IoT不動産とは?賃貸物件をスマートホーム化して入居率を高める方法

最終更新日:2023.10.20 (公開:2023.09.21)

今、不動産・住宅業界のトレンドとして注目されている最新技術に「IoTマンション」や「スマートホーム」があります。総称して「IoT不動産」とも呼ばれています。

近年、急速に進化したデジタル機器を住宅に取り入れて、快適で便利な暮らしを実現するもので、一般住宅でも導入する人が増えています。賃貸物件に後付けで導入できる機器もあるため、入居率向上など不動産投資にも活用メリットがあります。

そこで今回は…
IoT不動産の基礎知識をはじめ、住まいへの導入事例、不動産投資用の賃貸物件に導入するメリットとデメリットなどについて解説します。

そもそもIoT不動産とは?

IoTは「Internet of Things」の頭文字をとった略語で、「モノのインターネット」を意味します。IoT化された機器(モノ)は、インターネットを介してほかの機器と接続され、デジタルデータの交換が可能になります。

これにより、遠隔での電子機器や家電の操作やデジタル制御が可能になります。このIoT技術を不動産にも応用したものが、IoT不動産です。

例えば、自宅の玄関の鍵をIoT化したものが「スマートロック」です。外出先からスマートフォンのアプリを操作して、玄関の施錠を制御できます。鍵の閉め忘れの確認、開閉履歴の記録、鍵を使わずスマートフォンで解錠したりすることも可能です。

IoT不動産は入居者の生活利便性を高め、住宅に新たな付加価値を提供する設備として、大きな注目を集めているのです。

不動産業界におけるIoT不動産の現状は?

現在、付加価値向上の一端として、大手不動産会社を中心にIoTマンションやスマートホームなどのIoT導入が始まっています。不動産情報サイトでは「スマートロック対応」などの表記を見かけるようになり、IoT導入が業界全体で進んでいることがうかがえます。

導入の低コスト化や、一般家庭での導入が進むスマートホーム家電(IoT機器)

かつては、不動産分野へのIoT導入には高額の投資が必要でしたが、近年ではIoT技術の一般化に伴い、導入コストが大幅に低下しています。

例えば…
スマートスピーカーの「Google Home」「Amazon Echo」やロボット掃除機など、一般家庭でも、手軽に購入できるスマートホーム家電(IoT機器)を利用する人は増えています。

コンシューマー向けIoT機器の普及と同様、不動産分野でもIoT機器を取り入れやすい状況が生まれ、分譲マンションや賃貸物件の運用効率化や生活利便性の向上が急速に進んでいるといえるでしょう。

これから普及が進むと期待される日本のスマートホーム化

日本のスマートホーム化(住宅へのIoT導入)は、世界と比べて遅れているといわれています。何らかのスマートホーム家電を所有している割合は13%で、海外と比べると5倍以上の差があるという調査データもあります(※1)。

その一方で、スマートホーム家電の認知率は73.6%に達しているという最新調査データもあります(※2)。つまり、「スマートホーム家電のことを知ってはいるが、まだ実際に使ったことがない」という層が圧倒的に多いのが現状です。

このことから、スマートホーム家電の利用へのハードルが下がり、きっかけさえあれば一気に普及が進む可能性を秘めているといえるでしょう。

※1:RoomClipとLIVING TECH協会、共同でレポートを発表/スマート家電・スマートホームの日本と海外の普及の開きは5倍以上|LIVING TECH協会のプレスリリース

※2:ASCII.jp:【スマートホーム家電の認知率・利用動向】10,488人アンケート調査|日本のスマートホーム市場の動向レポートを発行

【最新】IoT不動産で導入されている主なIoT機器&活用方法

ここからは、IoT不動産で実際にどのようなIoT機器が導入されているのか、代表的なものを7つピックアップして紹介します。

なお、住宅設備として施工・設置が必要なものもありますが、後付けで一般家庭や賃貸物件でも簡単に導入可能なものも多いので、不動産投資で賃貸物件を運用中のオーナーの方もぜひ参考にしてみてください

スマートスピーカー

スマートスピーカーは、音声操作に対応したAIを搭載しているスピーカーです。「Google Home」や「Amazon Echo」でご存じの方も多いでしょう。

インターネットやBluetoothを介して、スマートスピーカーと対応家電・設備をつなぐことによって、さまざまなIoT機器を操作できます。ユーザーが話した声を理解し、AIが音声で応答をするという音声認識技術が採用されていて、対話形式で簡単に各種操作が実行できます

例えば…
スマートフォンやパソコンに入っているお気に入りの音楽の自動再生、これから出かける行楽地の天気予報の確認、スケジュールやタスク管理、部屋の照明やエアコンの操作などが可能です。

