不動産投資はいくらから始められるのか?頭金など自己資金の目安は?

最終更新日:2024.10.31 (公開:2024.10.31)

不動産投資はいくらから始められるのか?頭金など自己資金の目安は?

不動産投資に興味があっても、資金不足を理由に投資を避けている人は多いです。「投資は富裕層が行うもの」というイメージが根強いことも理由の一つでしょう。しかし、実際の不動産投資は多額の自己資金を必要としません。むしろ、不動産投資を自己資金だけでスタートするケースはまれです。

そこで今回は…

  • 不動産投資はいくらから始められるのか
  • 不動産投資に必要な頭金や初期費用の種類
  • 少額の自己資金で不動産投資を始めるためのポイント

などについて解説します。資金面で不動産投資をするか迷っている方や、これから不動産投資を始めようとしている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

不動産投資はいくらから始められる?

不動産投資はいくらから始められる?

はじめに、「不動産投資を始めるのにいくらかかるのか?」について解説します。一般的な不動産投資で必要とされる自己資金の目安や年収水準についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

自己資金の目安は一般的には物件価格の2~3割程度

不動産投資をスタートさせる際、一般的には、購入する物件の2~3割程度が自己資金として必要といわれています。投資用不動産を販売する会社によっては、1割以下での自己資金でもスタート可能です。

例えば、5,000万円の物件のケースであれば、1,000万円~1,500万円が自己資金の目安です。残りの3,500万円~4,000万円は金融機関などからの融資でまかないます。物件価格の2~3割の自己資金があれば、かなり余裕をもって融資が受けられる可能性が高いといえるでしょう。なお、ワンルーム投資のケースでは、物件価格の1割以下の自己資金でもスタートできる可能性があります。

★注意★
融資審査で評価されるのは自己資金の額だけではありません。借主の年収や勤務先、借入状況など、いくつかの要因によって条件は大きく変動します。自己資金が多くても融資がおりないケースはあります。

一方で、投資用不動産を専門に扱っている会社によっては1割以下の自己資金で融資可能という好条件の場合もあるので、豊富な取り扱い実績やノウハウを持っている不動産投資会社などの専門家へ相談してみるのがいいでしょう。

年収500万円からでも不動産投資は始められる

驚く方もいるかもしれませんが、不動産投資は年収500万円からでも始められます。実際、年収500万円台の会社員で不動産投資に取り組んで成功している人はたくさんいます。

もちろん、融資の条件として高年収であることが当然ながら有利です。ただ、年収がそこまで高くないからといって不動産投資を諦める必要はありません。はじめは少額からスタートし、やり方によっては将来的に投資規模を拡大することも可能です。

審査の対象となる条件は各金融機関などによって異なるため、まずはチャレンジしてみましょう。融資の検討をする際には、実績豊富で信頼できる不動産投資会社などに相談することが非常に重要です。

少額でも始められる?

不動産投資は、投資用に不動産を購入して第三者に賃貸するのが一般的ですが、他のやり方もあります。それは、不動産小口化商品や不動産クラウドファンディングなどの金融商品を購入する方法です。

これらは、基本的に不特定多数の投資家から集めた資金を不動産で運用し、発生した収益を分配する仕組みの商品です。現物の不動産投資よりも少額からスタートでき、運用もプロにお任せできるので、初心者でも安心して投資できます。

中には、1万円から投資できる商品もあり、複数の商品にお試しで分散投資することも可能です「はじめは本当に小さい額からスタートしたい」「はじめから不動産を購入するのは不安がある」という方は検討してみるのもいいでしょう。

