不動産投資業界では、不動産会社はキャッシュポイントとなる「物件をどう売るか」を考える一方で、オーナー様にとっては「物件購入後の運用をどう成功させるか」が最も重要な点です。この両者の目線合わせが不動産業界が今後も成長していくためのカギとなりますが、これまで業界ではオーナー様の目標達成へのフォローは薄くなりがちでした。
そこでメイクスでは、オーナー様と共創をしながら、不動産投資の成功などオーナー様の目的達成を目指すためのコミュニティ「オーナーズクラブ」の立ち上げを進めています。
今回は、オーナーズクラブの立ち上げにご協力をいただいている井上様へ、勤務医でありながらクリニック経営をする異色のご経歴をはじめ、不動産投資にまつわるお話について、メイクス コンサルタントセールス本部役員の山口がお話を伺いました。
目次
医師として鍛えられた目的意識
山口:はじめに、井上さんがメイクスのオーナーズクラブの立ち上げに参加いただいた理由についてお聞かせください。
井上:山口さんの人となりも知っていて、お声がけをいただいたので「喜んで参加しますよ」という感じです。今回はオーナーコミュニティのお話でしたが、別の形でも、余程とんでもないお話以外は協力します。
山口:ありがとうございます。普段から、そうした意思決定をされるんですか?井上さんの性格なんでしょうか?
井上:すべてに対して同じ対応をするわけではありません。なにか依頼されたり相談されたりしたとき、目的がはっきりしなくて曖昧なお話だと困ってしまいますよね。目的を明確にするためにこちらから質問しても、きちんとしたコミュニケーションが返ってこなかったりすると、対応しようがないですから。
山口:言われてみれば、僕が井上さんとコミュニケーションをとっているときも「それ、何のためにやるんですか?」って何回か聞かれたことがありました。なので、井上さんの考え方として「目的意識が強い」のかなって思ったんですよ。
井上:なるほど。それは大学や病院での経験が影響しているかもしれませんね。今でこそ医療業界も業務効率化やタスクシェアが注目されていますけど、昔は業務範囲が広くていろんなことを医師が対応してました。
例えば、医師になったばかりの頃、ひたすらクリニカルパスや事務的な書類っていうのを入力していたことがありました。パスは入院中の治療や検査の計画を患者さんに説明するための計画書のようなもので、書類は教育の同意書とか形だけのものがほとんどです。。
それ以外にも、保険診療として処理するためには、適切な保険病名で保険組合に手続きしないと保険請求ができないんですが、その病名をひたすら入力する作業をしていたこともありました。週5日のうち2日はそれらの入力だけで1日が終わる日がある感じで。
山口:その仕事は医師がやるんですか!?
井上:当時はそうでしたね。だから雑用はすごい早さでできるんですけど(笑)。
山口:鍛えられてる(笑)。
井上:もちろん事務処理も必要な業務ですけど、入力作業自体が目的ではなくて、患者さんの治療こそが本来の目的ですよね。だから、病院としても非効率でムダなことは減らそうとはしてくれていて、今は本当にそういう作業は少なくなりました。
医療業界だけに限らないかもしれませんが、組織が未熟だと、目的が曖昧なままムダや効率が悪いことでも見過ごされてしまう…。そんな状態は好ましくないですし、これまでのそういう経験が山口さんの言う「目的意識が強い」という自分の意思決定のスタイルにも影響してるのかもしれません。
医師になったきっかけは…なんとなく
山口:そもそも井上さんは、なぜ医師になろうと思ったんですか?
井上:正直に言うと当時は「なんとなく」なんです(笑)、おじいさんが基礎医学の教授だったので、多少は影響があると思います。ただ仕事をしている姿は記憶にありません。そういう仕事をしていたと、お墓に掘ってあるんです。そんなのなくていいのに(笑)。
山口:でも誇りに感じますよね。そうした背景があって、実際に医師になるって意識し始めたきっかけはいつ頃ですか?
井上:受験のタイミングで進路を決めなきゃいけないじゃないですか。トップの進学校の場合なら、東大か国公立の医学部への進学を目指す人が多いですよね。
山口:既定路線ですよね。
井上:でも僕はトップの進学校じゃなくて医学部に行く人は少なかったんですけど「みんなとは違うような進路にしたいな」っていう思いがあったと思います。本当は美大に行きたかったんですけど、センスが足りなかった(笑)。当時はほとんどサッカーをしてました。ほぼ週7回、高校三年の夏までしっかりやりました。まあまあいい選手で地区代表候補とかくらいまではなったことありますよ笑
山口:井上さんのそういうところは面白いですね(笑)。親からは直接、言われてたんですか?
