことが難しいため、現金で不動産を購入することとなります。 

現金(キャッシュ)での不動産購入は投資スタイルや予算を考慮してから決めよう

不動産の購入チャンスを逃さないだけでなく、相続税やローン金利などの支出を抑えられるのが現金による不動産購入のメリットです。まとまった資金をお持ちの人は現金での購入に向いている一方、投資戦略によってはローンを活用するほうが効率的な場合もあります。総合的に判断するようにしましょう。 

長期的な資産形成をする上での投資スタイルについてお悩みをお持ちの場合は、新築ワンルームマンション投資の実績が豊富なメイクスまで、ぜひご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な資産形成をサポートいたします。 

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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