源泉徴収票の見方を解説|不動産投資で知っておきたい基礎知識

最終更新日:2023.05.17 (公開:2023.04.20)

会社勤めをされている方にとっては身近な存在と言える「源泉徴収票」。しかし、この書類が何を意味していて、何に使うものなのかを熟知している方は少ないかもしれません。

簡単に言えば、源泉徴収票は「1年間の収入と控除額、納付した所得税額が記載された書類」です。会社からの給与以外の副収入を得ていたり、医療費控除などの控除申告があったりして確定申告をする場合や、転職したとき、各種ローンを申し込む際などに年収を確認・証明する書類として必要となります。

そこで今回は…

・源泉徴収票がどのような書類なのか
・記載事項などの基礎知識

について詳しく解説します。

源泉徴収票って何?

「源泉徴収票」は、会社勤めの人が毎年12~1月頃に会社から受け取る書類。1月1日から12月31日までの1年間の収入と控除額、納付した所得税額が記載されています。

ここでは、「源泉徴収」の意味と、会社が発行する理由について見ていきましょう。

源泉徴収とは?

「源泉徴収」とは、給与から税金や保険料を天引きして、会社が本人に代わって納付先へ納付することを指します。天引きされる金額には以下のようなものがあります。

・税金(所得税・住民税)
・社会保険料(健康保険料/厚生年金保険料/雇用保険料など)
・労働組合費 など

これらは会社が代わりに納付してくれるため、原則として会社勤めの人は毎年の確定申告をする必要がありません。給与以外の副収入や確定申告が必要な各種控除などがない場合には、「いつも源泉徴収票を受け取るだけ」という方も多いでしょう。

源泉徴収票の発行は会社の義務?

毎年決まって発行される源泉徴収票ですが、なぜ毎年発行されているのでしょうか?その理由は、給与の支払いをしている従業員に対して、企業は「源泉徴収票を必ず書面や電磁的方法で交付しなければならない義務」が、所得税法(第226条)で定められているからです。

電磁的方法は「電子交付」とも呼ばれ、PDF形式などのオンライン上で源泉徴収票を発行する企業も増えてきています。

また、法律で義務付けられている源泉徴収票は「法定調書」とも呼ばれていて、主に次のような種類があります。

・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・公的年金等の源泉徴収票

このうち、会社勤めの人が目にする機会が多いのは「給与所得の源泉徴収票」で、源泉徴収票と言えばこれを指すのが通常です。

■参考サイト
給与所得の源泉徴収票等の交付義務|国税庁

源泉徴収票はどこでもらえる?

源泉徴収票は、会社が給与などを支払った全ての人について作成・発行しなければなりません。正社員のほか、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトの場合でも、会社から給与を受け取っていれば必ず発行してもらっているはずです。

一般的に、源泉徴収票は勤め先の総務や経理から、年末または年始に発行されます。また、給与などの支払額が一定の条件を満たす場合には、対象の源泉徴収票を会社から税務署へ提出する必要があり、その期限は1月31日までです。そのため、源泉徴収票は遅くとも1月31日には作成されていると考えていいでしょう。

源泉徴収票が必要になるシーンは?

源泉徴収票の利用シーンは人によって異なります。例えば、以下のようなシーンで源泉徴収票が必要になります。

・確定申告をするとき
・年の途中で転職したとき
・クレジットカードや各種ローンを申し込むとき
・保育園の入園申し込みをするとき
・結婚などで健康保険の扶養に入るとき

源泉徴収票は、税務上の手続きをはじめ、収入証明書の代わりとしても活用されています。原本やコピーが必要になるケースのほか、必要な事項を源泉徴収票から転記するだけで良い場合があります。

源泉徴収票を紛失したら再発行してもらえる?

万が一、源泉徴収票を紛失してしまったり、破れてしまったりした場合は再発行してもらえます。その際、再発行の依頼先は役所や税務署ではありません。発行元である、勤め先の総務や経理などに連絡して再発行を依頼します。転職・退職していて過去の源泉徴収票が欲しい場合は、以前勤めていた会社へ依頼します。

なお、源泉徴収票の発行は所得税法で会社に義務付けられているものなので、通常、会社が発行を拒むことはあり得ません。「退職した会社へ依頼するのは迷惑では…?」と不安に思う必要はないでしょう。

会社倒産や依頼しても発行してくれないときは?