井上:言われてないけど「医学部を受けようかな」って言ったらうれしそうでした。
山口:それは受けて欲しかったんでしょうね。
井上:当時、流行りの仕事は理系だったんですけど、工学には全く興味がわかなかったし、生物系のほうがまだいいかなとかは思いましたけど。遊びや部活をしていてあんまり真剣に考えていなかったです。でも医学部受験って面接も多くて「なぜ志したか」という質問もいっぱい飛んでくるんですよ。小論文もあったりして、そのときはそれっぽく書きましたけどね。
山口:当時と今では気持ちは変化しましたか?「学生の頃には特別な志があったわけではない」というお話ですけど、以前、伺ったエピソードでは…。
井上:変化がありました。手術はすごくやりがいがあります。あと僕は、耳鼻科がないところに耳鼻科クリニックを作ったんですね。ないところに作ったら、ありがたがられるじゃないですか。しかも、医師が個人で作ったらその人が年を取ったらおしまいですけど、代替わりしても持続可能な仕組みを目指して立ち上げました。
山口:そうなんですよね。ここで詳しくはご紹介しきれないですけど、経営が変わったり医師が変わったりしても続けられるクリニック経営ですよね。
井上:そうです。そういった社会的な目的、意味があると思ってやってるんですけど、ただそういう話はあんまりビジネス的にはうけないですね。普通は事業利益をとにかく追求するわけなので。
山口:このエピソードを聞いたとき、僕はすごく興味を持ったんですね。持続可能な耳鼻科クリニックの経営は井上さんが「社会的意義があると思ってやってること」じゃないですか。学生時代にはなかったような志を持って、今、やってらっしゃる。
井上:「どうせやるなら、人のためになるような仕事がいいな」とか、漠然とした考えは学生時代にもあった気はしますけど、正当化するための後付けのような気もしなくもないですかね。たぶん医師になってから、医療の社会的意義についていっぱい喋ったり書いたりしてきたんで。もうなんか、そんな気になってきちゃってる感じです(笑)。
あと、人と同じだと納得いかない性格も影響してるかもしれないです。
山口:先ほど「美大に進もうかと思ってた」というお話もありましたものね。
井上:そう考えてみると…、じつは僕のもう片方のおじいさんが画家なんですよ。だから、基礎医学の教授だったおじいさんと両方に影響を受けてるかもしれないですね。
山口:それ、めちゃめちゃ影響を受けてませんか(笑)。
井上:「めちゃくちゃ影響受けてるんだ」って、今、気づきましたね(笑)。
山口:画家のほうのおじいさんは、どんな絵を描かれてるんですか?
井上:油絵や日本画ですね。ただ画家のおじいさんも僕が2歳か3歳頃に亡くなって。ほとんど覚えてないですけど、パトロンはいたみたいです。有名な画家と同じパトロンで、その家に住み込みでいるぐらいのレベルだったようです。
医局を離れて広がったキャリアデザイン
山口:そんな井上さんが、先ほどお話に出たようなクリニック経営をすることになるっていうのが、僕の中ではまだつながらないんです。
僕の話をすると、お金を稼ぎたくて2005年に不動産業界に入ってきました。だから当時は理念も何もなくて「不動産をいっぱい売ろう!」みたいな感じでした。不動産を売った先にどうなるのか、自分の中でも理想がなかったんですね。やりがいも感じていなかった。
それが、人との出会いや、理念、経営というものに触れてどんどん変化していって「自分自身の命をかけて全力投球してみよう!」という気持ちになるきっかけもあって今があったりするんです。
もともと学生時代に強い志で医師を目指したわけではないという井上さんが、今、社会的意義を持つクリニック経営をするようになるまで「どんな変化やきっかけがあったのかな?」って気になるんです。
井上:もともと大学病院にいました。大学には医局というのがあってそこに所属するんですけど、辞めたのは6年目くらいですかね。大学院生だったこともあってかあまりに扱いがイマイチだったのと、自分で言うのもおかしいですけど、当時の大学病院の中で目立って手術がうまかった。
待遇などで嫌がらせみたいなこともありました。
山口:医局を出るということは、会社を退職するっていう感じですよね。
井上:医局は簡単には辞められないんで、父親の具合が悪かったこともあって、思い切って辞めました。本当に具合は悪くて、実際、その数年後に亡くなっちゃったんですけど。
山口:しがらみがあるんですか?辞めるのに。
井上:しがらみが多くて「辞めさせてくれない」ってよく言いますよね。さすがに最近は減ってきてますけど以前は結構あったみたいです。当時、もちろん辞める前に次の行き先は決まっていて、ある病院に来てくれと言われてそこへ行きました。がん研時代に一緒に手術していた先生が、かなり評価してくれてました。
山口:何年前ぐらいですか?
