実物資産とは?種類や投資メリット・デメリットの基礎知識を解説

最終更新日:2024.02.02 (公開:2023.11.09)

不動産、貴金属、美術品などのコレクション品といった実物資産は、投資商品として市場で取引され、資産形成の一つとしても人気があります。

今回は、実物資産が気になる人に向けて、実物資産の種類や、実物資産投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのかなどの基礎知識を解説します。

実物資産とは?

はじめに「実物資産」がどのようなものなのか、言葉の意味について見ていきましょう。

「実物資産」と「無形資産」の違い

「実物資産」とは、物理的な形があり、目に見える資産のことを指します。土地や建物などの不動産、金や銀などの貴金属、美術品や高級腕時計、ワインなどのコレクション品が該当します。

反対に、物理的な形はないものの経済的な価値がある資産を「無形資産」といい、特許や商標、著作権、ソフトウエアなどがこれにあたります。

また、投資分野では、株式や投資信託、債券、デリバティブ商品など、金融市場で取引されるものを「金融資産」と呼び、実物資産や無形資産とは区別することもあります。これらは物理的な形を持たず「権利」や「契約」に基づき売買・保有される資産です

「金融資産」と「実物資産」の取引方式の違い

基本的に金融資産の売買は、公的性質を持った証券取引所などの取引市場でやりとりされ、一定のルールに基づいて運用されています。ニュースなどで目にする「東京証券取引所」や「ニューヨーク証券取引所」は、金融資産が売買される国内外の代表的な取引所です。

一方、実物資産には証券取引所のような公式な機関はありません。投資対象となっている実物資産の種類によって取引方法は異なり、個人間で取引されるケースもありますが、例えば次のような場所・組織を介した取引が代表例でしょう。

・美術品や骨董品
画廊や骨董品店での取引、美術商やオークションを介した取引

・貴金属、高級腕時計、ワインなどのコレクション品
専門ショップ、専門オークション

・不動産(土地や建物)
不動産業者や不動産仲介業者を介した取引での取引

それぞれの実物資産について後で詳しく説明しますが、特に不動産の場合、不動産自体の資産価値のほかに、土地や建物を運用して賃料を得ることができます。そのため、貴金属やコレクション品と比較すると、少し性質が異なる実物資産といえるでしょう。

また、不動産取引に関しては各種法令やガイドラインが定められており、公正・適正な取引のための社会的ルールが確立されていることも大きな特徴です。個人間取引が許されるケースもありますが、原則として不動産の「仲介業」には、国家資格である「宅建士(宅地建物取引士)」が必要など規制が設けられています

※古物営業法の対象となる古美術や骨董品など中古品の取引には「古物商許可証」が必要です。

主な実物資産の種類とは?

実物資産の代表的なものとして、不動産や貴金属、コレクション品があります。それぞれの実物資産がどのようなものか解説します。

美術品、骨董品、高級腕時計、ワインなどコレクション品

コレクション品の実物資産は、美術品や骨董品、記念コイン、高級腕時計、ワインなど、趣味として収集されるような品物です。愛好家がいて取引が成立するものであれば、どんな品物でも値段がつくのが特徴です。

ただし、コレクション品を投資の対象とするには一定数のコレクターの存在が不可欠なため、取引市場が小さいジャンルの場合は投資として成り立たない場合があります

■関連記事現物投資で注目されているワイン投資や腕時計投資とは?

貴金属

貴金属とは、希少で、加工性がよい金属を指し、宝飾用、工業用、医療用など用途が多岐にわたります。一般的に投資対象となるのは、金、銀、プラチナです。特に金は人気が高く、取引量の多い実物資産の一つです。

貴金属は、長期的に見て需要が大幅に減少する可能性が低いとされ、価格が下がりにくいという特徴があります。また、埋蔵量には限りがあることから、将来的な産出量の枯渇によって資産価値が今よりも上がるとも考えられます。

★注意★
貴金属は資産価値が安定しているものの、株式の配当金や不動産の家賃収入のようなインカムゲイン(資産を保有していることで得られる利益)はありません。

不動産

不動産とは、土地や建物といった動かすことのできない資産をいいます。民法では、土地およびその定着物(土地からそう簡単には離れず安定した状態のもの)を不動産と定義します。

【不動産の代表的なもの】
・土地
・一戸建て
・マンション
・アパート
・山
・田畑
・立木 など

不動産投資では、賃料収入やキャピタルゲイン(資産を売却することによって得られる売買差益)を得られます。賃料収入を得る代表的な方法は、区分マンション・1棟マンション投資やアパート1棟投資です。

マンションやアパートを購入して賃貸物件として運用すれば、毎月安定したインカムゲイン(資産を保有していることで得られる利益)を得られるのが特徴です。

実物資産投資のメリットとは?