不動産投資の初期費用は頭金+諸費用

不動産投資の初期費用は頭金+諸費用

不動産投資を始めるときには初期費用がかかります。初期費用とは頭金と諸経費の合計で、物件購入に必要なコストです。

ここからは、初期費用の内容について詳しく解説します。

頭金

頭金とは、物件価格に充当することでローンを減らすための費用です。「物件価格-ローン金額」で算出すると分かりやすいでしょう。

頭金の目安は物件によってさまざまですが、物件価格の2割までが多いようです。

例)5,000万円の物件であれば1,000万円を頭金にして、残額4,000万円をローンで購入するイメージ

物件によっては、さらに少ない頭金で購入できるケースもあるので、自分の資金計画に合った投資をしましょう。

また、物件価格が大きいほどリスクが高いため、頭金を求められるケースは多くなります。自己資金が少ない人は、頭金0円で購入できる区分マンションなどの小規模物件からスタートするのがおすすめです。

不動産仲介手数料

不動産仲介手数料とは、購入する物件を紹介(仲介)してくれた不動産会社に支払う報酬です。手数料金額は法律で決まっており、物件価格が400万円を超える場合、「物件価格×3%+60,000円(税抜)」が上限となっています。

例)5,000万円の物件であれば以下のように計算し、仲介手数料は156万円(税抜)
計算例:5,000万円×0.03=150万円+60,000円=156万円

仲介手数料は諸費用の中でも高額で、どのような物件を購入するのかで大きな違いが出ます。算出方法は簡単なため、自分が購入したい物件があれば事前に計算しておきましょう

なお、不動産会社から直接物件を購入する場合、特に新築不動産を建設から販売まで手がける会社から直接物件を購入する場合は仲介に当たらないため、仲介手数料が発生しません。諸費用を大きく抑えることができるでしょう。

融資の事務手数料

物件の購入に金融機関などの融資を利用する際には、融資の事務手数料がかかります。ローンを借り入れることに対して発生する手数料であり、ローン手数料とも呼ばれます。

手数料の条件は金融機関などによってさまざまですが、借入金額の0.5~3%前後で設定されている場合が多いようです。

例)5,000万円を借り入れる際に1%の事務手数料が発生する場合、50万円が事務手数料としてかかる

融資の事務手数料は、仲介手数料と並んで負担が大きい諸経費です。金利や融資年数など他の融資条件と総合的に判断して、最も自分に合った借入先を選ぶのが大切です。

融資の保証料

不動産投資で金融機関などから融資を受ける場合、返済リスクに備えて保証会社を立てることがあります
保証会社とは、ローン契約者が返済できない場合に金融機関などに対して返済を保証する会社。

保証料の支払方法は、以下のいずれかになることが多いでしょう。

・ローン契約時に一括払い(借入額の1~2%)
・ローン金利に組み込む(借入金利+0.2~0.3%)

ローン契約時に一括払いする場合は、初期費用としてかかります。

なお、購入する不動産会社が指定する金融機関よっては保証料が必要ないケースもあります。金融機関や契約者の属性によって変わることもあるので、支払方法と合わせて事前にチェックしましょう。

印紙代

物件を購入する際に売主と交わす売買契約書には、金額に応じて収入印紙を貼る必要があります
印紙代とは、収入印紙の額であり、売買金額によって代金が変動します。

例)物件価格が3,000万円の売買契約であれば、2万円の印紙代がかかります。

また、印紙代は売買契約書のほか、ローンを借りる際の金銭消費貸借(きんしょう)契約書にもかかります
印紙代について詳しく知りたい方は以下の国税庁サイトでご確認ください。

■参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

不動産登記費用

不動産を購入すると、所有権の移転や抵当権の設定など登記手続きが必要になります。

所有権の移転や抵当権の設定には登録免許税がかかりますが、費用の計算は、以下の国税庁サイトを参考にしてください。

■参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

登録免許税の計算は少し複雑ですので、不動産投資会社などに確認するのがおすすめです。

また、登記は自分でも手続きできますが、プロである司法書士に依頼するのが一般的で手間もかかりません。司法書士に依頼する際の報酬は、10万円~30万円前後が相場となります。