井上:6年前くらいですかね。入ったあとに苦労はしたんですけど、そのまま大学にいたら到底触れなかったダヴィンチ(先進医療に使用される手術支援ロボット)ができるようになって…。
山口:ダヴィンチと、そこで出会ったんですね。
井上:そうです。師匠がめちゃくちゃ厳しい先生で、最初はなかなかダヴィンチに触らせてもらえなかったんです。触ってもすぐ取り上げられちゃう(笑)。
山口:それは研修でですか?
井上:いや、実際に手術をやるんですけど「ここからここまで40分で終わらなかったら、そこで終わり」みたいな感じでした。
当時は「しょうがないな」と思ったんですけど、今、若い医師とやっていて当時のことを思い出すと「ここまで40分は結構きつかったよな」「めちゃくちゃハードル高かったな」と感じます。中堅の先生でも、同じくらい40分、50分かかっている姿を見ると「当時の俺、めちゃくちゃ速くない?」と思います(笑)。
山口:師匠からの「期待」じゃないですか?
井上:それが教育だと思ってたんでしょうね。今はそんな指導方法ではないですよ。ただそのおかげか、今では最もポピュラーなダヴィンチ手術の前立腺全摘術を1時間かからないで手術施行することもあります。術後の状態もかなりいいですね。その先生と環境のおかげと思います。
山口:そうした経験を経て、クリニックを経営しようと思うに至ったのはなぜなんですか?
井上:結局、医局に所属してるときって会社員に近くて「異動しろ」と言われたら異動する。逆らえないみたいな感じがあるんです。医局を辞めて今、勤務医としてがっつり会社員ではあるんですけども、フリーランスのイメージなんですよ、僕にとっては。
週何回かの勤務と休みがあって、非常勤の仕事とかを自分で交渉するとかもあるし、もちろんいつでも辞められますし。そこからのキャリアデザインって、全部自分で描けるじゃないですか。資格職ですから。自分で将来をどうしていくのかというビジョンを描きやすい環境が、医局から外れたことで生まれましたね。
山口:医局を離れたことでしがらみが取れて、考えられるようになったということなんですね。医局にいたら考えなくてもいいじゃないですか。「頑張って上を目指そう」とか「まあ上にいかなくても中堅で頑張るか」みたいな。出ちゃうと考えざるを得ないですもんね。
「勤務医の年収を上げる」ために始動したクリニック経営
井上:耳鼻科クリニック経営の話が具体化し始めたのは、とある耳鼻科の先生と一緒に飲んでいて、開業の話をしてからですね。お金の話になったときに「開業するとこんだけ儲かるんだよ」とか。でも、大きい病院の耳鼻科ってどんなイメージあります?