実物資産にはさまざまな物がありますが、資産運用の対象として考えた際、次のようなメリットがあります。

・金融市場の不安定化に強い
・インフレに強い
・資産自体に価値がある

それぞれのメリットについて解説します。

金融市場の不安定化に強い

株式や国債などの金融資産は、国内・海外の経済や世界情勢の影響を受けやすいのが特徴です。このため、価格が急騰するメリットがある一方、金融危機による価格暴落のリスクも無視できません。近年では、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や、ロシアのウクライナ侵攻など、金融市場に大きな影響を及ぼす出来事が相次ぎました。

対照的に、実物資産はその物自体に価値があるため、景気や社会情勢の影響を受けにくく、金融市場が不安定になったとしても、価格の急落は少ないとされます。実物資産は資産価値を維持しやすく、金融不安のときには注目されて資産価値が高まることもあります。

インフレに強い

実物資産投資は、インフレ(インフレーション)に強いのがメリットの一つです。

インフレとは…
モノやサービスの値段(物価)が上昇傾向になる経済状態のこと

物価が上昇すると、通貨の価値は下がります。そのため、現金や預金資産の価値は、インフレ前よりも下がってしまいます

実物資産の場合は、インフレ時、物価の上昇とともに資産価値も上昇することから「実物資産はインフレに強い」といわれます。

日銀は、物価の安定などを目的として年2%の物価上昇を目標に掲げており、今後も継続的にモノの価値が上がっていくことが予想されます。したがって、資産を現金や預金だけで保有していると資産が目減りする可能性があります。

資産自体に価値がある

実物資産はその物自体に安定した価値があるというメリットがあります。

例えば、有名ブランドの高級腕時計や高級ワインはコレクターや愛好家が多く、実物資産の投資商品としても注目されています。保管状態を適切に保ち、需要が高まる売却タイミングを見極めれば、購入時よりも価値が高まることも珍しくありません

その時々の需要により取引価格は変動しますが、品物の価値がゼロになることはほとんどなく、長期的に安定した運用が実現しやすい資産です。

実物資産投資のデメリットとは?

安定した資産運用が見込まれる実物資産ですが、次のようなデメリットもあります。

・保有し続けるためにはコストが必要
・流動性が低い

それぞれのデメリットについて解説します。

保有し続けるためにはコストが必要

実物資産は、資産価値を維持するために管理コストがかかります。適切な管理を怠ると、物理的に損傷したり劣化したりして、資産価値が下がるおそれがあります。また、紛失や盗難などのリスクも考える必要があるでしょう。

実物資産の種類によっても異なりますが、例えば、次のようなリスクが考えられます。

・美術品や骨董品
日光による色あせや色焼け、湿度の影響によるカビやシミの発生、乾燥によるヒビ割れ、虫食いによる汚れや破れなど

・貴金属、高級腕時計、ワインなどのコレクション品
汗や皮脂による黒ずみ、高温多湿の影響によるシミや腐食の発生、磁気による精度異常(腕時計)、不適切な光・湿度・温度・振動による品質劣化(ワイン)など

・不動産(土地や建物)
風雨にさらされる建物の外壁劣化、日常的な使用による内装や設備の経年劣化、ゴミの不法投棄や荒れ地化(空き地の放置)

美術品や骨董品、貴金属などのコレクション品の場合は、貸金庫や専用の美術倉庫・保管サービスを活用すると適切に管理できますが、所定の利用料がかかります。

不動産の場合は、空き家や空き地として放置することでのリスクが大部分ですが、不動産投資のような賃貸経営を行う場合でも、固定資産税などの税金や物件の管理費用などのコストが発生します。

流動性が低い

実物資産は、流動性が低く現金化しにくい特徴があります。現金化したいと思ったときには、次のような手順で行います。

<実物資産を現金化するときの主な手順>
1.購入希望者を募集し、買い手を見つける
2.買い手と売却価格や条件の交渉を行う
3.買い手と合意を得る
4.売却金の受け渡し、実物資産の引き渡しを行う
5.必要に応じて諸手続きを並行して行う

特に、購入希望者がそれほど多くないコレクション品、諸手続きが発生する不動産は、「希望するタイミングですぐには現金化しにくい」という点がデメリットになるでしょう。

なお、不動産の場合は、個人で購入希望者を見つけて価格や条件交渉をするのは難しいため、不動産仲介業者へ依頼するのが一般的です。

実物資産の中でも不動産投資がおすすめの理由とは?

