家賃設定の適正な考え方は?不動産投資で賃貸経営を成功させる方法

最終更新日:2023.11.09 (公開:2023.10.12)

不動産投資で重要になるのが、賃貸経営する物件の家賃設定です。オーナーとしては収益性を上げるためにできるだけ高い家賃を設定したくなりますが、入居者は希望条件を満たす物件にできるだけ安く入居したいと思うのが普通です。

運用する物件にかかるコストや周辺の賃貸需要などを考慮し、どうすれば最適な家賃設定をできるのでしょうか。

そこで今回は…
家賃設定の際に重視すべき点や気をつけるべきポイント、入居付けを早める対策について解説します。

不動産投資で家賃設定が重要な理由とは?

不動産投資では、「適正な家賃」を設定することが非常に重要です。家賃の価格設定が高すぎれば入居者が見つかりませんし、家賃が安すぎれば十分な収入を得られません。

このため、入居者とオーナーの双方が納得できる適正な家賃設定を心がけるのがポイントです。「入居者がその物件に住みたいと思え、オーナーが収益を十分に確保できる家賃」を考えることで、お互いが納得できる家賃に近づきます。

不動産投資で適正な家賃を設定する3つのポイント

適正な家賃を設定するには、以下の情報がポイントになります。

・周辺の家賃相場やトレンド
・周辺の物件の成約実績の推移
・競合物件とその成約実績

これらの情報は独自に集めるのは難しいため、不動産会社など専門家に相談をして収集するのがおすすめです。ここでは、各情報がどのようなものなのかその概要を確認していきましょう。

周辺の家賃相場とそのトレンドを理解する

まず押さえたい情報は、物件のあるエリアの家賃相場とそのトレンドです。家賃相場やトレンドは、人口動態や周辺施設などの事情により大きく変動します。

主に賃貸需要があり、家賃相場が上昇トレンドにあるエリアの特徴は次の通りです。

・人口が増加している
・交通の利便性が高い
・周辺の賃貸物件の空室率が低い

上記の特徴を参考に、候補となるエリアの大まかな家賃相場が分かるとよいでしょう。特に、賃貸需要は人口に比例するため、人口の推移と合わせて把握すると判断しやすくなります

物件の成約実績の推移を参照する

次に押さえたい情報は、周辺の賃貸物件の成約実績とその推移です。物件の家賃、敷金、契約期間などの成約条件といった情報が確認できれば、周辺家賃の水準が把握できます。

また、何年分かの推移データがあれば、家賃が上昇しているのか下降しているのかといったトレンドも分かるでしょう。

不動産会社であればレントロール(※)で各種情報を入手できます。直接、物件の賃貸管理会社に問い合わせしたり、物件のオーナーに聞いたりする方法もあります。

※レントロール:賃貸借条件が一覧表にされたものです。一般的に、家賃や敷金等、契約日、契約期間、入居者の属性が記載されています。

競合物件とその成約実績の確認

最後に押さえたい情報が、競合物件の条件と成約実績です。不動産会社に問い合わせをすることで、ある程度入手できるでしょう。

自分の運用物件と条件の近い競合物件の情報を参考にすることで、周辺相場に見合った適正な家賃設定に近づけられます。

類似した条件(最寄り駅からの距離や間取り、築年数、建物の構造など)でも、家賃の違いで成約実績が良い物件とそうではない物件に分かれます。競合物件を探す際、成約率の良い物件と成約率が悪い物件とを比較することで、賃貸需要に見合った条件を判断しやすくなるでしょう。

不動産投資で適正な家賃を設定する際の4つの基準項目

不動産投資で適正な家賃を設定する上で、考慮したい基準がいくつかあります。ここでは、家賃設定の基準となる以下の4つの項目について解説します。

・間取りと面積
・立地や周辺環境
・設備
・物件の築年数

間取りと面積

間取りと延床面積の広さは家賃設定の基準項目の一つです。

これまでは基本的に、部屋数が多く延床面積が広い物件の家賃は高くなる傾向にありました。しかし、近年はニーズにマッチした間取りや部屋数が重要視されていて、一概に広い物件ほど家賃が高くなるわけではありません。

一人暮らしか子育て世代かなどによって、入居者の物件に対するニーズは変わってきます。また、同じ社会人の一人暮らしでも、リモートワークで在宅が多い社会人とそうでない社会人とでは生活スタイルも異なります。

★ポイント★
家賃を設定する際は、ターゲット層のニーズに合った間取りと延床面積のバランスを考慮するのがポイント!

立地や周辺環境

立地や周辺環境も、家賃設定の基準になる項目です。

例えば、最寄り駅まで徒歩10分圏内(約800m)の立地や、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの生活に便利な施設が物件の周辺にある環境なら、同じ地域でも高めの家賃を設定しやすいでしょう。特に、最寄り駅が都市圏の主要駅にアクセスしやすい場合、都市圏で働く入居者にとって物件の魅力は非常に高くなります。

ただし、間取りや延床面積と同じく、ターゲット層の居住スタイルによって好まれる立地や周辺環境は異なることに注意が必要です。居住スタイル別の人気条件は、例えば以下のようなものです。

■単身者に人気
・駅や近隣に夜遅くまで営業しているスーパーがある
・街灯が多く夜道が明るい
・通勤に便利

■ファミリー層に人気
・子育て支援制度が整っている自治体に物件がある
・待機児童が少ない自治体に物件がある
・病院や学校など公共施設が周辺に多い

設備

設備の充実度も家賃設定の基準になります。

競合物件よりも設備が充実していれば、周辺の家賃相場より高めの家賃を設定しやすいです。ターゲットごとにニーズの高い設備は異なるため、入居率の高い不動産の設備を参考にするといいでしょう