山口:まず行かないイメージですね。内科とかで大きな病院に行くことはあっても、耳鼻科ってどちらかというと街の小さいところへ行くイメージがあります。
井上:そうですよね。花粉症やアレルギーの専門家とかもいるとは思いますけど、例えば、喉のガン手術って耳鼻科の領域なんですね。耳鼻科の中の専門の医師がやる。耳鼻科の中ではおそらく花形の分野です。扁桃炎線も耳鼻科。首の辺りの食道とか以外は耳鼻科なんですよ。
そういう耳鼻科の手術は10時間とか結構大変な手術をするんですね。大変なガンの患者さんの手術ができて、手術がうまい人って、かっこいいじゃないですか。でも開業医と比べて何分の1の給料しかもらってないんですよ。耳鼻科の外科で頑張ってる先生にとっては、それはもう、すごくモヤモヤポイントなんです。全くお金にならない。
外科の手術の上手な先生が開業しちゃったりするんですけど、すごくもったいないし、すごい残念だって話をしていて。勤務医として働きながらお金も稼げるような、そんなクリニックの仕組みを作れたら面白いよね、と考えたんです。
山口:それがクリニック経営のきっかけなんですね。
井上:前述した通り、僕も手術には自信とこだわりがあったので、共感をおぼえました。父親が亡くなって相続したことで、キャッシュもあったんですよね。一緒に飲んで話をしていた耳鼻科の先生も「お金も余裕がたまたまあるんで、一緒にやってみますか」ということになりました。
クリニック経営といっても目指したのは、ただクリニックを作って経営側が利益を吸い上げることはしないで、身内にお金を還元するような仕組みです。耳鼻科でめちゃめちゃ働くと1日で開業医と同じくらいの給料が入るんですけど。かつ手術も継続できて、キャリアも維持できる。
これがじつはクリニック開院の1番の目的でした。「勤務医の給料を上げる」ことは、耳鼻科の先生にとっては最大の理想だったんですよ。 僕は耳鼻科じゃないので、自分にはあんまり関係ないんですけど(笑)。
耳鼻科がないところに開院した社会的意義というのは後付けで、いろいろ場所を探してるときに、たまたまそういう場所に行き当たったことがきっかけです。
山口:面白いですね。勤務医の年収を上げるっていうのは耳鼻科以外にも当てはまりそうですし、やっぱり社会的意義のある取り組みですね。
無借金で不動産投資を成功させた「無職の父」
山口:不動産投資の話もしたいんですが、以前「なぜ不動産投資をスタートしたのか?」というのを伺ったときに、お父様もやっていらっしゃったとお聞きました。
井上:はい、そうですね。
山口:お父様のお仕事は何をしていたんですか?と聞いたら「無職」ってお答えになっていて、めちゃめちゃ面白いと思ったんですけど。
井上:それがもう「出オチ」で(笑)、それ以上の話は出てこないかもしれないですけどね。
山口:お父様はもともとお仕事をされてたんですか?
井上:たぶんやってましたね。小学生ぐらいの頃はしてたので、小学校高学年から中学校ぐらいじゃないかと思います。
山口:お父様はもとから不動産を持っていたのか、買ったのかでいうと?
井上:最初は買ってますね。よくあるマンションを買って、次に一軒家、そのあとにいくつかアパートなどを買ってます。僕が3歳頃まで住んでたマンションも買ってますね。詳しいことはわからないです。
山口:なるほど。3歳頃まで住んでたマンションは今も持ってるんですか?
井上:今も持ってます。賃貸に出していますね。昔の一軒家は10年ほど住んでいて25年くらい貸し出してましたけど去年売りました。多分築40年くらい。管理が面倒だったのと、買い手がたくさんいたのが理由です。
山口:去年売却でもめっちゃ利益が出てそうですね?
井上:いや、どうなんですかね。本当は所有してたほうがよかったかもしれないんですけど、買ったときの記録がなくて…差額が分からなかったんです。
山口:すごいな~。どういう買い方をしたのかってのはご存じないですよね?
井上:詳しくは分からないですけど、チラシとかですかね。当時はネットもないし、ほかにいくつかアパートも持ってるんですが、僕は全部に行ったことがないんです。相続でもらった土地に引っ越したときも、3つ建てて1つは自宅で、残りの2つは貸し出してました。僕が15歳くらいで、それが今の実家ですね。その3つはまだあります。今も母が住んでいて、2つはまだ貸しています。
山口:なるほど。それ、どういうふうにやりくりしてたのか、めちゃめちゃ気になりますね。お父様は井上さんが小学生か中学生くらいで仕事を辞めちゃったわけじゃないですか。そこから不動産投資だけで家族を養ってたんですよね。お母様は働いてましたか?
井上:母も働いていないですし、お金のかかる趣味もそんなにない人です。
山口:それでも井上さんを私立の医学部まで入れたわけじゃないですか。
井上:そうですね。お金をいっぱい使っていたら難しかったでしょうね。
山口:不動産投資だけで家族の生活を支えて、しかも子供を医学部まで入れるってなかなかできないです。個人的にめちゃくちゃ気になりますね。住宅ローンで買ったのか…。
井上:たぶん、ほとんど住宅ローンじゃないですか。僕の記憶だとほとんど早期に返済しているので貯まったお金は全部返済に充てていたんでしょうね。亡くなったときには残債がなかったので、返済主義だったんでしょうね(笑)。
山口:早期返済でキャッシュフローがどんどん良くなる。貯まるスピードも増えて、返せる金額も増えるって好循環ですよね。だから今、住んでたマンションは、まだ持ってるってことですよね。お祖母様の相続で建てた3つの物件も無借金ですよね?