ここからは、実物資産の中でも不動産投資が資産運用におすすめの理由について、次の4つの視点から紹介します。

・インカムゲインで家賃を得られる
・税金対策としての効果が見込める場合も
・不動産投資ローンの活用ができる
・投資初心者も始めやすい

インカムゲインで家賃を得られる

不動産投資では、マンションやアパートを賃貸物件として運用すれば、毎月安定した家賃収入をインカムゲイン(保有していることで得られる利益)として得られます。実物資産の中でも、資産の売却によるキャピタルゲイン(資産を売却することによって得られる売買差益)だけでなくインカムゲインを得られるのは不動産投資ならではのメリットです。

また、景気動向の影響を受けやすい株式や投資信託などの金融資産と異なり、家賃相場が激変することは少ないため、安定的に収入を得やすいでしょう。

税金対策としての効果が見込める場合も

不動産投資では、物件購入時の諸費用や管理費などのうち、経費計上として認められる費用があります。確定申告をすることで、所得額から経費分を差し引くことができ、結果的に課税所得を抑えて節税効果が見込める場合もあります。

経費として計上できる費用は、例えば次のようなものです。

・減価償却費
・物件の管理費用
・ローンの手数料
・金利(借入金利子)
・火災保険料
・税金(不動産取得税、固定資産税・都市計画税)
・修繕、リフォーム費用
・税理士の報酬

ただし、不動産運用が順調に推移して黒字の場合には、それほど節税効果は期待できません。不動産運用が赤字の場合に得られる効果なので、税金対策を主目的にしてしまうと本末転倒になってしまう点には注意しましょう。

■関連記事不動産投資の「税金対策」には注意が必要?仕組みが分かる基礎知識

不動産投資ローンの活用ができる

不動産投資の場合、物件購入費用など初期費用は高額になるため、そのすべてを自己資金で用意できる人は多くありません。通常は、金融機関などの不動産投資ローンの融資を受けて行います。

他の実物資産を購入しようとした場合、専用ローンがなかったり、ローンの取り扱いがあっても金利などの条件がよくなかったりします。一方で、不動産投資ローンは各種金融機関などで取り扱いがあり、用途が定められていないフリーローンよりも金利条件がよいケースがほとんどです。

なお、自分自身が生活をする自宅・マイホームを購入するための「住宅ローン」と「不動産投資ローン」は異なります。不動産投資に住宅ローンを利用することは違法行為であり、借入目的に明確な違いがある点には注意してください

■関連記事不動産投資ローンのおすすめポイントとは?借入先の種類や住宅ローンとの違いも解説

投資初心者も始めやすい

不動産は、取り扱い業者が多く、オーナーとして個人で物件運用に成功している人も多くいることから、関連情報を入手しやすいのが特徴です。また、不動産投資セミナーへの参加や、専門会社への相談は誰でも気軽にできます。このことから、初心者でも始めやすい投資手法だといえます。

他の実物資産では、取り扱う業者が少なかったり、ニッチな分野の専門知識を必要としたりすることもあるため、投資を始めたいと思ってもハードルが高い傾向にあります。

不動産などの実物資産を運用する際のコツとは?

投資で大切なのは「リスクの分散」です。例えば、不動産投資を行うのであれば、異なる地域で区分マンションを複数所有したり、不動産以外の貴金属などの実物資産と組み合わせて投資したりする方法があります。

性質や条件が異なる実物資産を組み合わせて運用することで、もしも1つの実物資産の価値が下がった場合でも、その影響が資産全体に及ぼすダメージを最小限に抑えることができます

また、実物資産だけでなく、金融資産と組み合わせて資産運用を行うのも方法の一つです。例えば、株式や投資信託など複数の金融資産も組み込んで資産運用すれば、実物資産と金融資産それぞれの特徴を活かしながらバランスよく資産形成が可能になります

実物資産への投資なら不動産がおすすめ

実物資産はインフレに強く、価値が安定しているなどのメリットがあります。さまざまな実物資産を組み合わせることで、リスク分散を考慮した資産運用をすることが可能です。中でも不動産投資は参入ハードルが高くないため、初心者にも始めやすい投資対象です。

不動産による資産形成に最適な新築ワンルームマンション投資なら、実績豊富なメイクスまでお気軽にご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な不動産投資をサポートします。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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著者/監修者紹介

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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