一般的に賃貸物件でニーズの高い設備は、以下の通りです。

・エアコン
・無料インターネット
・テレビモニター付きインターホン
・エントランスのオートロック
・宅配ボックス
・浴室乾燥機
・24時間利用可能なゴミ置き場
・温水洗浄便座

物件の築年数

築年数も家賃設定の基準の一つです。築年数が浅い物件は、誰かが生活した痕跡が少なく、内装や外装、設備は美しい状態であるため人気です。このため、比較的築年数が浅い物件のほうが高めに設定しやすいです。

しかし、入居者は物件の築年数だけでなく、立地や周辺環境を重視する傾向にあります。築年数が浅いことだけを理由に強気な家賃を設定するのは避け、総合的に判断するようにしましょう

不動産投資の家賃を設定する際に気をつけるべきポイント

不動産投資を成功させるためには、家賃設定の際に以下の点に気をつけることが大切です。

・不動産会社や賃貸管理会社の意見を参考にすること
・収支計算をすること
・ローンの返済比率を計算すること

それぞれのポイントについて解説します。

不動産会社や賃貸管理会社の意見を参考にすること

家賃相場は、インターネットにある不動産ポータルサイトで調べることが可能です。しかし、インターネット上の情報だけでは、実態に即した正確な情報の入手が難しいため、物件があるエリアの不動産業者や物件の賃貸管理会社にヒアリングすることも大切です。

そのエリアや物件に詳しいプロだからこそ持っている知見があります。賃貸物件に関する動向や所感、今後の地域情勢(商業施設の建設や新駅の開発など)といった不動産価値に影響するような情報を得られるかもしれません。

また、判断基準や相場を比較するときに注目すべきポイントなど、専門家のノウハウも教えてもらえる可能性があります。

収支計算をすること

不動産投資を成功させて収益を得るには、収支計算を行うことが大切です。不動産の賃貸経営は、長期的な視点での投資になるのが一般的で、初期に金融機関などから借り入れた融資額を計画的に返済していく必要があるためです。

ローン返済は毎月の家賃収入からまかなうことになりますが、投資額が大きく運用期間が長期となる不動産投資で利益を出すには、適正な家賃設定が欠かせません

そのため、空室率や家賃の下落リスクなども考慮した上で、10年後、20年後にも利益が出せるかどうかの収支計算やシミュレーションをしっかり行う必要があります

ローンの返済比率を計算すること

ローンの返済額が大きいとキャッシュフロー(※)に余裕がなくなり、予想外の支出などに対応できない可能性があります。したがって、家賃収入に対するローンの返済比率を計算し、ローンの返済比率を50%以下、可能であれば40%以下に抑えるのが目安といわれています。

※キャッシュフロー:実際の資金の流れのことを言います。収入が支出より大きければ、キャッシュフローはプラスです。帳簿上は利益が出ていて黒字の場合でも、手元に資金がなければ必要な支払いができなくなってしまいます。よって、キャッシュフローは安定してプラスであることが望ましいとされています。

不動産投資で入居付けを早める家賃設定などの対策例

不動産投資では、入居者がいて初めて収入が発生するため、入居者をできるだけ早く募ることが大切です。そこで、入居付けを早めるための対応策を2つご紹介します。

家賃の優遇処理「フリーレント」を設ける

できるだけ早く入居付けをしたいとき、家賃を下げると、毎月の家賃収入が想定よりも減ってしまいます。また、引き下げた家賃が契約実績として残ってしまい、入居者が入れ替わるタイミングで、一度下げた家賃を元の金額に戻すことが難しくなるかもしれません。

そこで、入居付けを早めるために、家賃を優遇するフリーレントを設定する方法があります

フリーレントとは…
条件を満たすことで入居後に一定期間の家賃が無料になる制度です。フリーレントの条件として多いのが、「フリーレント期間の終了後も一定期間住み続ける」というものです。フリーレントの条件は、賃貸借契約書にフリーレントに関する項目を設け、そこに記載するのが一般的です。

フリーレントを設定するメリットは、毎月の家賃設定への影響がない点です。フリーレント期間の家賃収入は得られませんが、入居のハードルを下げつつ、毎月の家賃は維持できるのが魅力でしょう。

賃貸物件で入居者に人気がある設備を導入する

物件に人気の設備があると、周辺の家賃相場よりも高い家賃でも入居付けしやすくなります。家賃水準を維持するとともに、値下げリスク軽減の効果も見込めます

賃貸物件で人気の設備には、以下のようなものがあります。

・インターネット無料(使い放題、高速回線)
・浴室乾燥機
・温水洗浄便座
・TVモニター付きインターホン
・宅配ボックス

最近では、コロナ禍でテレワークが普及したことで、在宅でも仕事を支障なく行える高速インターネット回線は必須の設備の一つになっています。

投資用物件の収益最大化のため適切な家賃を設定しよう!

不動産投資用物件を経営する上で、家賃は安いほうが入居者を集めやすいものの、家賃が安すぎれば収益が十分に得られません。そのため、周辺の家賃相場やトレンド、競合物件の成約実績なども把握し、賃貸需要と収益性のバランスを見極めて、適正な家賃設定をするのがポイントです。

ワンルームマンション投資の実績が豊富なメイクスでは、入居者から人気の高い設備を備え、収益バランスも考慮した投資用物件を開発・販売しています。専門知識を持ったコンサルタントが、最適な不動産投資をサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。


※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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著者/監修者紹介

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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