井上:無借金ですね。
山口:それはもう、生活するぶんには絶対に困らないですね。不動産投資に対するなにかしらの感情ってあるじゃないですか。たぶんそのときは無意識だと思うんです。井上さんも「不動産投資をやってくれていて良かった」とかっていうのは当時は思っていないと思うんですね。でも、家族を養って、子供を医学部まで入れて、今も不動産を遺してるというのはなかなかできることではありません。
ほかの不動産会社と比べてメイクスも変わらない?
山口:不動産投資って物件相場や市場の影響があるので、どの不動産会社かどうかでそこまで変わらないと思うんですね。私たちが運用にかかわって、なにか劇的に結果を変えられるかというと、そういうものでもないです。入居稼働率や家賃設定を頑張ることはできますけど。
井上:確かに「売ったときに高くなった」とかみんな言いますけど、なかなかね。この不動産会社を選んだから売却価格が倍になったとかは基本的にはないですね。不動産購入を検討してる人から「ここのこの物件はどうかな?」とよく聞かれます。そのときにメイクス以外の会社と比較しても「そんなに変わらないんじゃないかな」ってことは結構あります。
山口:そういうお話はすごくいいですね!不動産投資を検討中の方がメイクスのオーナーズクラブに参加して、井上さんのようなメイクスのオーナー様に相談されたときに「どっちも変わらないんじゃないかな」という答えが友人に相談した感覚で聞ける。そういう感覚って大切ですよね。
井上:「ほかと比べてメイクスも変わらない」って言いにくいと思うんですけど (笑)。
山口:僕としては「変わらない」「そこまで変わらない」って言いたいんですよ。そのほうが信頼されるとは思ってるんですね。ただ、変わらないんですけど、物件を所有したあとにどういうフォローがあるのかによって、変わらないはずのものの結果が変わっちゃうんですよ。
井上:そうですね。
山口:私たちとしては、やっぱりオーナー様の目的が達成できれば、そもそも投資手段はなんでもいいはずです。だとすれば「どういう手段を選択したほうが目的達成しやすいか」が重要ですね。その手段の選択肢にメイクスは入りたいんですよね。
井上:でも難しいですよね、目的はぼんやりとしているから。ある程度の方向性は分かるといいですね。
山口:僕自身もいろんなお客様に接してきて、例えばA社の物件とB社の物件とメイクスの物件があって、やっぱりメイクスの物件が一番だって言いたいんですけど。
お客様からしたら「メイクスが一番いいっていうのは営業トークだよね」って受け止めますよね。そういう「ほかはダメでメイクスのみがいい」みたいなトークを展開したときに、やっぱり信頼を失ったことってたくさん経験してきました。
「そりゃあメイクスの営業だからメイクスの物件を売るよね」っていうのは理解してくれた上で、「でも本当に自分の人生にとって価値を提供してくれる人」でないと、メイクスの不動産を売る人、という認定をされます。この状態では、やっぱりなかなか購入までつながりにくかったりします。
井上:僕は物件を現地まで見に行ったことがあんまりないですけど、でも実際にメイクスの物件はいいなとは思ってるんです。
この間、他社の物件を見てて思ったんですけど、1件目に見た物件がすごく派手で、2件目に見たのがすごくショボくて…(笑)。「なんか、すごいシンプルですね」って言ったら「ここを見てください、管理費と積立金が結構安いんですよ」と。都心のターミナル駅から近いし、単身者や外国の方も多いので、投資の側面を考慮して派手な共有部とかはいらないし、あえて置いてないということでした。
確かに管理費とかも安いんですけど、1件目で良いのを見てしまったから少し心配だな…と思いました。そういう物件の良しあしを伝えるのってすごく大変ですよね。
山口:私たちの物件は、めちゃめちゃこだわってるんですよ。単身者向けの物件を開発してる業者の中では、本当に一番こだわっていると思います。
例えば、ワンルームマンションでも老舗の会社は、めちゃめちゃシンプルなものだけ作るんです。学生向けみたいな。でも私たちが作るのって、ある程度「単身者でもお金にゆとりがある方たち」がコンセプトです。エントランスのタイルとか、部屋の中のフローリングの幅とか、そういうのも全部こだわっているんですよね。
でもそれって、井上さんが別の会社の物件を知っているから「メイクスすごい」ってなると思うんです。ほかを知らなければ「これが最高級なんです」って言われても「はぁ…」みたいな。全然伝わらない…。
井上:初めて不動産投資をする入口の人なんて、もっと分からないですよ。
山口:そうですね。
井上:「自分が住むわけじゃないし、安いほうでいいんじゃない?」みたいに思っちゃっても、おかしくないです。
オーナー様の目標達成をサポートするコミュニティで業界を変える
山口:じつは今、私たちは地方にも展開し始めているんですけど、その狙いの背景の一つに「ちょっと高級志向の単身者向け物件」っていうのが、地方都市の中心街にないことがあります。広島、博多、兵庫、大阪といった地方都市の中心街で賃貸需要が固いところ、そこに私たちの物件を投下したら、家賃相場を上げられるんじゃないかと考えています。
土地の仕入れも安いので、開発したときに投資家の方たちに利回りの高い商品を提供できるんですよ。東京が例えば4%としたら、広島4.5%とか。でも金利がほとんど変わらなかったとしたら、ギャップは大きくなるんで、賃貸稼働がしっかりと回れば、投資商品としては面白いものが出来上がります。
地場の開発業者さんは、どちらかというと簡素化、低コストで安い物件を作ってきてるんで、そこで勝負になるなと考えています。
井上:メイクスのそういう動きをもっと強調してもいいかな?と思いますね。そのあたりがお客さんには届いてないところですよね。
山口:届いていなかったですか?