声だけで操作できることから、生活の利便性が高まるのはもちろん、体の不自由な人や高齢者にとっても使いやすいというメリットもあります

スマートメーター

スマートメーターは、電気や水道、ガスなどの使用量を計測し、データを収集・ネット送信する装置です。

デジタル技術を活用しているため、従来のアナログメーターと異なり、リアルタイムで消費量や使用状況を確認できます。

これにより、利用者は料金の正確な計算が可能となり、効率的にエネルギーを使用できます。また、供給会社側は遠隔でメーターの読み取りや設定変更、引っ越し時の手続きなどができるため、管理コストの大きな削減につながります

スマートロック

不動産業界で最も人気があるIoT機器の一つがスマートロックです。

スマートロックは、スマートフォンやタブレットなどを介して、従来の鍵を使用せずにドアを自動で施錠・解錠できるシステムです。鍵の開閉はもちろんのこと、開閉した履歴の管理ができたり、オートロック機能があったりと、セキュリティ面でも高い効果を発揮します。

さらに、鍵の受け渡しを行わなくてよいことや、使用者の割り当てを管理できることから、入居希望者のみで物件の内覧ができるといった利点もあります。これらの分かりやすいメリットにより、スマートロックは不動産業界での普及が急速に進んでいます。

スマートリモコン

スマートリモコンとは、複数の家電のリモコンを1台に集約したリモコンを指します。Wi-FiやBluetoothを介して、スマートフォンからスマートリモコンに指示を出してスマート家電の操作を行います。

遠隔からの操作が可能なため、外出先で家電をオン・オフすることができて便利です

例えば…
外出時に消し忘れた家電の電源を落としたり、帰宅のタイミングに合わせて事前にエアコンをオンにして、室温を調整したりすることもできます。

また、スマート家電に温度センサーや照度センサー、人感センサーが搭載されているものもあります。それらの情報をスマートフォンで閲覧できるほか、特定の室温になったらエアコンを自動起動したり、無人の状態になったら特定の家電をオフにしたりといった設定も可能です。

スマートHEMS

スマートHEMS(ヘムス)は、住宅での省エネをサポートするシステムを指します

HEMSは「Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」の略語で、電気や家電、ガス、水道など、エネルギーの使用量を管理し、自動で制御するシステムのことです。このHEMSにIoT技術を応用したシステムが、スマートHEMSと呼ばれるものです。

電気やガスの使用量を確認したり、自動制御したりすることで光熱費を削減できるのがメリットです。外出先でもスマートフォンから遠隔操作が可能です。

スマートHEMSは、特別な設備・高額な設備を用意する必要がなく、既存のWi-Fi環境やスマート家電を活用して、従来はできなかった無線接続が可能になりました。そのため、導入コストが下がり、急速に普及しています。

開閉センサー

開閉センサーは、磁力センサーなどによってドアや窓の開閉状態をリアルタイムで監視し、その情報を収集・共有するシステムのことです。

以前から店舗や倉庫に業務用として活用されてはいましたが、スマートフォンやWi-Fi環境の普及に伴って、住宅分野での導入が進みました。

この開閉センサーの利点は、セキュリティの向上です。スマートフォンなどから窓やドアの開閉状況を即座に把握できるため、閉め忘れを防げることはもちろん、不正侵入も検知できます。さらに、開閉履歴を見られることから、遠方にいても家族の帰宅や安否の確認が可能です。

ネットワークカメラ

ネットワークカメラは、インターネットに接続可能な室内用カメラを指します。音声モニターが搭載されていたり、スマートフォンでのカメラ操作ができたりするものもあります。

室内用カメラは、かつては業務用の防犯カメラがメインでしたが、カメラ本体の小型軽量化や低コスト化が実現したことをはじめ、スマートフォンの普及によって住宅分野でも活用が広がりました。防犯はもちろん、外出先から子ども、ペットや植物の様子を確認する用途でも人気です。

ネットワークカメラは設置コストがそれほどかからず、後付けで導入できるといった利点があります。カメラのスペックによっては、24時間の録画機能や、録画のオン・オフを遠隔で操作可能な機能も搭載されています。

後付けで賃貸物件にもIoT機器の導入は可能

不動産投資用で運用している賃貸物件の場合、大規模な室内リフォームによってIoT機器を導入するのはハードルが高いでしょう。しかし、後付けで導入できるIoT機器なら簡単に取り入れることができます

中でも賃貸物件におすすめのIoT機器が、ワイヤレスタイプのドアフォンとスマートリモコンです。いずれもセット当たり1万円前後と、導入コストも少なくて済むため、多くの賃貸物件で活用されています

一般的なインターフォンは設置には配線工事が発生しますが、ワイヤレスタイプのドアフォンは、軽微な工事だけで手軽に設置することが可能です。スマートリモコンもまた、設備工事は不要です。コスパの優れた利便性から、最初に導入を検討したいIoT機器です。

不動産投資の賃貸物件にIoTを導入するメリットとは?