万が一、会社が源泉徴収票の発行を拒否したり、転職後に以前勤めていた会社が倒産してしまったりした場合でも、以下のような方法があります。

◆ 会社が倒産したとき
破産管財人(弁護士)へ源泉徴収票の再発行を依頼できます。

◆ 会社が発行をしてくれないとき
一度も源泉徴収票を発行してもらえていない場合には、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで、税務署がその会社へ指導(発行を促すこと)をしてくれます。再発行を拒否された場合には、まずは税務署へ相談してみるのがいいでしょう。

源泉徴収票に記載されている内容は?

ここからは、源泉徴収票に記載されている内容について解説します。「給与所得の源泉徴収票」記載項目のうち、押さえておきたいのは4項目です。

引用:【入力用】令和 年分 給与所得の源泉徴収票(令和4年分以後用)|国税庁

支払金額

「支払金額」には、1年間に支払われた給与、賞与、残業代などの手当の総額が記載されています。この金額は、所得税が引かれる前のもので、いわゆる「年収」にあたるものです。非課税扱いとなる通勤手当や出張手当などは含まれていません。

給与所得控除後の金額(調整控除後)

「給与所得控除後の金額(調整控除後)」には、給与などの収入金額から「給与所得控除」額を差し引いた金額が記載されています。

給与所得控除とは…
個人事業主の場合には必要経費を収入から差し引くことができることから、会社員などでも同様に、収入に応じて一定金額を経費として差し引く制度です。

給与所得控除額は収入金額によって異なり、以下の表のような計算式で算出されます。

■給与所得控除額の計算表

給与などの収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円以下550,000円
1,625,001円~1,800,000円収入金額×40%-100,000円
1,800,001円~3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円~6,600,000円収入金額×20%+440,000円
6,600,001円~8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

※控除額が変更された2020年分以降の場合
出典:No.1410 給与所得控除|国税庁

所得控除の額の合計額

「所得控除の額の合計額」には、給与所得控除以外の各種所得控除の合計金額が記載されています。

所得控除には、以下の15種類があります(2023年3月現在)。

・基礎控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・医療費控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・小規模企業共済等掛金控除
・寄附金控除
・ひとり親控除
・寡婦控除
・障害者控除
・勤労学生控除
・雑損控除

各控除に当てはまる場合には所定の方法で算出します。会社勤めの方で該当の所得控除がある場合には、毎年の年末調整で申告しているはずですから、ご存じの方も多いことでしょう。

源泉徴収税額

「源泉徴収税額」には、1年間に納めた所得税の合計金額が記載されています。簡単に説明すると、次のような計算式で算出されています。

(給与所得控除後の金額-所得控除の合計額=課税所得額)×所得税率

所得税率は課税所得額によって異なり、以下のような「所得税の速算表」で求められます。

■所得税の速算表

課税所得額税率控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

例えば、課税所得額が500万円だった場合には、次のような計算で算出します。

(課税所得額)5,000,000円×(税率)20%-(控除額)427,500円=572,500円

源泉徴収票は収入を証明する大切な書類!大切に保管を

源泉徴収票は、年収や控除合計額、所得税額が記載された書類です。確定申告など税務上の手続きをはじめ、収入証明書の代わりにもなるため大切な書類になります。ワンルームマンションの不動産投資でも、不動産投資ローンの申し込み時や、確定申告などでは必ず利用する書類の一つです。

とはいえ、源泉徴収票の記載事項の確認、確定申告の手続きについては、ある程度の知識が必要となり「難しそうでよく分からない…」と不安を感じる方もいらっしゃることでしょう。

そんな場合には、不動産投資にかかわる税務処理の専門家のご紹介も可能で、ワンルームマンション不動産投資の実績豊富なメイクスまでお気軽にご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な資産運用をサポートします。



※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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