不動産投資会社が日頃から付き合いのある司法書士を紹介してくれることも多いため、紹介可能か問い合わせてみるのがおすすめです。

火災保険料・地震保険料

投資用に物件を購入する場合、災害に備えて火災・地震保険に加入します(地震保険については任意での加入が多い)。保険料の金額は、保険会社や購入する建物の構造によっても変わります。保険に加入する時点で一括して先払いするケースが多いので、保険料や契約期間について事前に確認しましょう

また、最近では、保険でカバーできる内容について各保険会社でさまざまな差別化を図っています。物件周辺における災害リスクも考慮しながら、保険内容を比較検討して最適な保険を選ぶことが大切です。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して課される税金であり、固都税(ことぜい)とも呼ばれます。

課税額については、その年の固定資産税評価額に基づいて決まります。納税通知は毎年4~6月頃に、全額、1月1日時点の所有者に届きますが、買主は物件の引渡日から年末分までの税金を支払わなくてはなりません

例)5月1日に物件の引き渡しを受けた場合、5月1日からその年の12月31日までの固都税は買主の負担です。負担額は、売主の納税通知書をもとに算出します。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産(土地や建物)の購入・贈与、建物の増築などによって不動産を取得した人に対し課される税金のことです。地方税の一種であり、不動産のある都道府県が納付先になります。

税額は以下の計算式によって算出されます。通常、土地も建物も税率は4%です。
課税標準額 × 税率(4%)

ただし、2008(平成20)年4月1日~2024(令和6)年3月31日に取得するケースでは、軽減措置で以下の計算式が適用されます。
土地宅地:課税標準額 × 2分の1 × 税率(3%)
建物:課税標準額 × 税率(3%)

課税標準額ですが、通常は公示価格として「固定資産税評価額」が適用されます。この固定資産税評価額は、土地が時価の7〜8割程度、建物が時価の5~6割程度が目安とされています。

気をつけたいのが、新築の場合は固定資産税評価額が決められていないことから、納税通知書が遅れて送付されてきます。具体的には半年後、遅いケースでは1年後になることもあるので注意しましょう。

管理費・修繕積立金

区分マンションを購入する場合には、毎月支払う管理費・修繕積立金も諸費用に入ります。

例)5月15日に物件の引き渡しを受けた場合で考えてみましょう。すでに売主が支払っている管理費・修繕積立金のうち、15日から月末日までの分を買主が売主に精算する必要があります。

管理費・修繕積立金は物件によって金額が違いますので、事前に確認しておきましょう。

不動産物件によって初期費用はいくらかかる?

不動産物件によって初期費用はいくらかかる?

ここまで見てきたように不動産投資の初期費用にはいくつかの種類があり、投資物件の種類によっても金額に違いがあります。

続いては、不動産物件の主な種類別に、初期費用の目安について見ていきましょう。投資する物件に必要な初期費用がいくらくらいなのか参考にしてください。

区分マンション(新築ワンルームマンション)

区分マンションは、投資物件の中でも初期費用を抑えられる投資先の一つです。

頭金0円のフルローンで購入できる物件も多く、自己資金100万円前後からの購入が一般的。特に新築ワンルームマンションは、耐用年数が長く、融資の審査に有利でフルローンが使いやすい傾向にあります。物件価格が新築時で1,500万円~2,000万円程度の物件もあるので、ローン審査に通りやすい点も大きなメリットです。

はじめから高額の物件に投資するのはハードルが高いと感じる場合、区分マンションであれば、収入や自己資金に不安がある人でも無理のない投資が可能です。これから不動産投資を始める初心者の方にもおすすめといえるでしょう。

アパート・マンション(1棟物)

アパート・マンションなどの1棟物は、物件価格が高額になることもあり初期費用も他と比べて高くなります。土地と建物を合わせて1億円を超えるような物件もあり、初期費用も500万円~数千万円レベルでかかることがあるでしょう。