井上:届いてないですね。そんなコンセプトだったっけ?みたいな(笑)。
山口:もちろん投資商品としてこだわりはあるものの、そこまで大きな差、つまり株式投資みたいにAに投資したら10年後に20倍になった。Bに投資したらマイナス3倍みたいな世界観ではないんですね。
ただ、オーナー様の目的を達成できるものであれば、なんでもいいんじゃないですか。私たちもできる限り「目的達成までサポートし続けます」っていうスタンスです。お客様にモノを売るという職業というよりも「買ってもらったモノで、オーナー様がなにを達成するか、実現するか」というバリューを提供したいという思いがあるからです。
「より投資で成功する」という視点をコアに据えて、ヒト・コト・カネを活用し『心と体の健康寿命100歳づくりに貢献する』事業の実現を目指していて、そのための仕組みの一つがオーナーズクラブなんですね。
井上:広告宣伝なしに周知するのは、なかなか難しいでしょうね。
山口:それは、この記事を制作しているIT戦略デジタルマーケティングという部署を中心に取り組みがスタートしていて、今後も充実させていく予定です。
井上:これから目にする機会も増えてくるわけですね。
山口:だからお気づきかと思うんですけど、この対談こそ「不動産投資業界の常識を打ち破ろう」という取り組みの入口なんですよ。結局、不動産業者は物件を売った瞬間が一番のキャッシュポイントで、それ以降は薄いわけです。オーナー様も買うことだけが目的だったら、利害が一致してるんで問題ありません。
でも、オーナー様の本来の目的は「物件を買ったあと、運用を成功させること」が目的です。不動産業者はどう売るかを考えてますけど、買ったほうはどう成功させるかが重要。ここの目線を合わせないと、本当に成長する業界になれないと考えています。
オーナーズクラブでは、私たちが持っている不動産投資の成功ノウハウをお客様に全開放して、お客様同士で情報共有したり、成功のためのコミュニケーションを取れるような状態を作ったりすることで、不動産業界が今までやってこなかったことを実現したいと思ってます。
例えば、不動産投資を始めようとしている人がコミュニティにいる医師の井上さんを見て「あの人に話を聞いてみたいな」となれば、コミュニケーションが生まれて有意義な情報交換もできると思うんですね。
そういうコミュニティがあると、情報も取りやすくなりますし、オーナー様同士で情報をシェアできれば不動産投資への不安を最低限抑えられるます。いろんな方と共創しながら拡大していって「最終的には東京ドームを満員にしたい!」と思ってます。
井上:東京ドームは5.5万人ですかね。了解です(笑)。
山口:何十年来あたためてきたことなので実現したいです。メイクスという会社からの発信で、オーナー様のコミュニティを作ったり、メイクスの情報に対して価値を感じたっていう人たちを増やしたり。このコミュニティ内で結婚する人、友だちを見つけた人たちもたくさん出てきて。
そういう輪が広がっていけば、希薄になっているとよく言われる人と人とのつながりも強まり、ヒト・コト・カネという3つの要素が満たされるようなコミュニティになると思います。引き続きご協力をお願いいたします。本日はありがとうございました。
※この記事は2023年1月に実施したインタビュー内容に基づいて作成しています。
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