不動産投資用の賃貸物件にIoTを導入することにより、入居率や不動産価値の向上など、不動産のオーナーにとってはうれしいさまざまなメリットが期待できます。

ここでは、主に次の3つのメリットについて詳しく解説していきます。

・物件の不動産価値が向上する
・入居者の満足度向上の効果が期待できる
・入居率がアップする(空室対策)

物件の不動産価値が向上する

不動産投資におけるIoT導入は、賃貸物件の付加価値を高めることにつながります。なぜなら、賃貸物件をスマートホーム化することで、セキュリティシステムの強化やエネルギー効率の向上など入居者の安心感や利便性を高める設備やサービスを提供することができるためです。

不動産のIoT化は、新築物件だけでなく既存の物件にも簡単に適用が可能です。さらに、大規模なリフォームや設置工事を行うことなく導入できるIoT機器も多くあります。

比較的低コストで導入できる上に、客付け力の向上や家賃設定の引き上げも期待できるため、収益性の向上が見込めます。継続的な収益確保に向けた投資として安定することで、物件の不動産価値が維持・向上するといえるでしょう。

入居者の満足度向上の効果が期待できる

IoTを活用した賃貸物件は、入居者にとっての生活利便性やセキュリティ面、省エネ性など多方面での生活満足度の向上が期待できます。その結果、多くの入居者が長期間居住し、退居する割合が低くなることも期待できます。

また、IoTは物件の競争力を高める要素ともなります。先進的な技術を取り入れた物件は、他の物件と比べて魅力的であるため、需要が高まります

さらに、IoT導入により遠隔モニタリングや効率的なメンテナンスが可能となります。設備の異常やトラブルを早期に察知し、迅速に対応することができるため、入居者の信頼性の向上にも役立ちます

これらは結果として、入居者の定着率を向上させ、オーナーや不動産会社の安定した収益を確保する助けとなるのです。

入居率がアップする(空室対策)

不動産投資において重要なポイントは、空室を減らすこと、つまり空室率を低く維持することです。

IoTを活用した賃貸物件は需要が高まると考えられる一方で、実際に導入済みの物件はまだそれほど多くはありません。そのため、現時点では他の賃貸物件との差別化を図ることができ、入居率の向上が期待できます。

特に、スマートロックやスマートスピーカーといったIoT機器が人気を集めています。これらの先進的な設備を取り入れることで、物件の魅力が高まり、空室のリスクを低減できるでしょう。

不動産投資の賃貸物件にIoTを導入するデメリットとは?

さまざまなメリットはある半面、不動産投資の賃貸物件にIoTを導入することにはデメリットも存在します。

ここでは、事前に知っておきたい次の2つのデメリットについて詳しく解説します。

・セキュリティ対策が必要
・定期的なメンテナンスや買い替えが必要

セキュリティ対策が必要

IoTを取り入れた賃貸物件は入居者に快適さを提供しますが、セキュリティの懸念も考慮しなければなりません。スマートホーム家電や設備のインターネット接続は、サイバー攻撃を受けるリスクにもつながるからです。

物件のインターネットセキュリティ対策が安心・安全な状態で整備するだけでなく、入居者にもインターネットセキュリティへの意識を持ってもらうことも大切です。

接続デバイスやアカウントを保護するために強力なパスワードの設定や、定期的なパスワード変更、ソフトウエアをこまめにアップデートするなどの周知徹底が重要です。

定期的なメンテナンスや買い替えが必要

IoT機器の技術は日々めざましい進化を遂げており、新製品が続々と市場に登場するため、定期的な更新やメンテナンスが必要です。製品によって寿命や保守サイクルは異なるため、買い替えやメンテナンスに伴う負担は異なる場合があります。

各IoT機器の更新頻度や保守ニーズをあらかじめ把握し、計画的な運用を心がけることが大切です。

投資用賃貸物件をスマートホーム化して入居者の満足度や入居率を高めよう!

IoT機器は投資用賃貸物件に簡単に導入でき、少ないコストで物件の付加価値を高められることが大きな魅力です。スマートホーム化されていない周辺の競合物件との差別化もできるので、賃料を下げない形での安定高収益、空室率の低下といったメリットをもたらします。

投資用賃貸物件へのIoT導入についてさらに詳しく知りたい方は、新築ワンルームマンション投資の実績が豊富なメイクスまでお気軽にご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な資産運用をサポートします。


※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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著者/監修者紹介

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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