物件価格が高額なため、ローン審査のハードルが高く、借り手の属性も厳しく評価されます。また、1棟物は土地の担保力で大きく初期費用が変わるのも特徴です。

物件評価が融資審査に与える影響が大きいので、自己資金を抑えて投資するには、より投資家としての目利きが重要です。

一戸建て

物件の価格帯が幅広い一戸建ては、初期費用もさまざまです。

例えば、新築の一戸建て物件の場合には物件価格は高額になりやすいですが、売主がデベロッパーであることが多くその場合には仲介手数料がかかりません。また、固定資産税が減額される優遇措置もあります。

中古の一戸建て物件の場合には、新築物件と比べて物件価格が安くなりますが、仲介手数料は必要となり場合によっては高額になるでしょう。

【間取り別】区分マンションの価格相場

【間取り別】区分マンションの価格相場

不動産投資をする上で、物件の価格相場を知っておくと必要な購入資金の目安になります。ここでは、国土交通省のWebサイト「不動産情報ライブラリ」の掲載情報をもとに、間取りによってマンション価格の違いがどれくらいなのかをご紹介します。

なお、実際の販売価格は、エリアや物件によって異なるため、ここでご紹介する価格相場は、あくまでも参考情報程度でご覧ください。

不動産の価格は、立地・築年数・平米数・設備仕様・ブランドなどでも変わります。また、時代によって「古い間取り」「トレンドの間取り」が存在します。当然、トレンドの間取りは築浅物件が増えるため、平均金額で算出すると高価格になる可能性があります。

間取り別の価格相場を詳しく知りたい場合には、候補エリアを決めたあとに、ある程度の条件をつけた上で、不動産投資会社などへ問い合わせるのがおすすめです。

■東京都の間取り別・価格相場(参考情報)

間取り取引価格(総額)平均
1R4,200万円~1億2,000万円約6,716万円
1LDK2,400万円~1億3,000万円約7,566万円
2LDK4,500万円~2億7,000万円約1億5,545万円
3LDK3,800万円~5億2,000万円約1億7,982万円

■大阪府の間取り別・価格相場(参考情報)

間取り取引価格(総額)平均
1R データ無し
1LDK7,000万円~2億7,000万円約1億2,625万円
2LDK4,700万円~9,600万円約6,671万円
3LDK2,500万円~1億7,000万円約8,557万円

※参考:不動産情報ライブラリ

※抽出条件
価格情報区分:成約価格情報
種別:中古マンション等
時期:2023年第1四半期~2023年第4四半期
築年数:2023年および2024年

少額の自己資金で不動産投資するポイント

少額の自己資金で不動産投資するポイント

最後に、少額の自己資金で不動産投資をするためのポイントについてご紹介します。

個人の属性の高さを利用する

個人の属性を利用することは、金融機関などから融資を受ける際にとても重要なポイントとなります。例えば、会社員は安定した給与収入がある点で審査において有利です。

少額資金から不動産投資をスタートするには、融資の利用が必要不可欠となります。自分の属性を見てどこが強みになるのか、客観的に把握して融資を上手に活用しましょう。

融資期間を長くできるなどアレンジできる金融機関を選ぶ

金融機関のローン商品は、ある程度条件が決まっているものが一般的です。

例えば、年齢的に余裕がある人であれば、通常よりも返済期間を長くすることで毎月の返済額が減り、キャッシュフローに余裕が生まれます。

また、元利均等返済よりも元金均等返済の方が初期の返済は大変ですが、元金の減りが早いです。
金利面など他の条件も合わせて総合的に判断することが大切です。

資産価値の高い物件を選ぶ

金融機関などからローンを借り入れても足りない部分は、自己資金で補うしかありません。担保力が高く、フルローンを利用できるような物件であれば自己資金を安く抑えることができます。

★ポイント★
資産価値の高い物件を選ぶことも、自己資金を抑えるために重要なポイントです。

投資物件の場合、ローンの審査で物件の担保力を厳しく評価されます。自己資金を抑えたい場合には、信頼できる不動産投資会社などに相談し、資産性の高い物件を紹介してもらいましょう

不動産投資において伴走できるパートナーを探す

不動産投資で重要なのは、大きく分けて
「物件選び」
「賃貸事業の運営」
「物件の売却」

の3つです。

その3点の中には、どこから融資を受けるか」「入居者をどうやって募集するのか」「定期的なメンテナンスはどうするのかなど、細かい重要な要素が含まれています。

これらを自分だけで、しかも失敗せずに進めるには、相当な知識と経験が必要です。しかし、専門家と手を組むことで、知識と経験の浅い初心者でも不動産投資が可能になるのです。そして、不動産会社の中には不動産投資に精通した専門家と呼べる会社があります。

不動産投資に精通しているかどうかは、以下の項目を参考にして見極めるといいでしょう。

  • 不動産投資物件の取引を頻繁に行っているか
  • 物件情報に詳しいか
  • 物件の周辺環境を理解しているか
  • 融資ができる金融機関との関係性があるか
  • 賃貸管理の経験が豊富か
  • 税務に関する情報に詳しいか(専門家と関係性があるか)
  • 物件の購入から売却まで見据えた提案をしているか

上記について、ホームページなどに情報が記載されていることもありますので、調べてみましょう。分からないことがあれば、直接、不動産会社に聞いてみるのもいいでしょう。

不動産投資を成功させるには、分からないことはすべて明確にすることができ、安心して任せられるパートナーを見つけることが重要です。

不動産投資ローンの活用で自己資金が少額でも資産運用が可能

不動産投資ローンの活用で自己資金が少額でも資産運用が可能

不動産投資ローンを活用すれば、少額の自己資金でも資産運用を始めることができます。

金利が優遇される一般の住宅ローンは、購入者自身が住むための居住用物件が対象であり、投資目的では利用できない点に注意が必要です。

一方、不動産投資ローンは投資専用(事業目的)のローンであり、金利は住宅ローンより高めに設定されていますが、投資用物件の購入に利用できます。これにより、自己資金が少ない人でも、高いリターンを期待できる物件に投資することができます。

■関連記事現金(キャッシュ)一括の不動産投資は有利?メリット・デメリット徹底解説

不動産投資ローンの審査内容とは

不動産投資ローンの審査内容とは

不動産投資ローンの審査内容は具体的には公表されていませんが、一般的に審査で考慮されるポイントがあります。ここでは、それぞれの内容を見ていきましょう。

申込者の属性確認

属性とは、ローン申込者の返済能力を評価するための情報を指します。属性情報には次のようなものがあります。

  • 年収
  • 勤務先の企業規模
  • 勤続年数
  • 家族構成
  • 住宅ローンなど借金の有無
  • 資産の有無

基本的には年収が高かったり、勤続年数が長かったりするなど、安定した収入があって返済能力が高い人ほど、審査に通りやすいとされています。

また、属性確認の際には信用情報も確認されます。信用情報には、過去の借入履歴や返済実績などが含まれます。クレジットカードの利用状況や各種ローンの返済履歴、延滞の有無なども信用情報として確認されます。

物件の収益性の確認

収益性の低い物件では、債務者がローン返済に困難を感じるリスクが高まるため、審査を通過するのが難しくなります。そのため、安定した収益を上げる能力を持った物件かどうか調査・評価されるのが一般的です。

具体的な調査項目は、物件の所在地や周辺環境、将来的な資産価値の見込み、賃貸需要などです。物件が立地の良い場所にあって賃貸需要が高ければ、安定した賃料収入が期待できるため、収益性が高いと評価されます。また、物件の築年数や管理状態も重要です。

収益性の高い物件であれば、投資家にとっても融資元にとってもリスクが低く、ローン返済が滞る可能性が低いため、審査が通りやすくなります。

過去の不動産投資の実績

融資を検討する金融機関などは、申込者がこれまでにどの程度安定して不動産運用を行ってきたのか、実績も加味します。

不動産投資の経験が豊富であり、過去のローン返済を遅滞なく行っている場合、信頼性が高いと判断され、審査が有利に進む可能性が高いです。例えば、次のような観点で評価されます。

  • 安定した賃料収入を得ているか
  • 適切な物件管理を行っているか
  • 過去の投資物件でのトラブルが少ないか

自己資金なし(フルローン)でも不動産投資に挑戦できる

自己資金なし(フルローン)でも不動産投資に挑戦できる

不動産投資では通常、頭金として自己資金が必要ですが、自己資金なしで組めるローンもあります。これらは「フルローン」と呼ばれ、物件の購入価格全額を借り入れることが可能です。

フルローンを利用することで、初期の資金負担を大幅に軽減し、不動産投資を始めやすくなります。ただし、フルローンには、物件購入に伴う諸経費(登記費用や仲介手数料など)を含めることができないため、ある程度の資金を準備する必要がある点に注意が必要です。

なお、物件価格と諸経費を合わせた全額の借り入れができる「オーバーローン」と呼ばれるローンもあり、この場合には完全に自己資金なしで不動産投資を始めることが可能です。

自己資金なしで挑戦できるローン商品

自己資金なしで挑戦できるローン商品

不動産投資ローンに「売買金額の〇%以内」といった制限がなければ、フルローンを利用できる可能性があります。

ここからは、自己資金なしで不動産投資に挑戦できる可能性のある代表的な不動産投資ローンをご紹介します。

オリックス銀行「不動産投資ローン」

オリックス銀行の不動産投資ローンは、新築マンションや中古マンションを対象に、借入期間が最長35年まで設定可能です。最終返済時の年齢が80歳未満であることが条件ですが、借入対象不動産の構造や築年数によっては一部制限がある点には注意が必要です。

また、団体信用生命保険(団信)は、通常の団信(死亡・所定の高度障害保障)のほかに、介護保障付団信や生活習慣病団信なども選択できます。

さらに、既存のほかの金融機関の口座を返済用の引き落とし口座として指定できるため、新たに口座を開設する必要がありません。

■公式サイト
不動産投資ローン | オリックス銀行

日本政策金融公庫

政府系金融機関の日本政策金融公庫では「新規開業資金」を通じて創業やスタートアップを支援しています。条件を満たせば固定金利・低金利で不動産投資ローンを組むことができます。

ただし、融資の対象が創業者や中小企業などの事業主という条件があるため、個人の投資目的では融資を受けられません。そのため、不動産賃貸業の事業主として申し込む必要があります。

また、取得予定の物件を担保に入れる必要があり、担保評価が厳しく、一般の金融機関よりも多くの自己資金を求められる場合があるなど条件があります。

■公式サイト
新規開業資金|日本政策金融公庫

スルガ銀行「投資用不動産ローン」

スルガ銀行の投資用不動産ローンは、長期融資やキャッシュフロー改善を希望する人に適しています。アパートやマンション、オフィス、一棟ビルなどの購入、既存ローンの借り換えに利用できます。

新築物件から中古物件まで対応し、最大10億円まで、団体信用生命保険付きの場合は最大4億円までの借り入れが可能です。個人や資産管理会社などの法人向け融資にも対応しています。

■公式サイト
投資用不動産ローン|商品・サービス|個人のお客さま|スルガ銀行

横浜銀行「アパートローン」

横浜銀行の「アパートローン」は、不動産の有効活用や相続関連資金の調達に適した商品です。賃貸住宅の新築や購入、増改築、補修、改装資金、ほかの金融機関からの借り換えに利用できます。

相続税や代償分割金の支払い資金、相続に伴う株式買取資金など、相続・事業承継に関連する資金調達にも活用できるとともに、登記費用やその他の諸経費もカバーしています。また、資産管理会社名義での借り入れも相談可能で、多用途に対応する柔軟なローン商品です。

■公式サイト
アパートローン・大型フリーローン|横浜銀行

自己資金なしでローンを組む場合の注意点

自己資金なしでローンを組む場合の注意点

自己資金なしでローンを組む場合には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、次のような注意点について解説します。

  • ローンの審査が通りにくい
  • 毎月の返済額が高くなりやすい
  • 出口戦略が制限される可能性がある
  • 金利上昇リスクの影響を受けやすい

ローンの審査が通りにくい

自己資金なしでローンを組む場合、借入額が大きくなりがちで、審査が通りにくいという問題があります。

金融機関は、貸し倒れリスクを最小限に抑えたいと考えているため、借入希望者の収入や勤続年数などの属性が良好であることが求められます。これらの条件を満たさない場合、融資を断られる可能性が高くなります。

そのため、自己資金なしでローンを組む場合には、審査に通らないケースも考えておく必要があります。

毎月の返済額が高くなりやすい

自己資金なしでローンを組むと、借入額が大きくなるのに比例して、毎月の返済額も高くなります。

また、ローン商品によっては借入期間が短く設定されていることがあります。その場合、借入期間が長いローン商品と比べて毎月の返済額が大きくなります。

自己資金なしの不動産投資ローンを検討する際には、事前に返済シミュレーションを行い、毎月の返済額がどの程度になるかを把握しておくことが大切です。返済負担を軽減するためには、返済期間を長く設定できるローン商品を選ぶことや、金利の低いローンを利用することが有効です。

出口戦略が制限される可能性がある

不動産投資ローンは物件の売買に関する制約が設けられることがあります。この制約により、オーナーは自由に物件を売買できない可能性が生じるため、不動産投資の出口戦略が制限されるリスクに注意が必要です。

例えば、ローン残高がある状態では、物件の売却や賃貸収入を活用した資金調達が計画通りに進まないことがあります。その結果、市場変化に迅速に対応できず、最適な売却タイミングを逃すリスクが高まります。

フルローンの場合、借入金額が大きくなるため、途中で繰り上げ返済を行うのが一般的なローンよりも難しい傾向があります。毎月の負担を減らすために長期返済にするケースも多いため、出口戦略が立てにくい点には注意が必要です。

金利上昇リスクの影響を受けやすい

変動金利で融資を受ける場合、金利の上昇により返済負担が増加するリスクがあります。特にフルローンでは借入額が大きいため、金利が上昇する影響を受けやすいです。金利の上昇に伴い毎月の返済額が予想以上に増え、家計に大きな負担をもたらす可能性が高まります。

このため、変動金利を選択する際には、金利上昇リスクを十分に考慮し、慎重に返済計画を立てることが重要です。また、固定金利や上限金利付きローンを検討することでリスク分散を図ることが推奨されます。長期的な視野で見て、金利上昇の影響を最小限に抑える対策を講じることが求められます。

不動産投資はサラリーマンでも始められる

不動産投資はサラリーマンでも始められる

今回は、不動産投資を始めるのに必要な頭金や自己資金、初期費用について解説してきました。

多額の資金が必要というイメージの強い不動産投資ですが、投資物件によっては自己資金を少なくしたり、自己資金なしのフルローンを組んだりして無理なく始められます。

将来に向けた資産形成などを目的に、不動産投資を始める人はとても増えています。不動産投資を始めたいと思っている方は、実績豊富なメイクスまでお気軽にご相談ください。専門知識を持ったコンサルタントが最適な資産運用をサポートします。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。㈱メイクス・㈱メイクスプラスにおいては、何ら責任を負うものではありません。

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メイクス100年不動産ナビ編集部

メイクス100年不動産ナビ編集部は、不動産投資をはじめ、資産形成についてワクワクしてもらえるようなの情報の提供を目指しています。初心者向けの情報から既にオーナーの方、知見のある方に向けた、不動産投資や資産形成についての疑問を客観的な視点から発信しています。

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